安全運転管理者は必要ない?義務となるケースや解任(解除)についても解説!

法令でアルコールチェック義務化の対象の企業は安全運転管理者を選任しなければならないとありますが、以下のような疑問はありませんか?

「自分の会社には安全運転管理者は必要ないのでは?」
「安全運転管理者はなぜ必要なの?」
「そもそもどういう条件の時に必要でどういう条件の時に必要ないの?」

安全運転管理者の役割や定義についてあいまいな方もいらっしゃるのではないでしょうか?
安全運転管理者がどのような企業に必要であり、どのような企業には必要ないのか、安全運転管理者が必要であるにもかかわらず選任していなかった場合どうなるのか、などについて確認していきましょう。

1.安全運転管理者が必要ないケースは?

安全運転管理者の選任が必要となる条件として、以下のいずれかに該当する企業や事業所です。

【安全運転管理者の選任が必要(=アルコールチェック義務化の対象)となる事業者】定員11人以上の車両を1台以上保有している、またはその他の車両を5台以上保有している(※原動機付自転車を除く自動二輪車は1台を0.5台として計算)

  • ・定員11名以上の自動車1台以上を保有
  • ・その他の自動車を5台以上保有(大型自動二輪車又は普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算)

上記の条件を満たさなければ基本的に、安全運転管理者は必要ないといえます。

2.安全運転管理者の選任の流れ

安全運転管理者を選定する際、適当に決められるわけではありません。さまざまな要件や必要事項や手続きがあります。

本章では、安全運転管理者の選任の流れについてしっかり確認していきましょう。

安全運転管理者になるための資格は?

安全運転管理者になるためにはいくつか要件を満たす必要があります。

  • ・年齢が20歳以上であること(副安全運転管理者が置かれる場合は30歳以上)
  • ・自動車の運転管理に関して2年以上の実務経験があること

注意事項として上記の要件を満たしていても、下記事項に当てはまる方は安全運転管理者にはなれませんので注意してください。

  • ・過去2年以内に公安委員会の安全運転管理者等の解任命令を受けた者
  • ・以下のいずれかの違反をした日から2年を経過していない者
    • ・ひき逃げ
    • ・無免許運転、酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転
    • ・無免許運転にかかわる車両の提供・無免許運転車両への同乗
    • ・酒酔い・酒気帯び運転にかかわった車両・酒類を提供する行為
    • ・酒酔い・酒気帯び運転車両への同乗
    • ・次の交通違反の下命・容認
      酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反
    • ・自動車使用制限命令違反
    • ・妨害運転に係る罪
引用元:警視庁「安全運転管理者等法定講習|2 安全運転管理者等の資格要件

交通課へ届け出を行う

誰が安全運転管理者になるか決まったら次は交通課へ届出を出さなければいけません。
安全運転管理者等を選任した際、その日から15日以内に事業所を管轄する警察署へ必要書類を提出する必要があります。

安全運転管理者を選任しない場合の罰則は?

安全運転管理者が必要にもかかわらず選任していなかった場合、下記の罰則が生じる可能性があります。

  • ・安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合:50万円以下の罰金
  • ・選任の届出をしていなかった場合:5万円以下の罰金

罰則があるから選任するというわけではありませんが、安全のために要綱をしっかりと確認しておきましょう。

3.道路交通法によりアルコールチェックが義務化となった

道路交通法により2023年12月からアルコールチェッカーを用いたアルコール検知が義務化となりました。義務化の内容の中には安全運転管理者に対する規定というものも含まれますので安全運転管理者の選定といったところはしっかりと行っていく必要があります。

アルコールチェックが義務化になった背景や、詳しい内容については以下の関連記事を確認してください。

関連記事:『アルコールチェック義務化の最新情報|日程や対象者、対応すべきことを解説

4.安全運転管理者の解任の方法は?

安全運転管理者の選任が必要なくなった場合どのようにして解任したらいいのか一連の流れについて説明します。

まず使用者は安全運転管理者等を解任したときは、解任日から15日以内に届け出をしなければなりません。提出の方法として3種類あります。

  • ① 事業所の所在地を管轄する警察署の交通課窓口に直接持参
  • ② 事業所を管轄する警察署の交通課宛に郵送
  • ③ 警察行政手続サイトを利用したオンラインでの届出

    ■警察庁行政サイトから届出する場合の方法

    1. 1. 届出書を警視庁ホームページからダウンロードし安全運転管理者の解任届書を作成
    2. 2. 上記の書類データを警察庁行政手続きサイトを通じて、事業所を管轄する警察署に送信
    3. 3. 管轄の警察署より事業所にメール受信の連絡
    4. 4. 管轄の警察署より管理者証の返納について連絡
    5. 5. 管理者証の返納をする
    引用元:警視庁「解任届申請の流れ(PDF形式:362KB)

※届け出の方法は都道府県によって内容が異なる場合がありますので、詳しくは管轄警察署にお問い合わせください。

5.安全運転管理者の選任についてよくある質問5選

本章では、安全運転管理者について、よくある質問を5つ紹介します。

  • ・個人が通勤に使っている車両は台数に含む?
  • ・リースの車両は台数に含まれる?
  • ・本店と支店で合計5台の車両がある場合は届出が必要?
  • ・県外に住んでる場合でも選任できる?
  • ・運行管理者を選任済みでも安全運転管理者は必要?

それぞれ確認していきましょう。

 

個人が通勤に使っている車両は台数に含む?

マイカーを業務には使用せず通勤にのみ使用している場合は安全運転管理者等選任の対象ではないので台数には含めません。ただし、業務に使用する場合は、自動車の名義に関係なく台数の算定に含める必要がありますので注意してください。

リースの車両は台数に含まれる?

会社が所有権を有していないリースの車両に関しては安全運転管理者の選任に際して台数に含まれません。安全運転管理者等の選任義務の対象となる「自動車の使用者」とは、「自動車を使用する権限を有する者で、かつ自動車の運行を総括的に支配する地位にある者」をいいます。

リース車やマイカーを業務に使用している場合でも、事業者がその自動車の所有権、賃貸権等を有しておらず、その運行も通常は従業員が自由に行えるのであれば安全運転管理者を選任する必要はありません。

本店と支店で合計して5台の車両がある場合は届出が必要?

たとえばA会社のB支店に車両が3台、C支店に車両が3台の合計6台となる場合であっても基本的に安全運転管理者の選任の必要はありません。
台数の算定に関しては「自動車の使用の本拠ごと」に行われるため上記の場合B支店、C支店ともに5台未満なので選任の必要はありません。

県外に住んでる場合でも選任できる?

県外に住んでいる場合でも選任することは可能です。
ただし安全運転管理者等の業務を的確に行うことができるのかどうかきちんと考慮した上で選任する必要があります。

運行管理者を選任済みの場合でも安全運転管理者は必要?

運行管理者の選任をしている場合、安全運転管理者の選任は必要はありません。
事業用自動車を使用する事業所は、道路運送法または貨物自動車運送事業法によって「運行管理者」が選任されることから、安全運転管理者の選任をしなくてもいいことになっています。
また、道路運送法第79条の規定により、国土交通大臣の登録を受けた自家用有償旅客運送者も選任する必要がないことになっています。

6.車両台数が5台未満でもアルコールチェックは重要

アルコールチェックをする理由として法令に対応するためということもありますが、アルコールチェックを行い必要な記録を残しておくことは、事故を未然に防ぐことや事故に巻き込まれた時の対応などさまざまな面で役に立ちます。

法令対象外だからアルコールチェックの必要はない、ということではなく必要がなくてもアルコールチェックをしようという心掛けが重要です。

パイ・アールでは、クラウド型アルコールチェッカー「アルキラーNEX」をおすすめしています。「いつ、どこで、誰が」アルコールチェックを実施したのかが明確にクラウドに保存され、かつ簡単にアルコールチェックを行うことができます。おかげさまで検知実施率90.3%(※1)と高い数値でご利用頂いています。
※1 アルキラーシリーズ利用者から2,500アカウントを抽出、2023年1月~11月の端末利用割合

関連ページ:『アルキラーNEX製品ページ

7.まとめ

安全運転管理者の選任は法令で必要なものとなっていますので、対象の企業に関しては必ず選任する必要があります。また、安全運転管理者を選任する意味は法令を遵守する以外にも、アルコールチェックの測定データをしっかり管理することで、何か事故が起きた際に会社はもちろん社員を守ることにもつながります。

日頃よりアルコールチェックを行う習慣をしっかり身に付け安全に業務を行うことに努めましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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