禁酒の効果とは?成功させるコツや禁酒が難しい人におすすめの減酒方法を紹介
年末年始などの宴会シーズンをきっかけに、「禁酒を始めようかな」と考えたことはありませんか?
「体調不良を改善したいから」「仕事や家庭でアクティブな時間を増やしたいから」など、禁酒を考える理由はさまざまです。
しかし「禁酒したい」と思っても、習慣化した飲酒を手放すのは簡単ではありません。
お酒は飲む量が適量であれば、コミュニケーションを円滑にしたり、ストレスの緩和に繋がるケースもありますが、飲みすぎてしまう場合や飲酒運転には注意しなくてはなりません。
そこで本記事では、禁酒によるメリットや生活への良い影響を解説し、禁酒を成功するための実践的なコツを紹介します。
さらに、完全な禁酒が難しい方向けに減酒の方法や、無理なく飲酒量をコントロールする工夫も紹介します。禁酒を成功させたい方、これから禁酒を始めようと考えている方は参考にしてください。
目次 / このページでわかること
1.アルコールが与える身体への影響
アルコールは適量であればリラックス効果をもたらすと言われていますが、過剰摂取や長期的な飲酒は体や心にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
体調不良から重大な病気まで多くのリスクが潜んでいるため、本章では、アルコールが与える身体への影響について詳しく紹介します。
体調不良
お酒の飲み過ぎは頭痛・吐き気・腹痛・下痢などの体調不良を引き起こしやすくなります。
アルコールは胃の粘膜を刺激したり、水分の吸収を阻害するため、腹痛や吐き気が起こりやすいと言われており、飲み過ぎには注意が必要です。
さらに、アルコールの分解過程で発生する有害物質、「アセトアルデヒド」は血管を拡張させ、頭痛や炎症の発生に関係していると考えられています。
「最近、飲酒後に二日酔いしやすくなった」「日中の疲れが取れにくくなった」という方は、禁酒や減酒がおすすめです。
また、体質的にお酒に弱い方は、事前に対策することで体調不良を防げます。
関連記事では、二日酔い対策について詳しく紹介しているので、効果的な対策方法を知りたい方は下記リンクから合わせてご覧ください。
関連記事:『飲酒前・中・後の二日酔い対策を紹介|翌日の適切なケアやNG行動も解説』
急性アルコール中毒になる可能性がある
短時間で大量のお酒を飲んだ場合、急性アルコール中毒を引き起こす可能性が高まります。
急性アルコール中毒は、大量飲酒によって血中アルコール濃度が急激に上昇し、泥酔や酩酊状態を飛び越え、一気に泥酔や昏睡状態におちいる症状です。
重症になると、意識を失い呼吸が止まるなどして命を失う可能性があります。
精神疾患を助長
長年の飲酒習慣によってアルコールの影響が進むと、うつ症状やうつ病を起こす可能性があります。
初期症状として、頻繁にイライラ・不安感・罪悪感といった抑うつ気分が高まるとされており、うつ症状が進むとアルコール依存症を合併しやすいという研究結果もあるため、早期の禁酒がおすすめです。
実際に、医療機関のサポートを受けて禁酒した方は、投薬なしで症状が改善したと報告されています。
また、早めに禁酒に取り組んだことで、数週間で症状が改善したケースもあるため、心当たりがある方は、禁酒を始めてみましょう。
さまざまな臓器障害を引き起こす可能性がある
お酒の飲み過ぎにより、消化器や循環器などにさまざまな障害が起こりやすくなります。
中でも、アルコール代謝を行う肝臓はダメージを受けやすく、重篤化しやすいと言われています。
すでに食欲不振やお腹の張り、黄疸などの異変を感じている方は、早期に医療機関を受診することが大切です。
日本ではアルコール性肝炎や肝硬変の罹患率が多いとされ、発症や進行の度合いは個人差があるとされています。
あきらかに体調不良の域を超えた異変がある方は、医療機関の受診やサポートを受けつつ、禁酒にも取り組みましょう。
アルコール依存症
アルコール依存症とは、お酒の量・飲むタイミング・状況を自分でコントロールできなくなった状態を指します。
「これ以上の飲酒は良くない」と分かっていても、脳に異常が起きて飲酒をやめられなくなり、社会生活に悪影響を及ぼします。
初期段階では自覚症状が乏しいため「飲み過ぎる日が続いているな」と感じたら、禁酒や減酒などの対策が大切です。
現在、アルコール依存症は意志の弱さによって起こるものではなく、医療機関で治療が必要な精神疾患であるとされています。
医療機関のサポートや周囲の理解を得ることで禁酒も成功しやすくなるため、心当たりがある方は、早めに医療機関やアルコール依存症の専門機関を受診をしましょう。
2.禁酒によって得られる嬉しい効果5選
禁酒は健康面だけでなく、社会生活全般にさまざまな良い影響をもたらします。
そこで本章では、禁酒によって得られる具体的なメリットを5つ紹介します。本章の内容を参考に、健康的なライフスタイルを目指しましょう。
① 日中の眠気や疲労感の軽減
禁酒することで精神的な安定をもたらすメリットがあります。
「お酒を飲むと寝つきが良くなる」と感じる方がいますが、実際は睡眠が浅くなり、十分な休息が取れず、日中に疲労感や眠気を感じやすくなります。
禁酒によって質の良い睡眠が取れるようになると、思考がクリアになりポジティブ思考を維持しやすくなるため、心当たりがある方は禁酒を始めてみましょう。
② 病気の予防につながる
禁酒は臓器障害の予防やがん予防、生活習慣病の予防に効果があるとされています。
とくに日本人は飲酒による大腸がんリスクが高いとされ、飲酒量を減らすだけで予防効果が大きいと言われています。
また、むくみや頭痛といった体調不良の軽減にも効果的とされ、さまざまな身体的なメリットが期待できます。
禁酒を続けることで免疫力が向上し、風邪や感染症にかかりにくい体づくりにつながるため、日頃から健康維持に努めている人ほど、禁酒の効果を実感しやすくなるでしょう。
③ 良好な人間関係が作れる
飲酒が原因で人間関係にトラブルを抱えた経験はありませんか?
禁酒をすることで、感情のコントロールがしやすくなり、家庭や職場、友人との関係が改善されるケースが多々あります。
また、酔った勢いでの言動が減ることで、相手との信頼関係を築きやすくなるメリットもあります。
禁酒は自分だけでなく、周りの人にも良い影響を与えるため、人間関係に悩みがある方は、禁酒を始めるのもひとつの方法です。
④ 出費が減る
飲酒にかかる費用は意外と大きくなりやすいです。居酒屋など外でお酒を飲む場合、外食費だけでなく交通費もかかります。人によっては、飲酒に関わる薬代や通院費なども浮く可能性があるでしょう。
家庭で飲む場合も、禁酒するだけで毎月数千円〜数万円程度の出費を抑えることが可能です。
浮いたお金で新しい趣味を見つけ、お酒に意識が向かないようにすれば、より禁酒が成功しやすくなり、好循環を作り出せる可能性もあります。また、家計の見直しをする上でも禁酒は効果的と言えます。
⑤ 時間に余裕ができる
飲酒時間を減らすことで、自由に使える時間が増えます。
たとえば、禁酒によって二日酔いがなくなると目覚めが良くなり、朝から読書や運動、勉強などに時間を充てることが可能です。
また、体調が改善することで仕事も効率的に行えるため、仕事の処理速度が上がり、残業を減らせる可能性があります。
さらに禁酒することで、帰宅後は家族との時間や趣味に充てる時間が増え、充実した時間を過ごせます。
3.禁酒を成功させる5つのコツ
禁酒を始めても、継続するのは簡単ではありません。しかし、本章で紹介する5つのポイントを抑えることで、成功率アップが期待できます。
これから禁酒を始める方や、禁酒中の方は参考にしてください。
① 禁酒の開始時期を決める
禁酒を成功させるためには、開始時期を決めることが重要です。
禁酒の開始時期は、仕事や人間関係でストレスが少ないタイミングがおすすめです。
また、元旦や誕生日、結婚記念日など、自分にとって区切りの良いタイミングを選ぶのも良いでしょう。
思いつきで禁酒を始めるより、計画的にスタートすることで辛い時期を乗り越えやすくなるため、開始時期にはこだわることをおすすめします。
② 周囲に禁酒宣言をする
禁酒を始める際に、家族や友人、職場の人に宣言することで、禁酒への理解とサポートを得やすくなります。
お酒の席で飲みたくなった場合でも、周囲の人からストップをかけてもらえ、踏みとどまりやすくなるでしょう。
また、禁酒宣言をすることで自分の意志も強化されて、挫折しにくくなります。
③ お酒以外の楽しみを見つける
飲酒がストレス解消やリラックスの手段になっている方は、代わりの楽しみを見つけることが大切です。
禁酒中の時間の使い方でおすすめなのは以下のとおりです。
- 読書や資格取得に向けた勉強
- ドライブや旅行
- 筋トレやランニング
- スポーツチームに入る
- SNSを始める
- 手の込んだ料理を作る
- 配信サービスで動画や映画を視聴する
趣味が続かないという方は、家の掃除や片付け、家電や家具の修理などで気を紛らわすのもおすすめです。
④ ノンアルコールに置き換える
飲みたい気持ちが強い時は、ノンアルコール飲料がおすすめです。最近ではビールやカクテルなど、さまざまなノンアルコール飲料が販売されています。
上手に取り入れることで、その場の雰囲気を楽しみながら禁酒の継続が可能です。
また、心理的にいきなり禁酒するのが難しい方は、少しずつ置き換えることで禁酒への抵抗感も和らぎます。
⑤ 専門医療機関を受診する
ひとりで禁酒を続けるのが難しい方は、医療機関や専門機関のサポートを受けることを検討しましょう。
医師やカウンセラーが、自分に合った禁酒プランを提案してくれるため、無理なく進められます。また、同じ悩みを持つ人との交流を通じて、禁酒のモチベーションを保つこともできます。
ひとりで抱え込まず、医療機関や専門機関に相談することが禁酒成功の鍵です。
場合によっては、減酒から始めることもあります。また、仕事での付き合いなどで、今すぐの禁酒が難しい人も減酒がおすすめです。
4.減酒(節酒)を継続させるポイント2つ
減酒を継続するためには、無理のない範囲で自分のルールを設定することが重要です。
本章では、減酒を成功させるための2つのポイントを紹介します。
① 飲酒量を決める
1日の上限や1週間の飲酒量を、具体的な本数や日数で決めると管理しやすくなります。
たとえば「ビールは1日1缶までにする」「1週間の量を〇〇mlまでにする」などです。
また、飲酒量を記録する習慣をつけることで、達成感を得ながら状況を確認できます。日記アプリや、減酒・禁酒専用の記録アプリを活用し、スキマ時間に記録するのがおすすめです。
決めた数値を達成できなくても、自分に合うやり方に少しずつ変えることで減酒による効果を感じやすくなるでしょう。
② 飲酒ルールを決める
飲酒のタイミングや環境をあらかじめ決めておくと、減酒が続けやすくなります。
具体的には「お酒の席では乾杯の時だけ飲酒OK」「まず食事をとってお腹いっぱいにする」「一口飲むたびにコップをテーブルに置く」「小さいコップで飲む」などです。
減酒や禁酒は、思いつきだけで成功できるものではありません。事前に飲酒ルールを決め、お酒を飲み過ぎてしまう相手や場所を避けることも大切です。
5.禁酒中・減酒中の上手なお酒の断り方3つ
年末年始の宴会シーズンなどでお酒の席が増えると、お酒を断るストレスを抱える方もいるでしょう。
そこで本章では、禁酒中・減酒中の上手なお酒の断り方について紹介します。
① 禁酒・減酒していると宣言する
禁酒・減酒宣言をすることで、周囲に「絶対に飲みません」というアピールができ、同時に周囲からの理解や協力も得られます。
宣言する時は、相手の目を見て本気で断るとより効果的です。
それでもお酒をすすめられる場合は、お酒を飲むと迷惑がかかることを伝えたり、ノンアルコール飲料に代替するとよいでしょう。
② お酒を飲める体質・体調ではないと伝える
最近では「アルハラ(アルコールハラスメント)」という言葉があるように、お酒の強要はいけないという認識が広がっています。
そのため、体質的にお酒が弱いことを伝えるだけでも、無理にお酒をすすめられなくなります。
それでも「少しくらいなら大丈夫でしょう?」とすすめてくる人がいたら、「風邪薬を飲んでいる」「アレルギー反応が出る」「以前お酒を飲んで倒れた」「救急車を呼んだことがある」と、どうしても飲酒できない理由を伝えましょう。
③ 移動手段を車や自転車にする
近年は、飲酒運転の取り締まりが厳しくなり、自転車や電動キックボードの飲酒運転がニュースになっています。
「飲酒運転は絶対にいけない」という認識が広がっているため、禁酒中にお酒をすすめられたら「運転するから飲めない」とはっきり伝えると良いでしょう。
相手が酔っている場合、気が大きくなっているため、会社の飲み会であれば「飲酒運転したらクビになるかも」と、相手も責任を負うことをやんわり伝えるのも効果的です。
6.お酒を飲んではいけない人
ドクターストップを受けて禁酒する方もいますが、運転する方、妊娠(授乳)中の方、未成年の方は、お酒を控えるべきです。
仮に飲酒した場合、罰則が科されるだけでなく周りの人にまで迷惑をかけてしまいます。
本章で紹介するお酒による悪影響を理解し、もし身の回りの人が該当する場合は注意しましょう。
運転する予定がある人
宴会の後に、車や自転車などの車両を運転する予定がある人はお酒を飲んではいけません。
仮に、お酒を飲んでしまった場合は「代行サービスを頼む」「タクシーや公共交通機関を利用する」「徒歩で帰る」など、絶対に飲酒運転をしないよう注意しましょう。
最近は自転車や電動キックボードによる飲酒運転の取り締まりが強化されています。
酒気帯び運転は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、酒酔い運転は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。
また悪質と判断された場合、自動車の運転免許が停止される可能性があるため、運転する予定がある方は、絶対にお酒を飲まないようにしましょう。
関連記事:『飲酒した状態で電動キックボードに乗るのは交通違反|罰則や事故の事例を紹介』
『自転車の飲酒運転で捕まった人はどうなる?実際の3つの事例を交えて解説』
妊娠・授乳中の人
妊娠中や授乳中の飲酒は、赤ちゃんの体の発達や認知機能に影響を及ぼす可能性があるため、控えなければいけません。
以前はごく少量であれば問題ないと言われていましたが、現在は「胎児性アルコール・スペクトラム障害」のリスクがあるため、日本産婦人科医会では禁酒が推奨されています。
もし、妊娠初期で妊娠を知らずにお酒を飲んでしまった場合は、かかりつけ医に相談するなど、専門機関を受診して適切なアドバイスをもらいましょう。
未成年
20歳未満の未成年飲酒は「未成年者飲酒禁止法」で禁止されています。
未成年の体は成長段階であり、アルコールの影響を受けやすいです。仮に飲酒した場合、脳の機能低下・臓器障害・ホルモンの分泌異常・アルコール依存症の罹患率上昇の可能性があります。
なお、未成年であることを知りながら酒類を販売・提供した場合は「50万円以下の罰金」、親権者や監督代行者には「1,000円以上1万円以下の罰金」が科されます。
お酒によるリスクを再認識し、本人が誤って飲酒しないように、周囲の人も健全で楽しい時間を過ごせるよう協力しましょう。
7.まとめ|禁酒の効果を知り、自分に合った禁酒・減酒を!
本記事では、アルコールが与える体への影響や、禁酒による嬉しい効果やメリット、継続のポイント、お酒の上手な断り方などについて紹介しました。
お酒は、適量であればコミュニケーションを円滑にし、気分も楽しくなり、ストレスの緩和にも役立ちます。しかし、飲み過ぎてしまう場合や、やめたくてもやめられない状態の場合は、注意が必要です。
禁酒や減酒には、体調の改善や精神的な安定、経済的なメリットなど多くの効果があります。
禁酒を成功させるためには、一人ひとりのライフスタイルや価値観にあった方法を選ぶことが重要です。完全な禁酒が難しい方は減酒から始めて、無理なく続けられる方法を見つけましょう。
本記事の内容を参考に、健康的で充実した毎日を目指して、自分に合った方法で取り組んでみてください。