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酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準や処分・罰則内容をわかりやすく解説

「飲酒運転の基準や罰則は厳しい」という話を、皆さまはニュースだけでなく会社でも耳にしたことがあるかと思います。

しかし、厳しいと言われても具体的に飲酒運転で引っかかる量や基準値について詳細を知らない方や、飲酒運転の罰則について細かく知る機会は意外と少ないのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、

  • ・飲酒運転の種類
  • ・酒酔い運転と酒気帯び運転の基準
  • ・飲酒運転による行政処分などの罰則

について紹介します。

1.飲酒運転の基準

今となってはかなり厳しい罰則が規定されている飲酒運転ですが、昔は飲酒運転に対する罰則はありませんでした。

最初に飲酒運転の罰則強化の動きがあったのは2002年と言われています。これは1999年に起こった東名高速道路での飲酒運転トラック事故など、悪質な飲酒運転による事故が1990年代後半に相次いだためだと考えられます。
その後2007年には罰則が強化され、2009年に違反点数が引き上げられ現行の内容になっています。

それでは、飲酒運転の基準は具体的にはどのように定められているでしょうか。飲酒運転とは大きく2種類に分けることができます。種類ごとに罰則や行政処分の基準も変わるので、実際に見ていきましょう。

1-1  飲酒運転の種類

飲酒運転には、

  • ・酒酔い運転
  • ・酒気帯び運転

の2種類があります。

①酒酔い運転

アルコール濃度の検知値には関係なく、アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態で運転することを指します。

  • ・まっすぐに歩けない
  • ・受け答えがおかしい
  • ・視覚が健全に働いていない

など、認知能力低下の有無で判断されます。

呼気中のアルコール濃度が処分対象の値に満たない場合でも、体質によっては酒酔い運転に該当することもあります。

②酒気帯び運転

呼気中のアルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上含まれる状態で運転することを指します。

たとえ運転や警察官との話し合いに問題がなくても、呼気中のアルコール濃度の基準を超えた時点で行政処分や罰則を免れることはできません。

酒気帯び運転の基準値や罰則については下記の関連記事で詳しく解説しています。
関連記事:『アルコールチェッカーの数値|酒気帯び運転の基準値や罰則、注意点について解説

次に、飲酒運転の行政処分について見ていきましょう。

1-2  飲酒運転の行政処分

そもそも行政処分とは、将来の道路交通上の危険を防止する目的で行われる処分のことです。

行政処分には、「運転免許の停止」と「運転免許の取消」の2種類があり、違反点数に応じて処分や処分期間が確定します。この点数制度は、道路交通法を犯してしまった場合に下記の処分対象になります。

違反行為 行政処分※1 違反点数
酒酔い運転免許取消(欠格期間3年 ※235点
酒気帯び運転①
呼気に含まれるアルコール濃度が
1リットルあたり0.15mg以上0.25mg未満
免許停止(停止期間90日) 13点
酒気帯び運転②
呼気に含まれるアルコール濃度が
1リットルあたり0.25mg以上
免許取消(欠格期間2年 ※2 25点

(※1)行政処分とは、前歴や累積の点数がない状態における処分内容
(※2)欠格期間とは、運転免許が取り消された場合に運転免許を取得することができない期間

 

免許停止3か月でも著しく日常生活や業務に支障をきたしますよね。
「酒は飲んだがアルコールは抜けたはずだから、運転しても自分はきっと大丈夫だ」と過信すると酒酔い運転になってしまうこともあります。酒酔い運転になると免許取消だけではなく、3年間は免許の取得すらできません。

ほんの少しの出来心や油断が破滅へと導きかねませんので、常に気を引き締めて運転するようにしましょう。

酒気帯び運転になる例:ビール中瓶1本の場合

ビール中瓶1本を飲んだ場合でも呼気中のアルコール濃度は0.10mg~0.20mgになると言われています。アルコール濃度が0.15mgを超えている場合は酒気帯び運転に該当し、0.15mgを下回っている場合でも酒酔い運転だと認定されることもあります。

また、実際に呼気中のアルコール濃度が1リットルあたり0.10mgでも、反応時間の遅れや注意力が散漫になると言われています。量にかかわらず、少しでもお酒を口にした場合は運転をしないようにしましょう。

ちなみにビール中瓶1本を飲んだ場合、体質によっても変動しますが体重60kgの男性でもアルコールが分解されるまでに4時間以上かかります。もし浴びるように酒を飲んだ翌日に、万が一周りに車の運転を懇願されたとしてもハンドルを握らず、助手席や後部座席を死守しましょう。

実際に飲酒をした場合どれくらいで抜けるのか実験をおこないました。詳しくは下記記事をご覧ください。
関連記事:『【実験】飲酒後どのくらいの時間でアルコールが抜ける?アルコールチェッカーを用いて測定

2.酒酔い運転・酒気帯び運転による罰則

飲酒運転をしてしまうと行政処分だけではなく、重い罰則もあります。また、罰則は車両の運転者だけではなく、運転者、同乗者、車両提供者にまでおよびます。それぞれどのような罰則に該当するのか見ていきましょう。

2-1  運転者

酒酔い運転5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
酒気帯び運転3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

当然のことながら、飲酒運転をした人には重い罰が与えられます。
「本当は運転したくなかったが、無理矢理に運転をすすめられて仕方なく運転した」など、いかなる事情があったとしても、罰は等しく与えられます。そのため、周りにすすめられても飲酒後は絶対に運転をしてはいけません。

もし、飲酒運転をして人を死傷させてしまった場合は「危険運転過失致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」として処罰を受ける可能性もあります。

飲酒運転の危険性や、防止するための取り組みについて下記の関連記事で詳しく解説しています。
関連記事:『飲酒運転を防止する5つの取り組み|飲酒運転の危険性や処分・罰則も合わせて解説

2-2  同乗者

運転手に対してアルコール類を提供したり飲酒をすすめた場合や、飲酒運転と知っていて同乗することを依頼する行為にも罰則が与えられます。

(運転者が)酒酔い運転3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
(運転者が)酒気帯び運転2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

このように「自分も飲んでいたけれど、運転していなかったからラッキーだった」とはなりません。
また、「無理矢理に運転を押し付けてよかった」ともなりません。無情にも助手席や後部座席の同乗者にも罰はおよびます。

もし、自分以外が飲んでいた場合は「飲んでいないから運転します」と名乗り出ましょう。どうしても運転したくない場合や運転できない状態の場合は、公共交通機関を利用して帰りましょう。

ちなみに、飲酒後は自転車に乗っても罰則の対象となり、さらに免許取り消しなどの行政処分を受けることもあります。下記の関連記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:『自転車で飲酒運転した場合の罰則は?免許停止や事故を起こした場合の対処について

2-3  車両提供者

運転手が飲酒をしたことを知りながら車を貸し出した人は、「車両等提供罪」に該当します。提供者の定義としては、車両の名義ではなく、鍵を渡した・使用を許可したなどの任意の行為があった際に「車両等提供罪」が成立します。

(運転者が)酒酔い運転5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(運転者が)酒気帯び運転3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

車両提供者と運転者の罪の重さは変わりません。そのため、「どうしても運転をしたい」と飲酒者が運転を望む場合でも、心を鬼にして断る必要があります。

関東電気保安協会様は、LINE WORKSを用いて有反応が出た際には、必ず0.00mg/ℓになるまで再検知を実施されています。0.00mg/ℓにならない場合は、管理者よりその日は運転をしないように指示をされています。詳しくは下記の導入事例をご覧ください。
関連記事:『導入事例|関東電機保安協会

3.まとめ

今回の記事のポイントをまとめました。

  • ・飲酒運転には酒気帯び運転と酒酔い運転の2つに分かれる
  • ・呼気中に含まれるアルコール濃度によっては免停もある
  • ・飲酒運転をした本人だけではなく、同乗者や車両提供者にも罰則がある

「自分はお酒に強いから大丈夫だ」と思いこんでいる人でも、呼気中のアルコール濃度は常に等しく真実を突きつけてきます。また、罰則は運転者だけでなく、同乗者や車両提供者までにおよびます。

「お酒は強いけれども数値がわからないから運転はやめておこう」
「将来の道路交通の安全を守るのは行政処分ではなく、自分たちが飲酒運転をしないと強く意識することだ」という気持ちで、日本の交通安全を保っていくことがとても重要です。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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