アルコールチェッカーは口臭に反応する?誤検知の8つの原因や適切な対処法を紹介

アルコールチェッカーは、飲酒運転防止のために、多くの企業で導入されています。
2023年12月から、特定の条件を満たす白ナンバー車両の事業所でアルコールチェックが義務化されており、その重要性はますます高まっています。
しかし、アルコールチェック時に、飲酒をしていないのにアルコールチェッカーが反応するケースがあり、その原因や対策に悩むドライバーの方も少なくありません。
本記事では、アルコールチェッカーが口臭に反応する理由や、誤検知が発生する8つの原因、正しい対処法について詳しく解説します。
さらに、誤検知の影響を受けにくいアルコールチェッカーの選び方や、おすすめの購入先も紹介します。安全運転の徹底を目指す個人ドライバーの方や、企業の車両管理者の方は参考にしてください。
目次 / このページでわかること
1.アルコールチェッカーは口臭に反応する?
アルコールチェッカーは、呼気中のアルコール(エタノール)濃度を検知する装置ですが、口臭に含まれる成分によって誤検知を起こす可能性があります。
例えば、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)やアセトンは、一部のアルコールチェッカーでアルコールとして検出されることがあります。
誤検知は、不必要な飲酒疑惑や業務の遅延につながる可能性があるため、口臭に反応する原因や対処法を把握することが大切です。
また、正しい結果を得るために、適切な使用方法を守るよう心がけましょう。
2.アルコールチェッカーが口臭に反応する8つの原因
アルコールチェックでは正確な測定が求められますが、口臭に反応し、誤検知を起こす場合があります。
運転前に誤検知が起きた場合、あとの予定に遅れが出る可能性があるため、適切に対処できるように原因を知ることが大切です。
そこで本章では、アルコールチェッカーが口臭に反応する8つの原因について詳しく解説します。
① 前日に摂取したアルコールが残っている
アルコールは体内で分解されるまでに時間がかかるため、前日の飲酒量や飲酒時間によっては、呼気にアルコールが残る場合があります。
「睡眠時間が短い」「疲労がたまっている」「体調不良」という場合は、アルコールの代謝スピードが落ちると言われているため、お酒の飲み方に気をつけましょう。
アルコールチェッカーは安全運転を徹底するための重要な機器です。適切に扱うように心がけましょう。
なお、飲酒中にアルコールチェッカーを使用すると、機器の故障につながるおそれがありますので、飲酒中・直後に意図的に使用しないようにしましょう。
② アルコール反応が出やすい食品を摂取した
アルコール反応が出やすい食品は以下のとおりです。
発酵食品 | キムチ、納豆、味噌、ヨーグルト、チーズなど |
---|---|
熟成食品・加工品 | サラミ、スモークタン、イカの塩辛、魚の缶詰など |
パン、お菓子 | 蒸しパン、チョコレート、アメ、ガム、ゼリー、焼き菓子など |
フルーツ | オレンジ、熟したバナナ、リンゴなど |
飲料 | コーヒー、エナジードリンク、栄養ドリンク、乳酸菌飲料など |
漬物や味噌、パンなどの発酵食品は、アルコールを微量に含むため、口内に残った成分がアルコールチェッカーに反応するケースがあります。
アメやガム、スナック菓子に使用される香料や甘味料も、誤検知を発生させる原因のひとつです。
また、眠気覚ましでコーヒーやエナジードリンクを飲んだ場合、誤検知を起こす可能性があるため、アルコールチェック前の摂取は控えましょう。
以下の関連記事では、パイ・アールのアルコールチェッカーを使用中のお客様から「アルコール反応が出た」と報告のあった商品を、社員が実際に摂取し、アルコールチェックの検証を行っています。
専門的な知見から実験結果を考察していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:『【実験】お酒以外でアルコール反応が出るのか?アルコールチェッカーを使用した検証結果』
③ 喫煙
タバコの添加物である有機化合物や、口内に残った一酸化炭素が、測定結果に影響を与える場合があります。
また、電子タバコや加熱式タバコのリキッドに含まれる香料の成分も、誤検知の原因になる可能性があり、直後の検査では数値が上昇することがあります。
センサーの劣化を防ぐために、喫煙直後にアルコールチェックを行わないようにしましょう。
④ 口臭スプレーの使用
口臭スプレーやマウスウォッシュを使用すると、口内に残ったアルコール成分や、メントールなどの香料が、測定結果に影響を与える可能性があります。
歯磨き粉、舌磨きジェル、ミント系のガム、タブレットなども該当します。
一般的に、口腔衛生用品はほとんどの商品にアルコール成分が含まれており、使用直後はアルコール反応が出やすい傾向があります。
また、歯の治療中の方や、入れ歯や義歯を使用する方は、歯の治療材料や義歯安定剤に使用される成分が反応する場合があります。
使用直後は特に影響を受けやすいため、うがいをする、時間をおくなどの対策が必要です。
⑤ ケトン体の増加
ケトン体は、糖尿病やダイエットなどで、糖質が制限された場合に生成される化合物です。
糖質を極端に制限すると、ケトン体が増加し、ケトン臭と呼ばれる甘酸っぱく腐った果実のような匂いが、体臭や口臭に現れやすくなります。
体内で生成される化合物なので、時間をあけてアルコールチェックを実施しても、アルコール反応が出る可能性が高いです。
特に、空腹時や長時間の絶食後は数値が上がりやすいため、ダイエット中の方や糖尿病の方は、食事のタイミングを工夫しましょう。
⑥ 薬・サプリメントの服用
薬やサプリメントを服用した場合、アルコール反応が出る場合があります。
特に、うがい薬やのどスプレーの使用後は、アルコール反応が出やすく、まれに咳止め薬や風邪薬にも反応する場合があります。
製造過程で発酵というプロセスを経た黒ニンニクや黒酢などのサプリメントも、服用のタイミングや摂取量によっては、アルコールチェッカーに影響を与える可能性があります。
チェックを行う約3時間前から、薬やサプリメントの服用は控えるのが望ましいでしょう。
⑦ 香水・制汗剤の使用
香水や制汗剤、汗拭きシートや除菌シートなどに含まれる微量のアルコールは、測定結果に影響を及ぼす場合があります。
密閉された車内で制汗剤を使用したり、除菌シートで掃除したりすると、空気中に微量のアルコール成分が飛散し、一時的にアルコール濃度が上昇します。
車内での喫煙や、芳香剤の使用も誤検知を引き起こす可能性があるため、空気の入れ替えを行ってから、アルコールチェックを実施してください。
⑧ アルコールチェッカーの劣化・故障
長期間使用したアルコールチェッカーは、センサーの劣化や故障により、誤検知を起こすことがあります。
定期的なメンテナンスや校正を行わない場合、実際のアルコール濃度と異なる数値が表示される可能性があるため注意が必要です。
また、アルコールチェッカーは使用環境や保管環境の影響を受けます。
高温多湿な場所で保管すると、センサー部分の劣化が早まるため、夏場の車内や気温が高い屋外での放置を避けるようにしましょう。
3.アルコールチェッカーが口臭に反応する時の4つの対処法
誤検知を防ぐためには、口臭に反応する理由を把握し、適切な対処を行うことが重要です。
本章では、アルコールチェッカーが口臭に反応した際に試すべき4つの対処法について解説します。
① うがいをする・水を飲む
口内に残った食品やタバコなどに含まれる成分は、誤検知の原因となる可能性があります。
検査前にうがいをしたり、コップ1杯の水を飲んだりすることで、アルコール反応を防止できます。
また、飲食後の口腔ケア用品の使用は、アルコールチェッカーが反応する可能性があるため、しっかりと口の中を洗い流し、メントールやキシリトールの刺激や香りを薄めましょう。
② 30分程度時間をあける
誤検知が起きた場合、30分程度時間をあけることで、正常な数値に戻すことが可能です。
特に、発酵食品や加工品、パンやコーヒーなどの食品を摂取した場合、摂取直後に検知を行うと、アルコール反応が出る場合があります。
再測定する際は、換気が行き届いた空間でアルコールチェックを行いましょう。
時間をおいてもアルコール反応が出る場合、飲酒の影響が考えられます。
アルコール分解のスピードには個人差があり、体調にも左右されるため、心当たりがある場合は運転を控えましょう。
③ 空腹を避ける
空腹時はケトン体が増加しやすく、アルコールチェッカーが誤検知を起こす場合があります。
ケトン体は、体内で生成される化合物なので、時間をあけてもアルコール反応が出る可能性が高いです。
本来であれば運転に支障はないため、問題視する必要はありません。
しかし、アルコール反応が出ることにより、不必要な飲酒疑惑や業務の遅延につながることも想定されます。
アルコールチェックを行う際は、空腹を避けるように注意しましょう。
④ センサー・マウスピースを清掃する
唾液や汚れがセンサー部分に付着している場合、測定結果に影響を与える可能性があります。
定期的にお手入れすることで、誤検知を防止できるため、メーカーにお手入れ方法を問い合わせた上で、適切にお手入れを行ってください。
消毒スプレーや除菌シートでのお手入れは、検知精度が落ちたり、故障を招いたりする原因になるため、使用は控えましょう。
なお、上記4つの対処法を試しても改善されない場合は、センサーの劣化が要因の1つとして考えられます。メーカーに問い合わせて適切な対応を受けましょう。
4.口臭に影響されにくいアルコールチェッカーの選び方
口臭や周囲の環境に影響されにくいアルコールチェッカーを選ぶ際は、食品やタバコ、医薬品の影響を受けにくいモデルを選ぶことが重要です。
センサーの種類や測定方式によって、誤検知のリスクが軽減できるため、本章では、選び方を紹介するとともに、高精度なアルコールチェッカーの特徴について解説します。
センサー:電気化学式(燃料電池式)
アルコールチェッカーのセンサーは「電気化学式(燃料電池式)」と「半導体式」の2種類に分けられます。
口臭や周囲の環境に影響されにくいアルコールチェッカーを探している方には、電気化学式(燃料電池式)がおすすめです。
電気化学式(燃料電池式) | 半導体式 | |
---|---|---|
測定原理 | 呼気中のアルコールを燃料に電気を発生させ、その電気量からアルコール濃度を測定する仕組み。アルコール濃度が高いほど、発生する電気量も多くなる。 | センサーに付着する酸素量によって内部の電気抵抗が変動。変動した数値を測定する仕組み。アルコール濃度が高いほど電気抵抗が低下する。 |
本体価格相場 | 高め(数万円) | 低め(数千円〜) |
センサー寿命 | 長め(1〜2年程度) | 短め(半年〜1年程度) |
主な用途 | 業務用、高精度な個人使用向け | 簡易的な個人向け |
校正・メンテナンス | 定期的な校正、メンテナンスが必要だが、長期使用が可能 | センサー劣化により精度が低下しやすい。使い捨てタイプもある。 |
特徴 | ・精度が高い ・経年劣化しにくい ・外的影響を受けにくい |
・価格が安い ・小型で持ち運びしやすい ・測定時間が短い |
検知精度が高いアルコールチェッカーを求める方には、電気化学式(燃料電池式)がおすすめです。
電気化学式(燃料電池式)は検知精度が高く、業務用として多くの企業に選ばれています。
2つの特徴を比較し、予算や使用状況に見合ったアルコールチェッカーを選びましょう。
関連記事:『知っておくべきアルコールチェッカーの仕組みや違いとは?』
測定方法:マウスピース式・ストロー式
アルコールチェックの測定方法には、マウスピース式・ストロー式と吹きかけ式があります。
より正確なアルコール測定を行いたい場合は、マウスピース式・ストロー式がおすすめです。
それぞれの特徴や、メリット・デメリットは以下のとおりです。
マウスピース式・ストロー式 | 吹きかけ式 | |
---|---|---|
特徴 | マウスピース・ストローなどのアタッチメントを使用して、息を吹き込む。 | 本体に直接息を吹きかけて使用する。 |
メリット | ・検知精度が高い ・外的要因を受けにくい ・衛生的 |
・本体さえあれば測定可能 ・手軽に購入可能 |
デメリット | ・アタッチメントを忘れると測定できない ・ランニングコストがかかる |
・外的要因を受けやすい ・前の検査者の唾液が付着しやすい |
吹き込み式は、ストローなどのアタッチメントを使用するため、周囲の影響を受けにくく、高精度のアルコール測定が可能です。
アタッチメントは使い捨てなので、ランニングコストがかかりますが、衛生面に配慮できます。
ドライバーや業務の安全性を確保できるため、多くの企業で使用されています。高精度のアルコール測定をしたい一般ドライバーの方にもおすすめです。
サポート:定期メンテナンス可能なモデル
アルコールチェッカーは、センサーの精度を保証するため、使用回数や使用日数の目安が決められています。
定期的に買い替えやメンテナンスを行う必要があり、性能に応じて数千円から数万円程度のランニングコストが発生します。
業務用で使用する場合、道路交通法でアルコールチェッカーを「常時有効」に保持することが定められています。
「常時有効」とは、アルコールチェッカーが正常に作動し不具合がない状態を指します。
定期的なメンテナンスを行わず、業務を継続した場合、法令違反にあたる可能性があるため、管理者やドライバーが使用回数や使用期間を把握する必要があります。
メーカーによっては、メンテナンス時期を通知してくれる場合があるため、アルコールチェッカーを導入する際は、サポート体制の内容も確認しましょう。
精度:J-BAC認定機器モデル
高精度アルコールチェッカーを選ぶ際は、J-BAC認定機器がおすすめです。
【J-BACとは?】
J-BAC(Japan-Breath Alcohol testing Consortium:アルコール検知器協議会)は、アルコールチェッカーの品質向上と普及を目的に2015年に設立された団体です。厳格な基準を満たした機器を「J-BAC認定機器」として認定し、飲酒運転防止を推進しています。
J-BACでは、「アルコール検知器認定制度」を設けており、厳しい審査基準を満たしたアルコールチェッカーのみが「検定合格(型式認定)」となります。
そのため、J-BACの認定を受けた製品は、高性能で信頼性が高い機器と認められています。
認定を受けたアルコールチェッカーは、以下のJ-BACのホームページ「認定機器一覧」で確認できます。
5.高性能アルコールチェッカー|おすすめの購入先3つ
高性能なアルコールチェッカーを購入する際は、信頼できる販売先を選ぶことが重要です。
通販サイトや家電量販店、専門メーカーなど、それぞれの購入先には特徴があります。
本章では、最適な購入方法を紹介します。
通販サイト
Amazonや楽天などの通販サイトでは、種類が豊富で価格を比較しやすいのが嬉しいポイントです。
口コミやレビューを参考にできるため、人気モデルや高評価の製品を選びやすい特徴があります。
購入する際は、J-BAC認定機器など信頼性の高い製品を選びましょう。
ただし、近年は認定機器と騙る製品が販売されている場合があるため、購入前にJ-BACのホームページで、認定機器として掲載されているか必ずチェックしましょう。
市販(家電用品店・ホームセンターなど)
家電量販店やホームセンターでは、実物を確認しながら購入できるため、使いやすさを重視する方におすすめです。
スタッフに相談しながら選べるため、はじめて購入する方にもおすすめです。
ただし、店舗によっては取り扱いモデルが限られる場合があります。
アルコールチェッカーの専門メーカー
口臭に反応しにくい機器を求めるなら、専門メーカーの公式サイトや直販ショップがおすすめです。
J-BAC認定機器など、高性能なモデルを確実に入手できます。
最新モデルや業務用機器が購入可能で、アフターサポートや定期メンテナンスも受けやすいのがメリットのひとつです。
特に、業務用として導入を検討している場合は、専門メーカーからの購入がおすすめです。
6.高性能なアルコールチェッカーは「アルキラーNEX」
検知精度や使いやすさを重視したい場合は、パイ・アールのクラウド型アルコールチェッカー「アルキラーNEX」がおすすめです。
アルキラーNEXは、日本製の電気化学式センサーを搭載し、専用マウスピースで息を吹き込むため、検知精度が高く、口臭による誤検知の影響を受けにくい特徴があります。
また、毎年無償でメンテナンス(※規定あり)を行っているため、長期間にわたって精度を維持しやすく、コスト削減が期待できます。
さらに、J-BAC(アルコール検知器協議会)の認定機器なので、企業の安全管理に役立ち、アルコールチェック義務化の対応に適した機器です。
ほかにも以下のような特徴があります。
- 「いつ・どこで・誰が」アルコールチェックしたかの記録をクラウド管理
- 義務化の法令遵守に必要なデータを自動記録
- 顔認証やワンタイムパス認証でなりすましを防止
- アルコール反応を管理者に通知
- 社員へのメール送信など(任意の条件を設定)で検知や運転報告忘れ防止
- チャットツールや勤怠管理など外部システムと連携可能
- 検知器、アプリ、管理画面に関するお問い合わせをワンストップサポート
継続利用率は99.7%(※)で、充実したサポート体制や、自社開発ならではの機能性や操作性などに評価をいただいています。
※毎月解約率の平均値を差引した利用者割合(2022年5月〜2023年4月 自社調べ)
現場の負担軽減やコスト削減の実現に、ぜひ「アルキラーNEX」をご活用ください。
7.まとめ|アルコールチェッカーは正しく使用し安全運転を徹底しよう
本記事では、アルコールチェッカーが口臭に反応する原因や対処法、アルコールチェッカーの選び方やおすすめの購入先について紹介しました。
アルコールチェッカーは、飲酒運転を防止するための重要なツールですが、口臭や体調の影響で誤検知を起こす場合があります。
正確な測定を行うためには、誤検知の原因を理解し、適切な対処を行うことが大切です。
また、信頼性の高い測定を行うためには、電気化学式センサーを搭載したモデルや、定期メンテナンスが可能なアルコールチェッカーを選ぶことも重要です。
日々のアルコールチェックを正しく行い、安全運転を徹底しましょう。