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モペット(フル電動自転車)が免許不要の対象ではない理由|特定小型原動機付自転車との違いを解説

ペダル付き電動バイクとして、自転車とバイクの両方を楽しめる「モペット」と呼ばれている乗り物をご存じですか?。警察やニュースなどでは、「ペダル付き原動機付自転車」とも呼ばれています。

そもそも、免許がなくてもモペットに乗れるのか?と疑問に感じている方が多いようです。

「モペットは免許不要?」
「免許不要なモペットが存在する?」
「モペットは特定小型原動機付自転車に該当する?」

これまでの道路交通法では「原動機付自転車」として区分され、運転免許が必須でしたが、現在はどうなっているのでしょうか。結論、モペットは原動機付自転車(一般原動機付自転車)に分類されるため、免許は必要です。

本記事では、モペットに免許が必須な理由や、モペットを安全に乗るために、交通ルールや違反した場合の罰則・罰金について詳しく解説します。モペットを利用している方や、購入を考えている方は、参考にしてください。

1.モペット(フル電動自転車)は道路交通法では「原動機付自転車」

モペット(フル電動自転車)は、ペダルがついているものの完全電動走行が可能なので、自転車とオートバイクの両方の機能を楽しめます。

なお、モペットは道路交通法上、排気量50cc以下のバイクと同じ「原動機付自転車」に車両区分されます。

原動機付自転車の交通ルールは以下の通りです。

【原動機付自転車(モペットを含む)の交通ルール】

  • 原付運転免許の取得
  • ナンバープレート、保安装置の取り付け
  • ヘルメットの着用
  • 自賠責保険の加入
  • 歩道、路側帯、自転車道の走行不可
  • 2,000円/年の軽自動車税の納税

原付の運転免許は16歳から取得可能です。モペットは見た目が自転車と似ているので、子どもでも運転できると判断しがちですが、免許が必須であり、必然的に16歳未満は運転禁止なので注意してください。

2.モペットは免許必須|特定小型原動機付自転車には該当しない

道路交通法の改正により、2023年7月以降から「特定小型原動機付自転車」という区分が登場し、一定の要件を満たすものは運転免許が不要になりました。

このことから、モペットは免許不要で乗れるのでは?と言われるようになりました。

前述のとおり、モペットは特定小型原動機付自転車ではなく、一般原動機付自転車に該当します。

よって、モペッドは50cc以下のバイクと同様に必ず原付免許が必要であり、ヘルメットの着用も必須です。
ちなみに、電動キックボードも特定小型原動機付自転車の一定の基準を満たさない場合、一般原動機付自転車に該当するものもあるため運転免許が必要です。

参考:国土交通省「保安基準適合性等が確認された特定小型原動機付自転車の型式

 

では、特定小型原動機付自転車の条件とは、どのようなものでしょうか?

本章では、特定小型原動機付自転車に区分される車両の条件や、運転するにあたって注意すべきルールについて解説します。

特定小型原動機付自転車として扱われる条件

車両区分は、車体の大きさや電動機の定格出力等によって決まります。特定小型原動機付自転車として扱われる車両の条件は、以下の画像の通りです。

特定小型原動機付自転車の区分を記した表

引用元:国土交通省「1.特定小型原動機付自転車の区分|特定小型原動機付自転車について

 

特定小型原動機付自転車の保安基準項目を記した図

引用元:国土交通省「2.道路運送車両の保安基準|特定小型原動機付自転車について

「特定小型原動機付自転車」に区分される車両は「電動機の定格出力が0.6kW以下、車体の長さが1.9m、幅0.6m以下かつ最高速度が20km/h以下」と決められています。

なお「一般原動機付自転車」に区分されるモペットは、引き続きこれまで通りの交通ルールが適用されます。

参考:国土交通省「特定小型原動機付自転車について

特定小型原動機付自転車の運転免許不要はいつから?

2023年7月1日から、特定小型原動機付自転車に区分される車両は免許不要で運転可能になりました。ただし、16歳未満は運転不可なので注意しましょう。

また、この規制緩和は主に「電動キックボード」を想定したものですが、今後自転車タイプの特定小型原動機付自転車(電動サイクル)も開発が進むかもしれません。

参考記事:Impress Watch「ペダルを漕がない「電動サイクル」 免許不要で改正道交法対応

 

繰り返しになりますが、モペットは原付免許が必要です。電動サイクルとは別物なので注意しましょう。

また、近年ではモペットなどの原動機付自転車による違法走行が問題視されているため、運転する際は交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。

3.特定小型原動機付自転車の法改正のポイント

前述した通り、2023年7月の法改正以降、一部の交通ルールが緩和されました。

では、どのような交通ルールが適用されたのでしょうか?本章では、法改正の内容と、気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。

一部の車両は免許が不要になる

特定小型原動機付自転車に該当する車両は、免許不要で運転可能になりました。しかし、16歳未満は運転不可です。

免許不要になったことで、運転のハードルは下がったものの「特定小型原動機付自転車」による交通事故や違反は年々増えています。違反に関しては、交通区分や信号無視による検挙が多く、事故に関しては単独事故と四輪自動車との接触事故が多く見受けられます。

引き続き、交通ルールを守り安全運転を心がけてください。

参考:警察庁「特定小型原動機付自転車に関連する交通違反・事故の発生状況|改正道路交通法の施行後における特定小型原動機付自転車等の状況等について

公道(自転車道・路側帯)の通行が可能に

法改正後、特定小型原動機付自転車に該当する車両は、自転車と同じく、自転車道や路側帯などの公道を通行できるようになりました。

なお、歩道または路側帯と車道の区別がある道路では、車道を通行しなければなりません(自転車も通行可)。また原則左側通行であり、とくに車両通行帯のない道路は左端によって通行しなければなりません。

違反した場合、5,000円もしくは6,000円の反則金が科されるので、特定小型原動機付自転車に該当する車両に乗る場合は事前に正しい交通ルールを確認してください。

参考:警視庁「特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について

ヘルメット着用は努力義務へ緩和

法改正前の特定小型原動機付自転車に該当する車両はヘルメットの着用が必須でした。しかし、法改正後からヘルメット着用は努力義務に緩和されています。

ヘルメットの着用は義務ではなくなりましたが、2023年7月〜2024年4月までの間に、電動キックボードによる交通事故が164件発生しています。

参考:産経ニュース「電動キックボード関係の事故が急増、164件発生 道交法改正で免許なしでも運転可能に

 

大切な命を守るために、特定小型原動機付自転車に該当する車両を運転する際にはヘルメットを着用してください。

4.特定小型原動機付自転車の性能等確認制度の概要

本章では、道路交通法改正に伴い、新しく制定された「特定小型原動機付自転車の性能等確認制度」について解説します。

この制度があることで、消費者は取り締まり対象にならない保安基準を満たした車両を購入できるほか、警察官が取り締まりを行う際に、簡単に認定車両かどうかを判別することが可能です。

すでに特定小型原動機付自転車の車両を運転している方や、購入予定の方は、知らない間に取り締まり対象にならないよう、本章の内容を参考にしてください。

制度の背景と目的

前述のとおり2023年7月の道路交通法の一部改正に伴い、新たな車両区分「特定小型原動機付自転車」が定義されました。これに対応して、国土交通省は安全性を確保するために「性能等確認制度」を制定しました。

この制度は、特定小型原動機付自転車の保安基準適合性を確認する仕組みを提供するものです。この制度があることで、特定小型原動機付自転車に該当する車両の購入者は違反車両の購入や運転を避けることができ、警察官は取り締まり時に車両の確認がしやすくなりました。運転手の命を守るほか、違反抑止として期待されている制度です。

では、どのようにして消費者や警察官は、保安基準を満たした車両を確認しているのでしょうか?
次の章で「性能等確認制度」の仕組みについて詳しく解説します。

性能等確認制度の仕組み

性能等確認制度では、国土交通省が認定した民間の機関・団体が、特定小型原動機付自転車の保安基準適合性を確認します。

各車両のメーカーは、認定された民間機関や団体に保安基準適合性の審査申請を行い、合格した車両には特別な表示(シール)が貼付されます。この表示により認定車両かどうかを判別できるようになります。

また、保安基準適合性を満たした車両は、国土交通省のHPにて公表されているので、購入予定のある方は確認してください。

参考:国土交通省「保安基準適合性等が確認された特定小型原動機付自転車の型式

5.モペットでの無免許運転・飲酒運転の罰則と罰金について

原動機付自転車に区分されるモペットでの無免許運転は、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。また、免許証不携帯の場合は「3,000円以下の反則金」が科されます。

車両区分にかかわらず、すべてのモペットにおいて飲酒運転した場合、罰則内容は「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2つに分けられます。

  • 酒酔い運転:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

また、同乗者や酒類提供者には「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」もしくは「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられます。

モペットの罰則・罰金について詳しく知りたい方は、以下の関連記事で解説しています。合わせてご覧ください。
関連記事:『モペットは自転車ではない|取り締まり強化の背景と罰則・罰金について解説

6.まとめ|モペットは免許が必須、特定小型に該当する車両のルールを理解して安全に

本記事では、モペットは、50cc以下のバイクと同様に原動機付自転車に該当するため免許が必須であることや、特定小型原動機付自転車に関する法改正の内容を詳しく解説しました。

2023年7月以降、原動機付自転車は3種類に区分され、それぞれの交通ルールを正しく理解している人は、依然として少ないようです。

法改正後、特定小型原動機付自転車に該当する車両は免許不要で運転可能になりました。ただし、特定小型原動機付自転車における検挙件数は、法改正後の半年間で7,130件に上ります。

またモペットによる、人身事故も発生しているため、交通ルールを守り、安全に運転するように心がけてください。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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