アルコールチェッカーの便利な管理方法とは
トラックやバス・タクシーなど、いわゆる「緑ナンバー」の車両を扱う運送事業者だけでなく、鉄道や航空、船舶業界でも、今では必要不可欠なアルコールチェッカー(アルコール検知器)。
皆様の会社では、日々ドライバーや運転手のアルコールチェックの実施や点呼の記録はどのように管理をしていますか?
「ドライバー自身に測定結果を報告してもらっている」
「レシートが出るタイプのアルコールチェッカーを使っていて、記録簿に貼り付けて保管している」
このような管理方法はコストはあまりかからないというメリットはありますが、ドライバー側も管理者側も手間と時間がかかってしまう、また、必要な情報がすぐに取り出せないなどのデメリットもあります。
「もっと効率良く簡単に管理ができないのか…」とお困りの方。
点呼記録を簡単に管理する方法があることをご存じですか?
この記事では、簡単で効率の良い管理方法をご紹介します。
1.アルコールチェックとは
そもそも、アルコールチェックとは機器に息を吹きかけて、体内の残留アルコール濃度を測定することです。アルコールチェッカー(アルコール検知器)と呼ばれる機器を使用し行います。
アルコールチェックと聞くと、警察が行う「飲酒検問」を連想される方もいらっしゃると思います。飲酒検問ではこれまで主に署員が運転者の顔に鼻を近づけて息のにおいをかぎ、飲酒の疑いがあれば、風船を膨らませる方式の飲酒検知器で呼気中のアルコール濃度を測っていました。しかし最近では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためアルコールチェッカーを用いて行う方法に切り替わりつつあります。
ほかにも、社員の飲酒運転防止のためなどの理由で、さまざまな業界で取り入れられつつあるアルコールチェッカーですが、まずは「アルコールチェック」について詳しく説明します。
すでに知っているという方は3.データ管理のメリット以降をご覧ください。
1-1 アルコールチェックの義務化
運送会社・航空会社・タクシー会社・船舶会社など、一般的にドライバー・運転手と呼ばれる職業の社員を雇用している企業は、平成23年5月1日より点呼の際にアルコール検知器(アルコールチェッカー)を使用して、運転者の酒気帯びの有無を確認することが義務化されました。
【関連記事】アルコールチェック義務化の概要
義務化の内容は下記の通りです。
▼アルコール検知器(アルコールチェッカー)の備え付けに関して
・営業所ごとにアルコール検知器(アルコールチェッカー)を備える
・遠隔地で乗務を終了または開始する場合には、運転者に携帯型のアルコール検知器(アルコールチェッカー)を携行させる
▼点呼時の運転者の酒気帯び有無確認の際のアルコール検知器(アルコールチェッカー)使用
・乗務の開始前、終了後等において実施することとされている点呼の際に、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子を目視等で確認することに加え、アルコール検知器を使用することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認する
▼アルコール検知器の保守
[毎日確認]
・電源が確実に入ること
・損傷がないこと
[週1回以上確認]
・酒気を帯びていない者がアルコール検知器を使用した場合にアルコールを検知しないこと
・アルコールを含有する液体又はこれを希釈したものを、口内に噴霧した上でアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知すること。
▼上記違反した場合の処分
違反内容 | 初違反 | 再違反 |
---|---|---|
アルコール検知器の備え義務違反 |
60日車 車両使用停止 |
120日車 車両使用停止 |
アルコール検知器の常時有効保持義務違反 |
20日車 車両使用停止 |
40日車 車両使用停止 |
上記のように義務化がされても、「点呼の一部を実施しなかった」「点呼記録簿をつけていなかった」などの理由から、監査で行政処分を受けている会社もあります。
改めて義務内容を確認し違反している項目がないか、点呼方法・管理を見直すのも良いかもしれませんね。
1-2 多くの業界でアルコールチェックを実施
先ほど、一般的にドライバー・運転手と呼ばれる職業を雇用している企業は、平成23年5月1日より点呼の際にアルコール検知器を使用することが義務化されたと記載しましたが、現在では、ドライバー・運転手と呼ばれる職業以外(営業車や自社運用車など、いわゆる白ナンバー)にもアルコールチェッカーが普及しつつあります。
その理由としては、大きくは下記3つです。
コンプライアンス遵守
1番重要なポイントといっても過言ではありません。運転者本人だけでなく社員全体へ教育を行い、飲酒運転を「しない、させない」を徹底させる
社員の飲酒意識向上
翌日に残らないお酒の量、飲みすぎない意識付けや、翌日の車の運転を考え、お酒を飲み終える時間を早めるなどの翌日の業務を考慮した飲み方を意識
社員の健康管理
アルコール依存症、急性アルコール中毒、肝障害、すい臓病、循環器疾患、メタボリックシンドローム、糖尿病、がんなどの防止
また、最近はインターネットやSNSが普及したこともあり、社員が飲酒運転事故を起こしたということがニュースになれば、すぐに拡散されてしまいます。
そうなると会社が社会的信用を失い、最悪の場合は経営が困難になるケースも。さらに、社員自身も職を失い処分を受けなくてはならなくなります。
今後もさらに、飲酒運転撲滅の動きは加速していくと考えられます。
アルコールチェックが義務付けられていなくても、社員・会社どちらも守るための意識改革として、アルコールチェッカーの導入を検討していきたいですね。
【関連記事】アルコールチェック義務化の概要
2.アルコール測定結果の管理方法
アルコールチェッカー(アルコール検知器)で測定した結果を保存・管理するには、紙上で行う管理方法とPC上で行う管理方法があり、購入するアルコールチェッカーによって管理方法が異なります。
管理方法 | 保存方法 |
---|---|
紙 | ドライバー本人が検知結果を報告、管理者が記録簿に記入 |
検知器がレシートに検知結果を印字、管理者が記録簿に貼付 |
|
PC | 検知器専用のソフトをPCにインストールし、検知結果をPC上で管理 |
検知器本体に保存されたデータをPC上に移管させ保存 |
|
クラウド上に全データを保存。全データを一括で管理 |
紙で管理するタイプのアルコールチェッカーは、低コストで導入できることがメリットとして挙げられますが、検知結果の保存ができず、紙にすべて記入して管理しなければならないため、ドライバーの報告・管理者の記入作業に時間を要するといった手間がデメリットです。
一方、PCで管理ができるタイプのアルコールチェッカーには、検知結果がそのままPCに保存されるなどの機能があるものもあります。さらに、検知データの紛失や記入間違いの心配はなく、管理に時間を割かなくていいということがメリットとして挙げられます。
次の項目では、PC上でデータ管理を行うメリットについてご紹介したいと思います。
3.データ管理のメリット
データ管理の方が便利だとしても「紙管理タイプのアルコールチェッカーの方が、低コストで購入できるなら紙管理で良いのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
この項目では、データ管理のメリットについてご紹介します。
運送業などのいわゆる緑ナンバーの車を所有している事業者では、点呼を行った人・点呼を受けた運転者の氏名や点呼日時、方法、ドライバーに対して乗務前・乗務後等に行う、アルコールチェッカーを用いた酒気帯びの有無確認、健康状態・車両の点検項目等などを記録する「点呼記録簿」の記入が義務付けられています。
上記の点呼記録には、運送事業輸送安全規則によって1年間保管しなければならないという義務があり、点呼の記録義務違反等が発覚した場合、行政処分となってしまいます。
点呼記録簿を手書きで記入し、ドライバー一人ひとりの管理を全て紙上で行うとなると、
・手書きでの記録時間と労力
・誤字脱字
・取り出したい情報をすぐに見つけられない
・保管場所(ロッカー)が必要で、保管期間が経過した書類を整理をする手間
・点呼記録の改ざんが可能
・各拠点の記録状況をすぐに確認できない
など、2.アルコール測定結果の管理方法でもお伝えしましたが、やはり時間と労力を要することがデメリットとして挙げられます。
また、時間を削減しようと管理者の人数を増やすと、人件費が余分にかかってしまうこととなります。
それが全てデータ管理となった場合、
・手書き時間が削減
・誤字脱字がなくなる
・ほしい情報がすぐに取り出せる
・保管場所(ロッカー)が不要、保管期間が経過した書類の整理が簡単
・点呼記録の改ざんが不可
・各拠点の記録情報の確認がしやすい
と、紙管理で懸念されていたことが全て解決することとなります。
また、データ管理の場合は「紙でも管理したい」といった場合にも、PC上から印刷をすれば手書きせずとも、簡単に紙での管理が可能です。
現在さまざまな企業からアルコールチェッカーが販売されていますが、アルコールチェッカー本体の性能だけではなく「どのように管理したいか」という、運用方法も併せて検討していただくことをおすすめします。