アルコールチェッカーで「エラーばかり出る」原因や対処法・清掃や校正のポイントを解説

アルコールチェッカーは、飲酒運転を未然に防ぐ重要なツールであり、運送事業者をはじめ、特定の条件に該当する企業は、運転前後のアルコールチェックが義務化されています。

アルコールチェッカーのトラブルや故障を放置した場合、行政処分の対象になる可能性があるため、適切に使用することが重要です。

しかし中には、適切に使用しているにもかかわらず、「エラーばかり表示」され、対処に戸惑った経験を持つ人も多いようです。

そこで本記事では、アルコールチェッカーでエラーばかり出てしまう原因と対処法、清掃や校正のポイントについて詳しく解説します。

アルコールチェッカーを正しく使うためのコツを押さえ、法令を遵守した安全管理を行いましょう。

1. アルコールチェッカーでエラーばかり出る5つの原因

アルコールチェッカーでエラーばかり出る場合、使用方法や使用環境に問題があることが多く、正しく使っているつもりでも見落としがちなポイントが潜んでいます。

そこで本章では、息の吹き込み方から保管状況、さらには本体自体の不具合まで、エラーを引き起こす5つの主な原因を詳しく解説します。

息が強すぎる or 弱すぎる

アルコールチェッカーは精密機器であり、適切な息の強さで測定ができるよう設計されています。

息が強すぎるとセンサーが過負荷になり、逆に弱すぎると十分なサンプルが得られず、エラーばかり出てしまいます。

また、芳香剤の香りやタバコの煙が充満する車内での使用も、正常な測定ができない原因のひとつです。

業務用などの性能が良いアルコールチェッカーほど反応しやすくなるため、使用環境には十分注意しましょう。

吹き込み口に息が当たっていない

エラーばかり出る場合、気づかないうちに、吹き込み口を指で塞いでいる場合があります。

また、アルコールチェッカーは、「吹きかけ式」と「吹き込み式(ストローやマウスピースを使用)」の2種類があり、特に吹きかけ式は、周囲の空気の影響を受けやすく、比較的エラーが表示されやすい傾向があります。

エラーばかり出てしまう場合は、指で塞がないように注意して持ち、本体に口を近づけて、まっすぐ息を吹きかけるように意識しましょう。

保管温度が適切でない

極端に高温または低温での保管・使用は、センサーの性能が低下し、エラーばかりが出てしまう原因になります。

アルコールチェッカーは、メーカーや機種ごとに、適切な使用温度と保管温度が定められているため、事前の確認が重要です。

パイ・アールのアルコールチェッカー「アルキラーNEX」の場合、以下の温度・湿度範囲での使用・保管を推奨しています。

【アルキラーNEX(モバイル版)の温度・湿度範囲】
使用温度範囲 使用湿度範囲 保管温度範囲 保管湿度範囲
0℃〜40℃ 湿度10%〜90%RH(被毒性ガス、および結露なきこと) 0℃〜50℃ 湿度5%〜95%RH(被毒性ガス、および結露なきこと)

アルコールチェッカーだけでなく、スマートフォンも気温や湿度の影響を受けやすいため、炎天下や冬場の車内に、アルコールチェッカーと一緒に放置しないように気をつけましょう。

参考:アルキラーNEX|クラウド型アルコールチェッカー【アプリで簡単操作】

一時的なシステムエラー

アルコールチェッカーは電子機器なので、システムエラーが一時的に発生することがあります。

内部メモリの不具合や一時的な通信エラー、電池やアダプターの接触具合が原因で、正常な測定ができないケースが考えられます。

再起動をしたり、取扱説明書に記載されたリセット方法を確認し、適切に対処しましょう。

本体が故障している

アルコールチェッカーは、使用期限と使用回数の上限が必ず定められており、使い方次第では寿命が早まる場合もあります。

多くのアルコールチェッカーの使用期限は半年〜1年程度、使用回数上限は1,000回〜数万回程度に設定されています。

正しい使い方をしているにもかかわらず、エラーばかり出る場合、上限を超えていたり、本体が故障している可能性があるため、修理や買い替えを視野に入れて、安心して使える環境を整えましょう。

関連記事:『アルコールチェッカーの寿命|使用期限や買い替え時期、おすすめ検知器を紹介

2. アルコールチェッカーでエラーばかり出る時の6つの対処法

エラー表示が続くと不安になりますが、適切な対処を行えば、解消できる場合がほとんどです。

そこで本章では、エラーばかり表示される際に試してほしい6つの具体的な対処法を紹介します。

トラブルを未然に防ぎ、適切なアルコールチェックを行うためのポイントを押さえましょう。

しっかり息を吹きかける

息が弱すぎたり、強すぎたりするとエラーばかり出てしまう可能性があるため、安定した強さで3〜5秒間(アルコールチェッカーごとに定められた秒数)程度吹きかけることを意識しましょう。

息が続かない、吹きかけるポイントが分からない場合、ドリンク用のストローを、本体の吹きかけ口にあてて測定する方法もあります。

ただし、センサーの故障をまねく恐れがあるため、事前に取り扱い説明書やメーカーに確認しましょう。

温度や湿度調節をする

アルコールチェッカーは、高温多湿や氷点下を下回る環境で使用・保管すると、エラーが出やすくなります。

特に夏場は、外気温よりも車内温度が高くなるため、陽が当たりやすいダッシュボードに置いたり、車内に放置しないように気をつけましょう。

低気温によってエラー表示が出る場合は、急激に温めることはせず、室温でゆっくり温めましょう。

コートやポケットに入れて持ち運んだり、温度調節がしやすい事務所内での保管もおすすめです。

電池を交換する

アルコールチェッカーの乾電池やリチウムイオン電池が劣化していると、電圧不足によりセンサーが正しく作動せず、エラーを引き起こす場合があります。

電池残量が少ないときや長期間使用していないときは、新しい電池に交換・充電しましょう。

特に寒い季節は電池性能が低下しやすいため、早めの交換が安心です。

また、USBケーブルを使用する検知器の場合、接触不良も考えられるため、エラーばかり表示される時は、差し込み口を確認しましょう。

センサー部分を清掃する

センサーに汚れや埃が付着していると、正しく検知できず、エラーが表示されやすくなります。

メーカーの説明書に沿って、専用のクリーナーや、水で濡らして硬く絞った布などで、センサー部分をやさしく清掃しましょう。

水や熱湯を直接かけたり、市販の除菌スプレーや除菌シート、中性洗剤を使用した清掃は、故障の原因になるため、必ず説明書に記載された方法で清掃しましょう。

メーカーに修理・校正を依頼する

アルコールチェッカーには、使用頻度や使用回数上限が定められているため、半年〜1年程度で、センサーの精度が落ちたり内部部品が劣化することがあります。

自己判断で修理を行うのは故障につながるため、メーカーに問い合わせて、必要であれば、郵送などで本体の修理や校正を依頼しましょう。

特に、業務用のアルコールチェッカーは定期的な校正が必須です。

法令を遵守した安全管理が実施できるように、定期的にメーカーの指示を仰いで、アルコールチェッカーのメンテナンスを行いましょう。

別のアルコールチェッカーに変える

エラーばかり出たり、明らかに飲酒したにもかかわらずアルコール反応が得られない場合は、センサーの劣化や本体の故障が考えられます。

保証期間を過ぎた修理は高額になることもあるため、買い替えを検討するのもひとつの方法です。

運行管理者や安全運転管理者にとって、アルコールチェッカーの保守は重要な車両管理業務であり、適切なタイミングで運用を見直すことが大切です。

関連記事:『車両管理業務とは?メリットデメリットや注意点・車両管理システムを解説

3. アルコールチェッカーの適切な清掃・校正のやり方

アルコールチェッカーの適切な使用には、定期的な清掃と校正が欠かせません。

そこで本章では、アルコールチェッカーの性能を維持するための、適切な清掃方法と校正手順について詳しく解説します。

アルコールチェッカーの適切な清掃方法

アルコールチェッカーを清掃する際は、必ずメーカーの取扱説明書や指示にしたがって行いましょう。

一般的な清掃方法としては、水で濡らして硬く絞った布などで、センサー部分や吹き込み口を、優しく拭き取ると良いとされています。

専用のマウスピースやストローを清掃する場合は、メーカーにお手入れ方法を確認しましょう。中性洗剤での洗浄が可能な場合があります。洗浄後は、水で洗い流してから、完全に乾燥させましょう。

検知器本体のお手入れをする場合、以下のような清掃方法は、アルコールチェッカーの故障につながるため注意しましょう。

【アルコールチェッカーのNGな清掃方法】

  • 水や熱湯を直接かけ、洗い流す
  • 除菌スプレー、除菌シートで拭き取る
  • 中性洗剤で洗い流す
  • ベンジン、シンナーなどの薬品の使用

以下の関連記事では、アルコールチェッカーの適切なお手入れ方法について詳しく解説しています。アルコールチェッカーに使える除菌スプレーも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:『アルコールチェッカーの除菌・消毒方法とは?注意点やおすすめ除菌グッズもご紹介

アルコールチェッカーの適切な校正方法

アルコールチェッカーは、使用頻度や使用回数とともに、センサーの精度が低下するため、定期的な校正が必要です。

校正は基本的にメーカーや専門業者に依頼し、専用機器を使って基準値に調整してもらいます。

しかし、製品によっては、簡易的な方法で個人で校正を行える場合があります 。

【個人での簡易的な校正方法】

  • メーカーに問い合わせ、交換用のセンサーを取り寄せる
  • 取り扱い説明書に沿ってセンサーを交換する
  • 実際に使用して正常に測定できるか確認する

目安としては、半年〜1年に1回の校正が推奨されます。

自己流での調整は誤差を招く恐れがあるため、必ず正規の手順で校正を行いましょう。

関連記事:『アルコールチェッカーの校正とは?定期的なメンテナンスの重要性

4. アルコールチェッカーで誤反応が出る原因

アルコールチェッカーは、エラー表示以外にも、未飲酒なのにアルコール反応が出る場合があります。

原因としては以下のようなものが考えられます。

【未飲酒なのにアルコール反応が出る原因】

  • 前日に摂取したアルコールが残っている
  • アルコールチェッカーの故障
  • 測定直前の飲食(発酵食品、コーヒーなど)
  • 歯磨き粉、マウスウォッシュの使用
  • 薬の服用
  • 除菌スプレー、香水の使用
  • ケトン体

エタノールや揮発性アルコール成分を含む薬品や除菌剤などは、検知センサーに影響を与える可能性があります

また、ケトン体は、体内で糖質や脂肪を代謝する際に生成される物質で、ダイエットや糖質制限を行っている人の体内で生成されやすくなります。

甘酸っぱく腐った果実のような匂いや口臭が現れやすく、アルコール反応が出る可能性が高いです。

以下の関連記事では、アルコールチェッカーで誤反応が出る場合の対処法について、詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

関連記事:『アルコールチェッカーは口臭に反応する?誤検知の8つの原因や適切な対処法を紹介

5. まとめ|メーカーの指示にしたがってエラーを対処しよう

本記事では、アルコールチェッカーでエラーばかり表示される原因や対処法、適切な清掃・校正方法について解説しました。

アルコールチェッカーにエラーが出た際は、自己判断で無理に操作せず、必ずメーカーの取扱説明書や指示にしたがって対処することが大切です。

正しい手順を踏めば、多くのトラブルは未然に防止でき、万が一、修理や買い替えが必要な場合もスムーズに対応できます。

企業のリスク管理や安全管理のために、日頃からアルコールチェッカーの適切な使い方とメンテナンスを心がけましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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