【2023年8月更新】アルコールチェック義務化の最新情報|日程や対象者、準備すべきことを解説

2023年12月1日から、アルコールチェックにおいてアルコール検知器の使用が義務化されることが決定しました(2023年8月8日時点)。
この法令改正に伴い、本記事では下記の5点を詳しく解説しています。
- ・アルコールチェック義務化の内容
- ・アルコールチェック義務化開始のタイミング
- ・アルコールチェック義務化の対象事業者
- ・アルコール検知器の義務化に向けて準備するべきこと
- ・アルコールチェック義務化に関する罰則
アルコール検知器の義務化に対応するためには、アルコールチェッカーの導入以外にもいくつか準備が必要となります。法令改正に向けて不安や心配のある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
2023年8月8日 追記:当面延期とされていたアルコールチェッカー使用の義務化は2023年12月1日から施行開始
1.令和5年12月1日からアルコール検知器の使用が義務化開始
警察庁により、2023年12月1日からアルコール検知器を使用したアルコールチェックが義務化されることが発表されました。義務化にあたり、2023年6月9日〜7月8日までの期間、パブリックコメントが募集されました。
パブリックコメントとは、公的な機関が規則などを規定する際に、一般市民や関係者から意見やフィードバックを求める制度です。期間終了後、警視庁はその意見をもとに十分に考慮し、規制の策定を行います。
2.道路交通法改正によるアルコールチェックの義務化の内容
2023年12月1日に道路交通法が改正されると、アルコールチェックの義務化に関する法改正は2度目となります。1度目は、2022年4月1日に施行されました。具体的にどのような内容が改正されたのかは、下記の通りです。
2022年4月1日施行 |
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2023年12月1日施行 |
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参考:警察庁「事業所の飲酒運転根絶取組強化!」
3.アルコールチェックが義務化された理由
アルコールチェックが義務化された背景には、2021年6月に起きた痛ましい事故が関係しています。千葉県八街市で、飲酒運転のトラックが交通事故を引き起こしました。この事故を受けて、業務用車両の飲酒運転を防ぐための対策が強化されることになったのです。
参考:内閣府「第2回交通安全対策に関する関係閣僚会議 議事録」
ちなみに、2023年12月1日施行の法令改正は、当初2022年10月1日に開始予定でした。しかし、世界的な半導体不足の影響により、アルコール検知器の製造と供給が追いつかない事態になり、延期となったのです。そしてこの度、2023年12月1日から施行することが発表されました。
4.アルコールチェック義務化の対象事業者
アルコールチェック義務化の対象となるのは、安全運転管理者を選任している事業所です。
安全運転管理者を選任しなければならないのは、以下のいずれかの条件を満たす事業者です。
- ・5台以上の社用車を保有している
- ・定員11人以上の車両を1台以上保有している
「アルコールチェック義務化の対象者」の記事で、アルコールチェックの対象者や実行者(責任者)、自家用車のルールなど詳しく解説しています。
また、ハイヤー、タクシー、バス、トラックなど、運賃をもらって人や他社の物品を運ぶ「緑ナンバー」の自動車を保有する事業所は、2011年5月1日からすでにアルコールチェックが義務化されています。
(※「旅客自動車運用事業運輸規則」「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の改正により)
今回の法改正では白ナンバー車も義務化の対象になります。
5.アルコールチェック義務化に向けて準備するべきこと
ここでは、アルコールチェックの義務化開始に向けて準備するべき以下3つのことについて紹介していきます。
- ・安全運転管理者の選任
- ・アルコール検知器の導入
- ・アルコールチェックの運用整備
安全運転管理者の選任
まず、社用車を5台以上(もしくは定員11人以上の社用車を1台以上)保有している事業者は安全運転管理者の選任が必要です。同じ法人であっても別の事業所である場合は、事業所ごとに選任・届け出を行わなければなりません。
安全運転管理者は、事業用自動車の安全運転や運行計画、運転日誌管理業務を行う役割を果たします。さらに、2022年4月以降は、運転者の酒気帯びの有無の確認および記録、記録内容の1年間保存が業務として追加されました。
安全運転管理者の業務内容について詳しく知りたい方は、「安全運転管理者によるアルコールチェック|運用方法や罰則について解説」を参考にしてください。
アルコール検知器(アルコールチェッカー)の導入
2023年11月までは、目視等で運転者の酒気帯びの有無を確認すれば問題ありません。しかし、2023年12月1日よりアルコールチェッカーを用いた酒気帯び状態の確認が必須となります。
アルコールチェッカーを選ぶ際は、アルコール検知器協議会の認定検知器から選ぶことをおすすめします。アルコール検知器協議会による販売ガイドラインや技術要件の基準を満たした検知器のみが認定を受けています。
中でも、パイ・アールのアルキラーシリーズはクラウド管理・スマホ連携ができるため、アルコールチェック運用の負担を大きく軽減できます。導入実績も豊富なため、安心してお使いいただけるでしょう。
アルコールチェックの運用整備
アルコールチェックの義務化に対応するためには、アルコールチェックの運用体制を整備することが重要です。具体的には、下記のような運用ルールを事前に決めておきましょう。
- ・酒気帯びの有無は誰がどのように確認するのか
- ・安全運転管理者が不在の時は誰が代わりに確認するのか
- ・直行直帰で業務を行っている者の確認はどうするのか
- ・万が一アルコールが検出された際にはどのように対応するのか
ただアルコールチェッカーを導入すればいいというものではありません。事前に、アルコールチェックの運用ルールを考えたり、安全運転管理者がいない場合の対応方法を考えたりしなければならないのです。
また、運用ルールを社内に周知したり、運転者に対して安全運転のための教育をしたりする必要があります。
そのため、できるだけ早く準備を進めておくといいでしょう。アルコールチェッカー義務化の開始前に検知器を導入し、運用の検証期間を設けることをおすすめします。
6.アルコールチェック義務を果たさなかった場合の罰則
アルコールチェック義務を果たさなかった場合は、安全運転管理者の選任義務違反となります。罰則は2022年10月1日に改変され、責任はさらに重いものとなっています。
また、運転者が飲酒運転を行った場合は道路交通法違反となり、会社が責任を負わなければならない可能性があります。
より詳しく知りたい方は、「従業員の飲酒運転による会社の責任や対策方法」をご確認ください。
7.アルコールチェック義務化に関するQ&A
- アルコールチェックの義務化は飲まない人も対象?
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アルコールチェック対象の事業所に勤めている場合、お酒を飲まない・飲めないに関わらず、アルコールチェック義務化の対象です。
- アルコールチェックの目視確認はどうやる?
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アルコールチェックの目視確認は、目視で運転者の顔色や呼気の臭い、応答の声の調子などをチェックします。
- アルコールチェックの記録項目は?
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アルコールチェックの記録項目は、以下の8つです。
- 1. 確認者名(点呼執行者)
- 2. 運転者名
- 3. 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号など
- 4. 確認の日時
- 5. どのように確認したか(対面なのか・TELなのか・Webツールを使ったのか)
- 6. 酒気帯びの有無
- 7. 管理者からの指示事項
- 8. その他必要な事項
- アルコールチェッカーの使い方は?
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アルコールチェッカーの使い方は、アルコールチェッカーの種類によって異なります。大きく3つの種類があり、使い方は下記の通りです。
- 1. 吹きかけ式:検知器本体の吹込み口に息を吹きかける
- 2. ストロー式:市販のストローを差し込み、息を吹き込む
- 3. マウスピース式:検知器専用のマウスピースを使用して息を吹き込む
- 直行直帰時のアルコールチェックはどうする?
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直行直帰のアルコールチェックは、対面に準ずる方法での確認が認められています。たとえば、運転者に携帯型アルコールチェッカーを携行させ、ビデオ通話によって目視確認とアルコールチェッカーの結果確認をする方法などです。
- 白ナンバー車と緑ナンバー車の違いって何?
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白ナンバー車と緑ナンバー車は、用途が異なります。緑ナンバー車は事業用車でお客様の荷物を有償で運び、白ナンバー車は自社の荷物を自家用車で運びます。
アルコールチェックの義務化に関するよくある質問は、下記の記事で詳しくまとめているのでぜひ参考にしてください。
8.アルコールチェック義務化への対応は事前準備がポイント
アルコールチェックの義務化に対応するためには事前準備が大切です。アルコール検知器を用いたアルコールチェックは、予定通り2023年12月1日から義務化されます。アルコールチェッカーの選定や導入、運用ルールを早めに決めておきましょう。
アルコールチェッカーとは|種類や選び方、使い方、おすすめの検知器を徹底解説
当記事を参考に、アルコール検知器の義務化に向けて正しい準備を進めてください。