安全運転管理者に必要な4つの資格とは?法定講習を受けなかったらどうなる?
安全運転管理者の選任が義務付けされている中で、
- 「資格がなくても担当できるのか?」
- 「どのような人を選任すればいいのか?」
と悩んでいませんか?
誰でも簡単に安全運転管理者になれるわけではなく、
- 「年齢制限を満たしているか」
- 「法定講習を受けているか」
など必要な資格・要件を満たしている人でないと選任することはできません。
そこで実際に安全運転管理者になるために必要な要件や資格は何なのか、安全運転管理者にもかかわらず法定講習を受けていなかった場合どうなるのかなどについて確認していきましょう。
目次 / このページでわかること
1.安全運転管理者に必要な4つの資格要件とは?
安全運転管理者は誰でもなれるわけではなく、道路交通法に基づいて必要な資格要件があり、下記4つの要件を満たす必要があります。
- ・20歳以上であること
- ・自動車の運転管理に関し2年以上の実務経験を有する者
- ・過去2年以内に安全運転管理者の解任命令を受けていないこと
- ・過去2年以内に違反行為をしていないこと
また所有する自動車の台数によっては、さらに副安全運転管理者の選任が必要となります。
■副安全運転運転管理者の選任条件
・車両の台数が20台以上であること、また20台毎に1人の追加選任が必要となる。
また副安全運転管理者の選任にも必要な資格要件がありますので、詳しい内容は以下の関連記事を確認してください。
2.安全運転管理者等法定講習とは?
安全運転管理者を選任し届け出を行ったら、次にやることとして安全運転管理者になる人は「安全運転管理者等講習」を受ける必要があります。
安全運転管理者等講習とは、道路交通法に基づいて公安委員会が行う法定講習のことです。安全運転管理者等講習を受けるための必要事項について確認していきましょう。
講習時間はどのくらい?
安全運転管理者の講習の時間は道路交通法で「6時間以上」と定められています。講習の途中での退席や中抜けは再受講となり、講習手数料に関しても還付されませんのでご注意ください。
参考:道路交通法施行規則「第8章 講習|第38条の3」
講習に必要なものは?
講習を受けるために必要なものとして、都道府県によって異なりますがおもに以下3点が挙げられます。
- ・講習通知書
- ・受講申出書
- ・身分証明書
※上記は安全運転管理者講習を受ける都道府県によって異なりますので、詳細は講習を受ける都道府県の警察署のホームページよりご確認ください。
オンラインの講習もある?
最近では法定講習をオンラインでも受講できるようになってきました。
また、「オンライン講習」と「会場講習」を選択することができる都道府県もあります。
可能な場合はオンライン講習の受講が便利でおすすめです。
3.法定講習を受講しなかったらどうなる?
安全運転管理者等講習は年1回の受講が義務付けられていますが、受講しなかった際の罰則は現状はありません。
ただ、都道府県によっては年度末に未受講事業者に対する特別診断を実施しているところもあり、所在地を管轄する警察署へ出頭したうえで、自社の安全運転管理に関して質問されたり必要書類や車両管理関係資料等の提出を求められることがあります。
安全運転管理者としての業務を正しく行うためには講習を受け、最新の法改正に関する内容や交通事故に関する情報などを知っておく必要があります。
4.安全運転管理者の違反の厳罰化について
2021年6月に千葉県八街市で下校中の小学生の列に飲酒運転の大型トラックが突っ込み、児童5人が死傷するという事故がありました。さらにトラックの運転手は、日常的に飲酒運転を行っていたということが明らかになっています。
上記で述べてきた条件や資格を踏まえた上で安全運転管理者として届出を提出できますが、千葉県八街市での事故をきっかけに2022年10月の道路交通法より安全運転管理者の違反に関する厳罰化がされています。
そのため、道路交通法に基づき正しく安全運転管理者を選任する必要があります。
参考記事:産経ニュース「八街5人死傷事故2年 検査義務拡大も防げぬ飲酒運転」
5.安全運転管理者の違反に対する罰則について
安全運転管理者の違反に関しては、道路交通法にて罰則が定められています。
では実際に安全運転管理者を正しく選任していなかった場合どうなるのか確認していきましょう。
違反内容 | 罰金内容 |
---|---|
選任義務違反 | 50万円以下の罰金 |
解任命令違反 | 50万円以下の罰金 |
是正措置命令違反 | 50万円以下の罰金 |
選任解任届出義務違反 | 5万円以下の罰金 |
つづいて違反内容について詳しく見ていきましょう。
選任義務違反
選任義務違反とは、安全運転管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や事業所が選任しないことです。道路交通法によると以下のように定められています。
自動車の使用者(道路運送法の規定による自動車運送事業者(中略))は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、次項の業務を行う者として、安全運転管理者を選任しなければならない。
引用元:道路交通法「安全運転管理者等|第74条の3第1項」
上記の違反をすると、50万円以下の罰金に処される場合があります。
解任命令違反
解任命令違反とは、安全運転管理者の解任命令が出されても適切な手続きをとらず、安全運転管理者の職務を続けることです。
道路交通法によると以下のように定められています。
公安委員会は、安全運転管理者等が第一項若しくは第四項の内閣府令で定める要件を備えないこととなつたとき、又は安全運転管理者が第二項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、自動車の使用者に対し、当該安全運転管理者等の解任を命ずることができる。
引用元:道路交通法「安全運転管理者等|第74条の3第6項」
上記の違反をすると、50万円以下の罰金に処される場合があります。
是正措置命令違反
是正措置命令違反とは、安全運転管理者に対して是正措置命令が出されても適切な対応を取らないことです。
道路交通法によると以下のように定められています。
自動車の使用者は、安全運転管理者に対し、第二項の業務を行うため必要な権限を与えるとともに、同項の業務を行うため必要な機材を整備しなければならない。
引用元:道路交通法「安全運転管理者等|第74条の3第7項」
公安委員会は、自動車の使用者が前項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、自動車の使用者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
引用元:道路交通法「安全運転管理者等|第74条の3第8項」
上記の違反をすると、50万円以下の罰金に処される場合があります。
選任解任届出義務違反
選任解任届出義務違反とは、安全運転管理者の選任や解任を適切に届け出ないことです。
道路交通法によると以下のように定められています。
自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から十五日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
引用元:道路交通法「安全運転管理者等|第74条の3第5項」
上記の違反をすると、5万円以下の罰金に処される場合があります。
罰則は上記の道路交通法に基づく対応を怠った際に発生しますので、規程をしっかり確認したうえで確実に対応するようにしましょう。
安全運転管理者の罰則については、以下の記事でも詳しく解説しています。参考にぜひご覧ください。
6.安全運転管理者の資格に関するQ&A
上記より安全運転管理者講習がどのようなものなのか、また受ける重要性について理解できたのではないでしょうか。
次に「申込方法」や「安全運転管理者の交代」などよくある質問について確認します。
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安全運転管理者等法定講習の開催は何で知ることができる?
安全運転管理者に選任されると、年に1回安全運転管理者に関する講習の案内が郵送されてきます。案内が届きましたら、内容を確認のうえ申し込む必要があります。
また、各都道府県ごとに以下のようにホームページから確認できる場合もあります。
参考:一般社団法人 徳島県安全運転管理協会『安全運転管理者等講習』
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安全運転管理者等法定講習は代理受講は可能?
代理での受講は不可となっています。最新の道路交通法や交通事故情勢など、安全運転管理業務に必要となる重要な講習となっていますので、年度内に1度必ず講習を受けるようにしましょう。
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安全運転管理者を交代する時はどうする?
安全運転管理者を交代する場合、変更後15日以内に管轄する警察署へ選解任届や変更届の提出をする必要があります。届出が完了していない場合は、法定講習を受講することができなくなる可能性がありますので、速やかに手続きが必要です。
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会社が移転する場合は手続きが必要?
会社が移転する場合は手続きが必要となります。同じ都道府県内での移転に関しては、移転先を管轄する警察署へ安全運転管理者等に関する変更届の提出をする必要があります(解任届の提出は不要です)。
別の都道府県への移転の場合は移転元を管轄する警察署へ解任届を提出した後、移転先を管轄する都道府県の警察署へ届出を提出する必要があります。
7.まとめ
安全運転管理者の業務を正しく行うために「安全運転管理者等講習」は非常に重要です。要件を満たしていることや資格が必要であることなど、誰でも安全運転管理者になれるわけではありません。
安全のために「安全運転管理者等講習」を必ず受講し、最新の法令や交通事故に関する情報をしっかりと理解し、会社やドライバーや町の安全を守れるように正しく業務を全うしましょう。