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アルコールチェッカーって鼻息でも測定出来る?

アルコールチェッカー(アルコール検知器)は機器に息を吹きかける(吹き込む)だけで、体内の残留アルコール濃度を数値化してくれる便利な機器です。

血液を採取して検査する方法と違い、呼気アルコール濃度を測定するのはアルコールチェッカーに息を吹き込むだけ。非常に手軽で痛みを伴わず、どこでも実施することができるため、業務用でもアルコールチェッカーを利用しての測定が一般的です。

では、そのアルコールチェッカーは口から吐いた息だけでなく、鼻息でも測定は可能なのでしょうか?
この記事では、そんなちょっとした疑問にお答えするとともに、アルコールチェッカーを使用するうえで注意していただきたいことや、そのほか役に立つ情報をご紹介していきます。

1.アルコールチェッカーの使い方と鼻息での測定

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運送業など、業界的にアルコールチェッカー(アルコール検知器)を使用して、体内のアルコール濃度を測定することが義務付けられている、職業運転手(ドライバー)の方々は毎日アルコールチェッカー使用していると思いますが、アルコールチェッカーには同じ呼気を測定するものでも、測定方法がいくつかあることをご存じでしょうか?

この項目では、アルコールチェッカーの測定方法と、鼻息で測定はできるのか?についてご紹介します。

1-1 吹き込み式と吹きかけ式

呼気で測定するタイプのアルコールチェッカー(アルコール検知器)での測定方法は大きく3つ。同じ呼気を測定する機器でも特徴はさまざまです。

▼測定方法のタイプ

タイプ 特徴
吹きかけ式

機器本体の吹き込み口に息を吹きかけて使用するタイプ

ストロー式

ストローを差し込み、ストローを咥えて息を吹き込み使用するタイプ。吹きかけ式よりも周囲の空気の影響を受けにくく、息を逃しにくいため精度が高い。

マウスピース式

機器専用のマウスピースを使用して息を吹き込むタイプ。ストロー式同様、吹きかけ式よりも周囲の空気の影響を受けにくく、息を逃しにくいため精度が高い。

ストロー式・マウスピース式は機器の内部に息を吹き込むタイプですので、必ず口でストローもしくはマウスピースを咥えて測定を行わなければ、測定はできません。
また、測定結果の表示方法はどのタイプでも同じで、呼気1リットル中に含まれるアルコール濃度(mg)が機器本体に表示されます。もし、呼気中アルコール濃度がゼロだった場合[0.00mg/L]という数値が表示されます。

1-2 鼻息での検査方法って?

上記でご紹介した測定方法のなかで吹きかけ式のアルコールチェッカーは、機器の上部に息を吹きかける構造になっており「鼻息でもアルコールチェックは可能なのか?」という疑問に関して結論を言うと「機器に息をかけることができれば可能」です。

吹きかけ式のアルコールチェッカーは簡易型や簡易携行型とも呼ばれる種類の機器で、軽量で小型なものが多く価格もリーズナブルなため、個人で使用する方が多いタイプです。

ただし、通常通り口で吹きかけたとしても、ストロー式やマウスピース式のような息を吹き込むタイプのアルコールチェッカーと比べ、吹きかける角度や強弱により流量が変わり、測定結果にバラつきが起きやすく、更に周囲の空気の影響を受けてしまう場合があるのが吹きかけ式のアルコールチェッカーです。

また、鼻息は口で吹きかけるよりも息の量が微量となる可能性が高いことを考慮すると、正確に測定を行いたいのであれば、口でしっかりと吹きかける、もしくは周囲の空気に影響されにくいストロー式かマウスピース式の吹き込むタイプを使用することをおすすめします。

1-3 鼻息で測定すると結果に変化はあるの?

ここまで「もしも鼻息で測定するとしたらどのように行うのか」についてご紹介しましたが、「口から吐いた息を測定するのと、鼻から出した息を測定するのと、測定結果に違いはあるの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

既にお察しかもしれませんが、結論はもちろん「測定結果に違いはない」です。

「鼻呼吸」は空気中のごみを取り除くフィルターや空気の温度を体温と同じ温度に暖める役割をしているのに対し、「口呼吸」は空気中のゴミがそのまま気管支や肺に入ったり、乾いた空気がそのまま気管支や肺に入るなどの違いはありますが、アルコールチェックには影響しません。

1-2鼻息での検査方法って?でもご紹介したように、鼻息で測定ができる吹きかけ式のアルコールチェッカーは、吹き込み式よりも周囲の空気の影響を受けやすいタイプのため、「業務用でアルコールチェッカーを導入したい」もしくは「既に業務用でアルコールチェッカーを導入しているが、吹きかけ式を使用している」という企業様は、より正確に数値を測定できる吹き込み式のアルコールチェッカーをご検討していただいた方が良いかもしれません。

2.アルコールチェッカーの知っておくべき知識

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ドライバーの方は、アルコールチェッカーを普段利用しているとお酒を飲んでいないのにアルコール反応が出てしまったことはありませんか?

また、管理者の方は、対面でアルコールチェックを行えるのであれば心配はいりませんが、非対面で行っている場合、見えない分管理が不安に感じることはありませんか?

この項目では、アルコールチェッカーを使う上で知っておくべき情報をお伝えしていきます。

2-1 日常で使用しているアレも検査で引っかかる?

普段飲食しているものや、使用しているものがアルコールチェックの測定結果に影響を与える可能性のある物質を含んでいるケースがあります。気を付けないと「お酒を飲んでいないのにアルコールチェッカーでアルコールが検知されてしまった」ということも起こるため、改めてドライバーの方々は確認するようにしましょう。

▼アルコールチェッカーの測定結果に影響を与えるもの(一例)

要因 一例

直前に食べた食べ物の添加物

飴、ガムやスナック菓子の清涼剤、キシリトールやメントール
プリンやキャラメルの香料 など

体調や被験者の体質

糖尿病や腸からガスが出やすい方、空腹時など体質によっては食べてもいないのに体内から発生する雑ガスから反応するケースがある

検知場所

測定前に消臭剤、芳香剤、掃除用クリーナーなど、アルコール成分を含む製品を使用した商品

栄養ドリンクなどでも反応する場合があるので、測定前にはしっかりと真水でうがいまたは水や白湯をコップ1杯以上飲んでから測定するのが良いでしょう。

運送業では、出発できるアルコール基準値は道路交通法の罰則基準より厳しい[0.00mg/L]です。万が一アルコールが検出されてしまった場合は、時間を空けて0.00mg/Lになるまで出発を待つ、もしくはその日の業務に就けない可能性もあるため、要注意です。

さらに、「前の日にお酒を飲んだけど、いつもと同じ量だし大丈夫」と思っていても、体調によっては十分に分解されていない危険性も。

ドライバーの皆さんは万が一を考えて行動するように心がけましょう。

2-2 実際にあったアルコールチェック時の不正

いくら管理者側が徹底して管理を行っていても、見えないところで行われている不正は見抜くのは難しいでしょう。

もし、アルコールチェック時に不正を行った運送業ドライバーが飲酒事故を起こした場合、いくらドライバー本人が不正をしていたとはいえ、雇用する運送会社も罰則を受けることとなります。
このとき、所属する運輸局などによる行政の特別監査などが実施され、運送会社のドライバーに対する管理体制や、指導体制が整備されているのかどうかの調査が入り、特別監査を経て、行政処分が決定されますが、飲酒運転が引き起こした事故に対しての指導監督義務違反については、違反した運送会社の営業所単位において7日間の事業停止処分となります。

こうしたことは言わずもがな起きてから対処するのでは既に手遅れです。
未然に防ぐためにも、過去に実際に起きた不正をご紹介したいと思います。


事例その1
運転手Aがアルコールチェッカーを使用し、検知を行った際にアルコールが検出されたため、2回目以降のアルコールチェックを同行していた運転手Bに行わせた。

事例その2
運行管理者が目を離したスキに本人ではなく、同僚の運転手が身代わりに測定を行った。

事例その3
出張先で飲酒し、隠すためにアルコールチェック時は電動ポンプを使用してアルコールチェッカーに空気を吹き込み測定を行った。

事例その4
アルコールチェッカーのストロー部分に穴をあけてチューブを差し込み、小型ポンプから空気を吹き込み、測定を行った。


上記を見てわかるように、なりすましや呼気を吹き込まない方法での不正が多く、管理側の人の力だけでは防ぐのはなかなか難しい事例ばかりです。また、怪しいなと感じたとしても、雇用しているドライバーを疑うのも気が引けますよね。

そんな管理者の皆さんの役に立つ、アルコールチェッカーに搭載された不正防止機能をご存じですか?詳しくは次の項目をご覧ください。

2-3 アルコールチェッカーの不正防止機能

上記でご紹介した、アルコールチェック時の不正は、不正防止機能が備わっているアルコールチェッカー(アルコール検知器)なら未然に防ぐことが可能となります。
どのような機能があるのか、一部ご紹介します。


測定中の顔写真・動画撮影機能
主にスマートフォンやタブレット、PCと連動して使用するタイプや、機器本体にカメラが搭載されているアルコールチェッカーに備わっている機能。
測定中の顔を自動で撮影することで、なりすましを防止。

位置(GPS)情報の自動取得
遠隔地で使用が可能なアルコールチェッカーで、スマートフォンやタブレットと連動できるタイプの機器が主に活用する機能。
ドライバーが測定した位置情報を把握することにより、なりすましを防止。

測定結果の自動送信
測定後、ドライバー本人が操作をしなくても自動で検知結果が管理者側へ送信される機能。
アルコール濃度が検知された場合でも自動送信されるため、測定やり直しによる不正やなりすましを防止。

正しく呼気を吹かなかった場合のエラー表示
測定時に呼気の量が少なすぎる・定められた秒数吹かなかったなど、正しく測定しなかった際、エラー表示にて再検査を促す機能。
測定時のごまかしを防止します。

写真付きの検知結果の保存
測定中の顔写真・動画撮影機能が搭載されたアルコールチェッカーから送信された、測定中に撮影した顔写真を検知結果データとともに、PC上やクラウド上へ保存できる機能。
不正があった場合でもすぐにデータの確認が可能。


アルコールチェッカーに不正防止機能が搭載されていることによって、不正を防止できることが大きな利点ですが「ごまかせない」ことによって、ドライバー側の飲酒に対する意識向上にも繋がります。

業務用でアルコールチェッカーを使用する際は性能ももちろん大切ですが、上記のような不正防止機能もあわせてチェックしながら選定してみてください。

3.まとめ


ここまで、アルコールチェッカーは鼻息で測定ができるのか、アルコールチェッカー使用の際の不正などについてご紹介してきました。

もしかすると、「アルコールチェッカーでアルコールをごまかす方法はあるのか?」が気になって調べているうちに、この記事にたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。

「このくらいなら大丈夫」「自分はお酒に強いから大丈夫」などといった過信は禁物です。

“飲んだら乗るな 乗るなら飲むな”
ドライバーの方々はこれを改めて肝に銘じて、飲んだ当日だけでなく翌日のことも考慮して行動するように意識しましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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