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知っておくべきアルコールチェッカーの仕組みや違い

アルコール検知器を使用した運転前後の酒気帯びの有無の確認が義務化となり、アルコールチェッカーは皆さまにとって、より身近なものになってきたのではないでしょうか。

そもそも、

「アルコールチェッカーって全部同じ?」
「なぜ呼気でアルコールを測定できるの?」

など、上記のような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、この記事ではアルコールチェッカー(アルコール検知器)の仕組みや、選ぶ際のポイントをご紹介します。

1.アルコールチェッカーの仕組み

アルコールチェッカー(アルコール検知器)は機器に息を吹きかける(吹き込む)だけで、体内の残留アルコール濃度を数値化してくれるツールです。

最近では、運転前後のチェックと記録が義務付けられているドライバーの方だけでなく、飲酒量の制限など健康管理を目的とした個人での利用も増えつつあります。

基本的に体内のアルコール濃度を判断をするには、

  • ・血液を採取して血中アルコール濃度を測定する方法
  • ・呼気を採取して呼気中アルコール濃度を測定する方法

上記2種類のどちらかで判断します。

血中アルコール濃度を測定するには医療機関で採血を行い、専用の機械で血液を分析する必要があります。一方、呼気アルコール濃度を測定するのはアルコールチェッカーに息を吹き込むだけで、非常に手軽で痛みを伴わず、どこでも実施することができるため、業務用でも呼気での測定が一般的です。
また、業務用となれば「精度」も重要です。手軽で高精度のアルコールチェッカーを用意しておきましょう。

関連記事:『アルコールチェッカーの種類や選び方・使い方、おすすめの検知器を徹底解説

1-1 なぜ呼気でアルコールを検知できるの?

誰でも手軽に体内のアルコール濃度を測定できるアルコールチェッカーですが、なぜ呼気を機器に吹き込むだけで自身でも気付かないような、体内に残留したアルコール濃度を測定できるのでしょうか。

そもそも、アルコールは摂取すると、胃や小腸の上部で約2時間程度ですべて吸収されます。
吸収されたアルコールはまず肝臓で分解されますが、肝臓で分解しきれないアルコールは血液と共に全身を巡り再度肝臓に戻り分解が行われます。その際、血中に入って肺に巡ってきたアルコールの一部が呼気として体外へ排出されるため、呼気中にもアルコールが含まれるのです。

そして、アルコールチェッカー内に搭載されいているアルコール感知センサーが、その呼気に含まれたアルコールを利用して測定を行います。その呼気中のアルコール濃度を測定するのに欠かせないアルコール感知センサーとは、一体どのようなものなのでしょうか。

1-2 アルコール感知センサーの違い

アルコールチェッカーには呼気中のアルコール濃度を判別する「センサー」が内臓されており、大きくは下記の2つに分けられます。

  • 「半導体式ガスセンサー」
  • 「電気化学式(燃料電池式)センサー」

アルコールチェッカーの見た目は似ていても、アルコール濃度の測定原理にそれぞれ特性があります。

半導体式ガスセンサー

センサー表面に付着する酸素量によってセンサー内部の電気抵抗値が変化します。飲酒をしている場合はアルコール成分によって酸素量が減少するため、電気抵抗値が低くなります。電気抵抗値が低いほど体内のアルコール濃度が高いと判定されます。

電気化学式(燃料電池式)センサー

呼気に含まれるアルコールを燃料として電気を発生させ、アルコール濃度を測定します。電気の発生量が多いほど呼気中のアルコール濃度が高いと判定されます。

 

上記のほか、半導体式は反応性を高めるため加熱用ヒーターを内臓しており、電気化学式センサーは非加熱状態で使用するという違いがあります。

2.2つのセンサーはどちらが良い?

これまでアルコールチェッカーの仕組みについてご紹介してきましたが、実際にアルコールチェッカーを選ぶ際、どちらのセンサーを選ぶのが良いのでしょうか。

次は、センサーそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。

2-1 半導体式ガスセンサーのメリット・デメリット

◎メリット

その1「価格が安い」
半導体式アルコールチェッカーはセンサーが比較的安価なため、多くの台数が必要な場合でも導入コストを抑えて導入することが可能です。

その2「小型」
センサー本体が小型なためアルコールチェッカーも小型になり、持ち運びが容易。
個人での利用にもおすすめです。

その3「素早い応答性」
半導体式アルコールチェッカーは検知結果を素早く確認することが可能で、測定に時間がかかりません。

▲デメリット

その1「アルコール以外のガスにも反応する」
半導体式ガスセンサーは酸素量をもとにアルコール濃度を測定するため、呼気に含まれるアルコールに近い成分に反応しやすく、アルコールを摂取していないにもかかわらずアルコールが検知される場合があります。

その2「環境の影響を受けやすい」
周囲の環境によっては呼気を吹き込んでいる際の酸素量が減少してしまい、正常な検知結果が出にくいことがあります。

2-2 電気化学式(燃料電池式)センサーのメリット・デメリット

◎メリット

その1「精度が高い」
アルコール成分を燃料として電気を発生させるため、アルコール以外のガスへ反応しにくい特性があり、エタノール以外にはほぼ反応せず、より高精度の測定が可能です。

その2「高耐久」
電気化学式(燃料電池式)アルコールチェッカーは半導体式と比較すると、経年劣化がしにくい傾向です。しかしアルコールの反応があると検知器の劣化が早まるため何度もアルコールの反応を出していると検知精度が落ちてくる場合もあります。

その3「外的影響を受けにくい」
気圧や結露など周囲環境の影響を受けにくく、食事・タバコ・薬などに影響されにくいです。電気化学式センサーは密閉性が高いため周囲の影響を受けにくい特性があります。

▲デメリット

その1「価格が高い」
製造コストが比較的高価なため検知器本体の価格も高くなります。

その2「反応時間が長く、測定に時間がかかる」
半導体式ガスセンサーと比較するとセンサーの反応時間が長く、検知結果が表示されるまで時間がかかります。

その3「メンテナンスコストが高い」
電気化学式センサーは製造コストが高いこともあり、定期的な検知器の校正やメンテナンスのコストも高い傾向があります。

3.まとめ

現在は、航空・タクシー・船舶・運送系の企業に加え、一定台数の白ナンバー車両を保有の事業者もアルコール検知器を使用したアルコールチェックが義務化となっています。
どちらのセンサーもメリット・デメリットは存在するので、どちらを選ぶべきなのかしっかりと比較をしたうえで選ぶことが重要です。

センサー方式 測定原理 メリット デメリット

半導体式ガスセンサー

センサー表面に付着する酸素量によって検知器のセンサー内部の電気抵抗値が変動。電気抵抗値が低いほど呼気中のアルコール濃度が高いと判定されます。

・価格が安い
・センサーが小型
・測定時間が短い

・アルコール以外のガスに反応することがある
・周囲の環境に影響を受けやすい

電気化学式(燃料電池式)センサー

呼気に含まれるアルコールを燃料として電気を発生させ、アルコール濃度を測定。電気の発生量が多いほど呼気中のアルコール濃度が高いと判定。

・アルコール以外のガスに反応しにくい
・比較的高耐久
・周囲の環境に影響を受けにくい

・価格が高い
・測定時間が長い
・ランニングコストが高い

また、「アルコールチェッカーを利用する社員数が多いから、コストを考慮して比較的安価な半導体式ガスセンサーにしよう」「薬を飲んでいる社員がいるから電気化学式にしよう」など、予算や社員の状況に合わせて選ぶのも良いかもしれません。

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この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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