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飲酒運転を防止する5つの取り組み|飲酒運転の危険性や処分・罰則も合わせて解説

時として痛ましい結果を招き、深刻な社会問題となっている飲酒運転による交通事故。
飲酒運転は運転者本人だけでなく、車両提供者や同乗者、お酒を提供した人も厳しく罰せられます。

アルコールチェックの義務化ルールを徹底するためには、飲酒運転の危険性や法的処分について理解することが重要です。これにより、アルコール検知器を使用した酒気帯び確認への抵抗が減り、適切に法令を遵守することができます。

この記事では、飲酒運転の現状と危険性、飲酒運転防止に向けた5つの取り組みなどを解説します。

1.そもそも飲酒運転とは

飲酒運転は道路交通法において禁止されており、厳しい罰則も設けられています。

具体的には、

  • ・酒気帯び運転
  • ・酒酔い運転

の2種類に分類されます。

酒気帯び運転とは、呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0.15mg以上検出された状態で運転することをさします。一方で、酒酔い運転とは呼気中のアルコール濃度に関係なく、

  • ・まっすぐに歩けない
  • ・ろれつが回っていない
  • ・視覚が健全に働いていない

など、正常な運転ができない恐れがあり明らかに酔っぱらっている状態で運転することをさします。

2.飲酒運転の現状

令和5年中の飲酒運転による交通死亡件数は2,346件(前年比 +179件、+8.3%)で、そのうち死亡事故は112件(前年比 -8件、-6.7%)でした。

近年は減少傾向でしたが、平成20年以降減少幅は縮小しています。飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしと比較して約6.1倍と、飲酒運転によって引き起こされた事故は死亡事故に繋がる可能性が高いことがわかります。

参考:警察庁「飲酒運転による交通事故の発生状況(令和5年中)

3.飲酒運転が危険な理由

飲酒運転は、ビール等の酒類やアルコール成分を含む飲食物を摂取し、アルコール分を体内に保有した状態で運転する行為です。アルコールには麻痺作用があり、脳の働きを麻痺させて視力の低下や知覚や運転能力をつかさどる機能が抑制されてしまいます。

そのため飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力、注意力や判断力が低下している状態になり、交通事故に結びつく危険性を非常に高めてしまいます。

またお酒に弱い人に限らず強いと言われる人でも、低濃度のアルコールで運転操作等に影響をおよぼすことが各種研究でも明らかになっています。

飲酒が運転操作に与える影響

飲酒が運転操作に与える影響は主に5つあります。

①ハンドル・ブレーキ操作が遅れる

アルコールを摂取した状態では判断を司る大脳皮質の働きが低下していることから、急な歩行者の飛び出しがあった場合にブレーキ操作が間に合わないという事態が起こりえます。

また、飲酒運転は理性が失われていることから乱暴なハンドルさばきをしてしまい、運転車両の全損のみならず物損事故や歩行者への激突など重大な事故を起こしかねません。

②速度超過の危険がある

飲酒をすると気持ちの高ぶりなどによるアクセルを踏みっぱなしにした運転や、判断力の低下によりスピードの出しすぎに気が付かずに運転をし続ける可能性があります。

また、最近の自動車は安全装置なども発達してきていますが、速度超過時は安全装置の作動域を超える可能性もあります。

③視野が狭くなる

軽めの飲酒であっても飲酒運転は動体視力が落ち、有効な視野が狭くなり検出力が低下すると研究でも判明しています。
普段の運転であれば追い越し車両への反応や飛び出しの車両や歩行者に対処できても、視野が狭くなっている状況では対応が追いつかず車対車の事故や死亡事故につながりかねません。

④車間距離が掴めなくなる

停車中の前方車両との距離感覚が掴めなくなり、道路交通法で定められている「直前の車が急停止してもこれに追突しない距離を保持すること」に違反した運転をしてしまう可能性が高くなります。
罰則はもちろんのこと前方車両との衝突や接触事故の可能性は否めません。

⑤蛇行運転の危険がある

ハンドル操作にも繋がりますが、飲酒により体の平衡感覚が乱れているため、直進運転が出来ずに蛇行運転をする可能性が高まります。信号無視や歩行者の見落とし、カーブを曲がり切れず壁への激突や車両の落下など、悲惨な事故が起こりえます。

飲酒による運転への影響について、下記の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
関連記事:『飲酒による運転への影響|発覚した場合の罰則や対策まで解説

4.飲酒運転を防止する5つの取り組み

ここでは、従業員が会社の車両を運転する際に飲酒運転を未然に防止するための5つの対策を紹介します。

2023年12月より白ナンバー車両においても業務上で車を運転する場合は、運転前後のアルコールチェッカーの使用と原則対面での顔色・声色等の確認が義務付けられています。

アルコールチェッカーを購入すればそれでOKというわけではなく、これから紹介する5つの取り組みを参考にして、確実に飲酒運転を防止しましょう。

①点呼の徹底

飲酒運転を確実に防止するためには対面などによる点呼の徹底が必須です。
アルコールチェッカーでの検知はもちろんですが、対面や電話でのリアルタイムでの顔色や声色の確認を実施することが大切です。不正をしていないか、異常はないか等の確認も行いましょう。

②従業員への指導・啓蒙活動

実際に運転をする社員への指導や啓蒙活動も重要です。
「なぜ飲酒運転をしてはいけないのか」
「飲酒運転はどう危険なのか」
が十分に理解できていないと、アルコール検査を形骸化し飲酒運転に対する意識が低くなり、つい飲酒運転をしてしまうケースも発生してしまいます。運転を実施する社員への「飲酒運転」に関する教育を徹底することで飲酒運転の防止につながります。

とくに新入社員など会社の車を運転することに慣れていない人や、入社するまで日常的に運転をする習慣がなかった人は事故率が高くなりがちです。適切なタイミングで定期的に指導を行うようにしましょう。

③高性能なアルコールチェッカーの導入

ただアルコールチェッカーを導入するだけでは飲酒運転を確実に防ぐことはできません。
呼気中のアルコール濃度を正確に計測できる機器なのか、誤反応は少ないか、ごまかしができないかなど精度が保障されている検知器を導入することも飲酒運転を防止する大きな一歩となります。

非常に安価なアルコールチェッカーや海外製センサーを使用しているアルコールチェッカーの一部には、飲酒していないにもかかわらず何度検知をしてもアルコール数値が出てしまうものや、息を吹き込まなくても扇風機の風などを当てることで検知ができてしまうものもあります。価格だけで選ぶことのないよう、慎重に選定しましょう。

④社内処分の強化

飲酒運転に対する処罰や罰則はもちろん重い内容でありますが、社内での処分も強化する必要があります。
酒気帯びを確認した際の「乗務禁止」を命じるなどの厳正な処分があれば、社員の飲酒運転に対する意識も高められます。企業での飲酒運転に対する懲戒規定の制定や見直しを行うことも重要です。

「運転そのものを業務とする業界ではないから・・・」と思わずに、社員に業務上で運転をさせる場合は、飲酒運転は絶対に防止する責任があると思って厳しく対処しましょう。

⑤ハンドルキーパー運動

「ハンドルキーパー運動」とは、「グループが自動車で飲食店などに行き飲酒する場合、グループの中でお酒を飲まない人(ハンドルキーパー)を決めます。そしてその人はお酒を飲まずに、飲食後、仲間を安全に自宅まで送り届ける。」という飲酒運転防止運動です。

ハンドルキーパー運動を推奨している飲食店では、運転手に酒類を提供しないような配慮をしたり、ソフトドリンクを無料で提供している店舗もあります。

また、アルコール分「0.00%」のノンアルコール飲料であれば体内からアルコールが検出されることはありませんので、運転する日はアルコール度数0.00%のノンアルコールビールなどで雰囲気だけ味わうなど工夫しましょう。

参考:一般社団法人 全日本交通安全協会「ハンドルキーパー運動

 

関連記事:
【危険】ノンアルコールビール(飲料)を飲んで車の運転をしてもいいの?対策と選び方を解説
従業員の飲酒運転(酒気帯び運転)による会社の責任と仕事への影響|事例と対策4選

5.飲酒運転による処分・罰則

飲酒運転をしてしまうと行政処分だけではなく、重い罰則もあります。また罰則は運転者だけではなく、同乗者や車両提供者にまでおよびます。それぞれどのような罰則があるのか見ていきましょう。

酒酔い運転をした場合

「酒酔い運転」とはアルコール濃度の検知値に関係なく、アルコールの影響で正常な運転ができない恐れがある状態で運転することを指します。

運転者

当然のことですが、飲酒運転をした人には重い処分が与えられます。

行政処分 ※1 違反点数 35点
免許取消(欠格期間3年 ※2
罰則 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

(※1)行政処分とは、前歴や累積の点数がない状態における処分内容
(※2)欠格期間とは、運転免許が取り消された場合に運転免許を取得することができない期間

もし、飲酒運転をして人を死傷させてしまった場合は「危険運転過失致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」としての処分を受けることもあります。

車両提供者

運転手が飲酒をしたことを知りながら車を貸し出した人は、「車両等提供罪」に該当します。提供者の定義としては、車両の名義ではなく、鍵を渡した・使用を許可したなどの任意の行為があった際に「車両等提供罪」が成立します。

罰則 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

同乗者

運転手に対してアルコール類を提供したり飲酒をすすめた場合や、飲酒運転と知っていて同乗することを依頼する行為にも重い罰則があります。

罰則 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

酒気帯び運転をした場合

「酒気帯び運転」とは呼気中のアルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上含まれている状態で運転することを指します。

運転者

飲酒運転をした運転手には重い罰則も与えられます。

  呼気に含まれるアルコール濃度が
1リットルあたり0.15mg以上0.25mg未満
呼気に含まれるアルコール濃度が
1リットルあたり0.25mg以上
行政処分 違反点数 13点 違反点数 25点
免許停止(停止期間90日) 免許取消(欠格期間2年)
罰則 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

車両提供者

運転手が酒気帯び運転した場合

罰則 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

同乗者

運転手が酒気帯び運転した場合

罰則 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

 

関連記事:
酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準や処分・罰則内容をわかりやすく解説
自転車で飲酒運転した場合の罰則は?免許停止や事故を起こした場合の対処について

6.飲酒運転の防止策に関するよくある質問

飲酒運転を防止するための対策は色々存在します。
ここでは飲酒運転の防止策に関するよくある質問を見ていきましょう。

飲酒運転対策の具体例は何ですか?

飲酒運転対策の具体例は下記の5つです。

  • ・「飲んだら乗るな」を徹底する
  • ・周囲に「今日は運転するから飲まない」ということを伝える
  • ・アルコールの影響を過小評価しない
  • ・運転代行を使用する
  • ・公共の移動手段を利用する
飲酒運転をなくすための3つの約束とは何ですか?

【飲酒運転をなくすための3つの約束】

①お酒を飲んだら運転しない

運転者はお酒を飲んだら運転せず、公共交通機関や運転代行を利用しましょう。
翌日のアルコールの残量などは個人差によって異なり、翌朝にもアルコールが残っている可能性もあります。そのため翌日運転する場合は、それを考慮した飲酒量や時間を心がけましょう。

②運転する人にお酒を飲ませない

運転する可能性のある人にはお酒をすすめたり、飲ませることはやめましょう。

③お酒を飲んだ人には運転をさせない

飲酒した人には絶対に運転をさせないこと、飲酒をした人の車へは同乗しないことを徹底しましょう。

 

参考:PR TIMES「飲酒運転根絶のために!「3つの約束」

7.まとめ

今回の記事のポイントをまとめました。

  • ・飲酒運転が危険な理由や罰則や処分について理解することが大切
  • ・点呼の徹底や社員の指導、ハンドルキーパーの利用などで飲酒運転を防止する取り組みが必要
  • ・お酒を飲んだら運転しない、周りも運転させないなどドライバーだけでなく周囲も強い意思を持つことが大切

飲酒運転を根絶するためには、飲酒運転が非常に危険な行為であることを十分理解した上で、運転者とその周囲の人が飲酒運転は「しない!」「させない!」という強い意志を持ち、皆で協力することが大切です。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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