車両管理とは?業務内容や企業にもたらすメリット・車両管理システムについて解説

車両管理とは、社用車の運用を総合的に管理し、適切に活用するための業務です。
ドライバーや車両の安全管理、運行に関する書類作成など、業務内容は多岐にわたります。
企業が車両を適切に管理すれば、安全性の向上やコスト削減、業務効率の改善といった効果が期待できるでしょう。
近年では、車両管理システムを活用する企業も増え、デジタル化によって管理業務の効率化が急速に進んでいます。
そこで本記事では、車両管理の業務内容や企業にもたらすメリット、車両管理システムの活用方法について詳しく解説します。
目次 / このページでわかること
1.車両管理とは?
車両管理とは、企業が所有(リース)している社用車を適切に維持・運用するための業務全般を指します。
車両やドライバーの安全管理、運転日報の作成、定期的な車検やメンテナンス、事故対応、車両の稼働状況の把握と運行管理などを行う必要があり、業務内容は多岐にわたります。
大変な業務ですが、安全性の向上や事故防止を目的として、さまざまな企業で車両管理が行われています。
適切な車両管理を行わなかった場合、車両の故障や不具合による事故のリスクが高まり、企業の信用を失いかねません。
また、ドライバーの安全運転が徹底されていない場合、人為的なミスによる事故が発生しやすくなります。
こうした事故を防ぐために、道路交通法では、一定台数以上の車両を保有する企業は「安全運転管理者」を選任し、車両管理を行うことが義務付けられています。
2022年には罰則が強化され、選任義務があるにも関わらず、安全運転管理者を選任しなかった場合は、50万円以下の罰金が科されます。
選任義務の対象外の企業の場合でも、適切な車両管理を行うために、車両管理の担当者を設置するように努めましょう。
2.車両管理はなぜ必要?5つのメリット
適切な車両管理は、事故のリスクを低減するだけでなく、業務の効率化やコスト削減に役立ちます。
また、企業が遵守すべき法律や規制にも対応しやすくなり、コンプライアンスの強化にもつながります。
そこで本章では、企業が車両管理を行うことで得られるメリットについて、詳しく解説します。
車両管理の徹底で、企業の安全性や業務効率がどのように改善するのか、詳しくみていきましょう。
従業員の安全を守る
車両管理を徹底すれば、従業員の安全を守れます。
定期的な点検やメンテナンスを実施することで、ブレーキやタイヤの不具合を早期に発見し、事故のリスクを軽減できます。
また、アルコールチェックや運転日報の管理を行うことで、飲酒運転や過労運転による事故の防止が可能です。
企業にとって、従業員の安全確保は最優先事項であり、適切な車両管理が不可欠です。
コストの最適化
適切な車両管理を行うことで、ムダなコストを削減し、経費の最適化を実現できます。
例えば、燃費の悪化を防ぐために、定期的なメンテナンスを実施することで、長期的な燃料費の削減が可能になります。
また、車両の稼働状況を把握し、不要な車両を削減することで、維持費や保険料のコストカットが可能です。
リース車両の場合、契約内容を見直せば、ムダな支出を減らせます。
徹底した車両管理は、経営効率を高めるために欠かせない業務と言えるでしょう。
事故のリスクを下げる
車両管理の最大の目的は、事故防止です。
定期点検やメンテナンスの実施、ドライバーの運転状況の記録や分析、運転日報などの業務は、事故のリスク回避につながります。
また、デジタコ、ドラレコ、アルコールチェッカーの導入により、従業員の危険運転を防止し、社内の安全意識を向上させることも可能です。
企業にとって、事故による損害は財務的な負担だけでなく、社会的信用の低下にもつながるため、車両管理によるリスク管理は欠かせません。
エコドライブの実現
エコドライブとは、地球温暖化の原因のひとつであるCO2や、自動車の排出ガスを削減するために、環境に配慮して運転することです。
例えば、デジタコが取得したアイドリング情報を元に、ドライバーへ「環境に配慮した運転指導」を行うことができます。また、営業先付近で事故や渋滞が発生した場合でも、オフィスからリアルタイムで最適なルートの指示が可能です。
企業にとって、エコドライブの実現は、避けては通れない取り組みのひとつであり、社会的責任を果たしているとの評価となり、企業イメージの向上につながります。
しかし、エコドライブをイベントやファッションとして捉えるのではなく、車両管理の一環として、企業全体で取り組むことが大切です。
法令遵守の徹底
企業が社用車を運用する際は、道路交通法や労働基準法など、さまざまな法律や規制を遵守する必要があります。
特に、一定台数以上の車両を保有する企業は、安全運転管理者の選任が義務付けられており、運転日報の記録やアルコールチェックの実施が求められます。
法令を遵守しない場合、行政処分や罰則の対象となるだけでなく、企業の社会的信用にも大きな影響を及ぼすため、徹底した車両管理が重要です。
コンプライアンス強化にもつながるため、適切な車両管理は企業に大きなメリットをもたらすと言えます。
3.車両管理の主な業務は3つ
車両管理の業務内容は多岐にわたりますが、特に重要なのが以下3つです。
- ・ドライバーの管理
- ・車両の管理
- ・車両管理台帳の作成
この章では、車両管理を行う上で徹底すべき、3つの業務内容について詳しく解説します。
ドライバーの管理
ドライバーの安全を守ることは、企業の責任であり、車両管理の重要な業務のひとつです。
具体的な業務内容は以下のとおりです。
- 運転記録の管理
- 運行計画の作成
- 走行ルートの指示
- 交代要員の配置
- 個別での定期的な安全運転指導
- 講習会の開催
- アルコールチェックの実施
- 始業前点呼
- 運転免許証の有効期限の確認 など
特にアルコールチェッカーの導入は、飲酒運転を防ぐために有効であり、「定員11人以上の車両を1台保有」もしくは「車両を5台以上保有」している企業は、アルコールチェックの実施が義務付けられています。なお、緑ナンバー車両を保有する企業については、台数にかかわらず義務化の対象です。
車両の管理
車両の適切な管理は、業務効率の向上とコスト削減に直結します。
具体的な業務内容は以下のとおりです。
- 定期点検や車検のスケジュール管理
- 燃費の記録
- 保険やリース契約の更新
- デジタコ、ドラレコ、アルコールチェッカーの導入とメンテナンス
- 車両台数の調整 など
定期的なメンテナンスを行うことで、故障を未然に防ぎ、修理費用の削減につながります。
また、車両の使用状況を分析し、不要な車両の削減や、最適な車両配置を行うことで、企業全体のコストパフォーマンスの向上が期待できます。
車両管理台帳の作成
車両管理台帳とは、車両に関する情報を一元管理するための帳票です。
車両台帳や車両管理表とも呼ばれ、作成は義務化されていませんが、車両の不備や事故のリスク回避、業務の効率化に役立つため、作成することが推奨されています。
車両管理台帳に記載する項目は、以下のとおりです。
車両本体に関する情報 | 車名、登録年度、車体番号、型式、色、定員数、登録番号 |
---|---|
購入と廃車に関する情報 | 購入日(契約日)、廃車日(解約日)、購入先、仕入れ区分、リース期間 |
車検やメンテナンスに関する情報 | 車検の有効期限、定期点検記録、整備工場名、整備状況 |
使用状況に関する情報 | 所属、使用目的、運転者名、管理者名、走行距離、変更履歴 |
保険に関する情報 | 自賠責保険(保険年月日、保険会社、証券番号、保険金額)、任意保険(契約年月日、契約期間、保険内容、証券番号、代理店名) |
経費に関する情報 | 車検費用、修理費用、車載器購入費用、オイル代、ガソリン代など |
あくまでも一例なので、お伝えした項目すべてを記録する必要はありません。
しかし、車両に関する情報を記録することで、各車両の状態を一目で把握でき、適切なメンテナンスが可能になります。
また、万が一事故が発生した場合にも、台帳のデータを活用して、迅速な対応ができるため、企業のリスク管理にも役立ちます。
項目内容が多いため、デジタル化された車両管理システムの導入で、効率的な台帳の記録と管理が可能です。
4.車両管理を始める上で実施すべき3つの対応
車両管理を適切に行うためには、体制を整えることが重要です。
特に、以下の3つを実施することで、車両管理のルールが明確になり、運用の効率化や安全対策の強化につながります。
- ・安全運転管理者の選任
- ・車両管理規程の作成
- ・管理部門と責任者の明確化
そこで本章では、企業が車両管理を始める上で実施するべき3つの対応について、それぞれ詳しく解説します。
安全運転管理者の選任
以下いずれかに該当する企業や事業所において、安全運転管理者の選任が義務付けられています。
「乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用する事業所」
もしくは、
「その他の自動車を5台以上使用する事業所(使用本拠地)」
※大型自動二輪と普通自動二輪は、1台を0.5台として計算
また、使用台数が20台以上40台未満の場合は副安全運転管理者を1人、40台以上の場合は、20台増やすごとに1人の副安全運転管理者の選任が必要です。
リース車両においても、条件に該当する場合は、安全運転管理者の選任が必要です。
義務化の対象外の場合、車両管理の一環として、自主的に安全運転管理者を選任することに関しては、問題ありません。
関連記事:
『安全運転管理者に必要な4つの資格とは?法定講習を受けなかったらどうなる?
』
『安全運転管理者は必要ない?義務となるケースや解任(解除)についても解説!』
車両管理規程の作成
車両管理を効率的に運用するためには、社内で統一したルールを決めることが重要です。
車両管理規程に盛り込むと良いとされる項目は以下のとおりです。
- 安全運転管理者の選任
- 車両管理責任者の明示
- 車両管理台帳の作成
- 運転者台帳の作成
- 社用車の保守点検および整備
- 安全運転教育の実施
- 加入する保険の条件
- マイカーの業務使用について
- 社用車の私的使用の可否 など
車両管理規程を作成することで、従業員全員が共通のルールのもとで車両を使用できるようになり、不適切な運用や事故リスクを防止できます。
管理部門と責任者の明確化
一般的に、総務部や管理部などで、車両点検、保険、免許更新などの管理を行うことが多いです。
実際に社用車を使用する営業部などは、車両の利用状況の管理、アルコールチェックの実施や記録、勤怠管理を行います。
管理を行うのが総務部や管理部、運用を行うのが営業部というようなイメージです。
しかし、部署をまたいだ車両管理は、情報やルールが明確にならないため、トラブルが発生した際にスムーズな対応が難しくなる可能性があります。
こうした事態を防ぐために、各部門で責任者を定め、指示系統を明確にしておくことが大切です。
5.手間のかかる業務はクラウド化がおすすめ
車両管理には、点検や整備の記録、保険や税金の更新や手続き、始業前点呼やアルコールチェックの実施、運行状況の把握など、多くの業務が発生します。
すべてを手作業で管理した場合、情報の更新漏れや人的ミスが起こりやすく、業務効率の低下につながります。
そこでおすすめなのが、クラウド型の車両管理システムの導入です。
クラウド型車両管理システムを導入することで、業務の負担を軽減しながら、正確で効率的な車両管理が可能になります。
本章では、車両管理システムの概要や導入するメリット、車両管理システムの選び方について詳しく解説します。
車両管理システムとは?
車両管理システムとは、社用車に関する情報を一元管理し、運用の効率化を支援するクラウド型のツールです。
車両点検や整備の記録、燃費管理、運行状況、ドライバーの勤務状況などをデータとして蓄積し、リアルタイムで確認できる機能を備えています。
アルコールチェッカーと連携可能な車両管理システムもあり、ドライバーのアルコールチェックの自動記録や、リアルタイムでの確認が可能です。
従来のExcelや紙ベースによる管理に比べ、情報の共有・更新がスムーズになり、管理者の負担を大幅に軽減できるのが特徴です。
車両管理システムを導入するメリット
車両管理システムの導入で、業務効率の向上やコスト削減、安全管理の強化が可能です。
例えば、車検のスケジュールや、アルコールチェックのデータを自動で管理できるため、法令遵守の徹底に役立ちます。
さらに運行データを分析することで、燃費の改善やドライバーへの安全運転指導にも活用可能です。
手間のかかる業務をシステム化することで、業務負担を減らしながら、より精度の高い車両管理を実現できます。
車両管理システムの選び方
車両管理システムを導入する際は、自社のニーズや、社用車の使用状況に適したものを選びましょう。
先に、管理したい項目(点検・整備、アルコールチェックの記録、燃費管理など)を明確にし、効率的に管理できる機能が備わっているか確認しましょう。
また、操作のしやすさや、スマートフォンやタブレットで操作可能なのかも重要なポイントです。
料金プランやサポート体制も比較し、導入後に継続利用できるシステムを選ぶことが大切です。
6.アルキラーNEX|クラウド型アルコールチェッカーで車両管理を一元化
企業における車両管理では、ドライバーの安全確保や法令遵守が欠かせません。
特に、飲酒運転防止のためのアルコールチェックは、道路交通法の改正により、厳格な管理が求められています。
そこで、パイ・アールのおすすめが、クラウド型アルコールチェッカー「アルキラーNEX」です。
アルキラーNEXは、従来のアルコールチェック業務をクラウド化し、記録の自動保存やリアルタイム管理を可能にすることで、企業の車両管理を効率化します。
【アルキラーNEXが車両管理に役立つポイント】
- ① 【アルコールチェックの自動記録・管理】
アルキラーNEXは、測定結果をクラウド上にリアルタイムで保存するため、紙ベースでの記録・管理が不要になります。管理者は遠隔地からでもドライバーのチェック状況を確認でき、不正防止や業務の効率化に貢献します。 - ② 【外部システムと連携可能】
外部システムとの連携で、アルコールチェックの結果と走行管理を一元管理できます。例えば、ドライバーや車両の基本データの管理、勤怠管理、運行管理などが利用できます。安全運転指導のデータとして活用できるだけでなく、事故リスクの低減にもつながります。 - ③ 【法令遵守の徹底とコンプライアンス強化】
アルキラーNEXの導入により、義務化されている法令遵守に必要なアルコールチェックの情報が自動で保存されます。さらに、なりすまし防止機能やワンタイムパス認証により、正確なアルコールチェックの実施が可能です。今後も変更される可能性がある法改正への対応も見据え、企業のコンプライアンス強化に貢献します。
アルキラーNEXを導入することで、アルコールチェック業務の負担を軽減しながら、より正確で効率的な車両管理を実現できます。
飲酒運転のリスクをゼロにし、安全な車両運用を目指しましょう。
7.まとめ|業務の効率化は車両管理システムの導入がおすすめ
本記事では、車両管理の業務内容や企業にもたらすメリット、車両管理を始める上で企業がすべき対応について解説しました。
車両管理は、企業のコスト削減や安全対策、業務効率の向上に欠かせない業務です。
しかし、手作業での管理には多くの手間と時間がかかり、人的ミスも発生しやすくなります。
このような課題を解決するために、車両管理システムを導入することで、人的ミスを減らせるほか、法令を遵守した正確な業務が行えます。
また、車両管理システムで得たデータを元に、最適な運用計画やエコドライブの実施、ドライバーへの運転指導が可能となり、より安全でコストパフォーマンスの高い運用が可能となるでしょう。
車両管理をクラウド化することで、さまざまなメリットが得られます。車両管理業務を担当している方や、事業所で管理業務を担当している方は、本記事で紹介した内容を参考に、安全で正確な車両管理業務のアップデートを検討してみてください。