【2024年最新】都道府県別の自動車盗難件数と効果的な防止策

近年、車の盗難が日本全国で多発しており、とくに関東圏は、盗難被害が多い地域として知られています。大切な愛車を守るためには、盗難の多い地域を把握し、最新の防止策を施すことが重要です。

そこで本記事では、2024年の最新データ(警察庁発表)をもとに、車の盗難が多い地域や、盗難手口、効果的な防止策を紹介します。

狙われやすい車種についても紹介しますので、万全の対策ができるよう、参考にしてください。

1.2024年の最新データに基づく車の盗難状況

日本国内での車の盗難被害は依然として多く、SUVや高級車、貨物自動車が狙われやすい特徴があります。

本章では、2024年に警察庁が発表した最新データをもとに、車の盗難が多い地域や、盗難件数について詳しく解説します。盗難状況を把握し、防犯意識を高めていきましょう。

自動車盗難の被害が集中している5つの地域

警察庁が発表した、令和5年度都道府県別の盗難認知件数の総数は、5,762件でした。

被害件数は前年度から28件増え、とくに上位5県「千葉県・愛知県・埼玉県・茨城県・神奈川県」で、被害全体の55.6%を占めています。次いで、大阪・栃木・群馬・東京の順で被害が多発しています。

愛知県や茨城県などでは、車の盗難に関する情報提供に報奨金制度が設けられ、引き続き取り締まりが強化中です。

参考:4 自動車盗の認知・検挙件数・検挙人員の推移|警察庁

2024年版|都道府県別の自動車の盗難件数

下の表は、都道府県別の盗難件数の数値です。

【北海道・東北地域の盗難認知件数】

都道府県名令和4年令和5年増減
件数%
北海道8784-3-3.4%
青森1215325.0%
岩手1211-1-8.3%
宮城3612589247.2%
秋田167-9-56.3%
山形3129300.0%
福島871112427.6%

【関東地域の盗難認知件数】

都道府県名令和4年令和5年増減
件数%
東京179190116.1%
茨城587615284.8%
栃木330245-85-25.8%
群馬233191-42-18.0%
埼玉6066837712.7%
千葉62774611919.0%
神奈川27646118567.0%
新潟2633726.9%
山梨2531624.0%
長野46651941.3%
静岡58580%

【中部地域の盗難認知件数】

都道府県名令和4年令和5年増減
件数%
富山6217-45-72.6%
石川1613-3-18.8%
福井147-7-50.0%
岐阜118109-9-7.6%
愛知884698-186-21.0%
三重10511387.6%

【近畿地域の盗難認知件数】

都道府県名令和4年令和5年増減
件数%
滋賀7139-32-45.1%
京都6851-17-25.0%
大阪652447-205-31.4%
兵庫139124-15-10.8%
奈良4745-2-4.3%
和歌山1522746.7%

【中国地域の盗難認知件数】

都道府県名令和4年令和5年増減
件数%
鳥取69350.0%
島根132200.0%
岡山34461235.3%
広島3139825.8%
山口1512-3-20.0%

【四国地域の盗難認知件数】

都道府県名令和4年令和5年増減
件数%
徳島51712240.0%
香川915666.7%
愛媛202115.0%
高知770%

【九州地域の盗難認知件数】

都道府県名令和4年令和5年増減
件数%
福岡61902947.5%
佐賀711457.1%
長崎4106150.0%
熊本7169128.6%
大分911222.2%
宮崎910111.1%
鹿児島18180%
沖縄545959.3%

参考:5 自動車盗の都道府県別認知・検挙件数・検挙人員|警察庁

盗難件数が多い地域ごとの傾向は?

車の盗難件数が多い地域には以下のような共通点があります。

  • 平地が多く、ヤード(車の解体処理場)が作りやすい
  • 解体から販売・輸出までの流通経路が整っている
  • コンテナ輸出可能な港が近い

愛知県では、報奨金制度の実施や、取り締まり強化の影響により、盗難認知件数が大幅に減少したと考えられます。しかしながら、他の地域では依然として車の盗難が増加しています。

とくに盗難件数が多い千葉県は、全国の4分の1にあたるヤードがあると言われ、盗難から解体・販売までのスピードが早いと考えられます。また盗難件数が多そうな東京ですが、監視カメラの多さや、特別なプロジェクトチームが組まれている背景から検挙率も多く、窃盗犯が避ける傾向にあります。

2.2024年上半期|盗難が多い車種TOP10

本章では、警察庁が発表した2024年上半期における、盗難が多い車種や、直近の盗難傾向について解説します。

下の表では、2024年上半期における、車種別の盗難台数を順位表示しています。

【2024年上半期 車種別盗難台数】
メーカー車名盗難台数(※)
トヨタランドクルーザー590
アルファード303
プリウス287
レクサスLX112
レクサスRX80
ハイエース60
ダイハツハイゼット55
トヨタクラウン44
レクサスLS44
スズキキャリイ44

※「盗難台数」とは、盗難などで車両手配された車種が明らかな車であり、未遂などを含まないため、犯罪統計における自動車盗難認知件数とは異なる。なお、表一覧には小型トラック・中型トラック・大型トラックは含まない。

2023年度の盗難件数が多い車種にとくに変化はなく、今後もSUVなどを中心として、盗難被害が発生すると考えられます。

参考:令和6年上半期における車名別盗難台数の状況|警察庁

直近の盗難車の傾向

直近の盗難車の傾向は以下の通りです。

  • 新しい年式車両
  • 西暦2000年以前に製造された古い型式の車両
  • 小型トラック、中型トラック、大型トラック

とくに、トヨタ車は海外人気が高く、高値で販売されるため、狙われやすい傾向にあります。また、ランドクルーザーやレクサスは、大量運搬や悪路走行も可能なため、輸出先の最終地点が発展途上国のケースが多いです。

3.3つの自動車盗難の手口

近年の自動車盗難の手口は高度化しており、とくに電子技術を悪用した方法が増えています。技術的な手口に対抗するには、手口の特徴を知り、新たな防犯対策を行うことが重要です。

そこで本章では、近年増加中の車両盗難の手口について紹介します。

CANインベーダー攻撃

CANインベーダー攻撃とは、車両内部にあるコンピューターシステム(CAN)に、特殊な機器をバンパーなどから接続後、システム内に侵入してドアを開けたり、エンジンを始動させたりする盗難手口です。

車両システムに直接アクセスできるため、鍵を使わずに車を盗むことが可能です。過去には、CANインベーダー攻撃によって、2分〜3分で車が盗まれた事例が多くあります。

とくに最新モデルや高級車は、エンジン・バッテリー・モーターなどの各部品がコンピューターシステムで管理されているため、一度システム侵入されると自由に操作されてしまいます。

リレーアタック

リレーアタックとは、特殊機器を用いて、スマートキーから出る電波を車両の受信機に反応させ、ドアロックを解除する盗難手口です。

スマートキーと車両には、電波の発信機と受信機が搭載されています。電波は車両ごとに暗号化され、パワーも弱く、お互いが1m〜1.5m程度の範囲に近づくことで、ドアロックが解除される仕組みです。

窃盗犯は、スマートキーが置かれている玄関などに近づき、微弱な電波を増幅させる特殊機器を2〜3人程度で車の位置まで中継し、ドアロックを解除します。2010年ごろにヨーロッパを中心に広まった手口で、日本でも増加しています。

コードグラバー

コードグラバーとは、スマートキーから出る暗号化された電波を解析し、スペアキーを作成してドアロックを解除する機器のことです。最近は、機器を悪用した手口をコードグラバーと言います。

本来コードグラバーは、スマートキーの紛失など、緊急時に使用する機器でしたが、現在では車両窃盗に悪用されるケースが多発しています。

100m〜500m範囲内であれば、電波の解析が可能で、ドライバーが車から離れた隙に、ドアロック解錠からエンジン始動、車の発進までを行います。

その他の盗難手口

技術的な盗難手口以外に、物理的に車を盗難する手口も多発してます。

  • 窓の隙間から針金などを差し込み、ドアを解錠し車内に侵入する
  • ハンマーなどで窓ガラスをわり、ドアを解錠し車内に侵入する
  • 工具などを使ってドアを解錠し、ステアリングロックを破壊してエンジンを始動する
  • 車体に、マグネット等で隠しているスペアキーを探す
  • 家に侵入し、車の鍵を盗む
  • レッカーやけん引車で引っ張る
  • 鍵を預かる施設で、車の所有者になりすましてキーを盗む  など

窃盗後に、GPSによる追跡を妨害する手口もあり、高度化する盗難手口に備えるためには、個人での防犯対策が必須です。

4.自動車盗難を防ぐための効果的な防犯対策

自動車盗難の手繰りは高度化しており、従来の防犯対策では不十分な可能性があります。また、防犯効果を最大限に発揮するためには、複数の防犯対策を掛け合わせることが有効的です。

そこで本章では、基本的な防犯対策に加え、CANインベーダー攻撃やリレーアタック、コードグラバーといった、技術的な手口に対応できる防犯対策について紹介します。

基本的な盗難対策をしっかり実施する

基本的な盗難対策で、自動車盗難のリスクを下げられます。大切な愛車を守るために、以下のような対策を日頃から意識して行いましょう。

  • 路上に車を停めて、長時間放置しない
  • 貴重品を車内に放置しない(外から見える場所に置かない)
  • 数十秒でもキーをつけたまま車から離れない
  • ETCカードなど、取り外し可能な車内アイテムは、できるだけ持ち帰る
  • 自宅から離れた駐車場を契約する場合、定期的に車の状態をチェックする
  • 防犯対策が万全な駐車場を利用する  など

一瞬のうちに自動車窃盗は行われるため、まずは窃盗犯に隙を見せないことが大切です。日頃から高い防犯意識をもち、犯罪の標的にならないよう気をつけましょう。

CANインベーダー攻撃の対策

CANインベーダー攻撃は、現状として完全に対策できる方法がありません。そのため、物理的な盗難対策を掛け合わせ、犯行時間を引き伸ばすことが効果的です。具体的な対策方法は以下の通りです。

  • タイヤロック
  • ハンドルロック
  • ブレーキペダルロック
  • GPS
  • 警報アラーム
  • セキュリティライト
  • 防犯カメラ
  • イモビライザー

イモビライザーとは、キーと車両のIDが一致した時のみエンジンが始動する、車両盗難を防ぐためのセキュリティシステムです。高度な暗号技術によってIDが作成されているため、複製は不可能と言われています。

なお、同じ車種でも、欧州仕様はイモビライザーが標準装備されているにもかかわらず、国内向けにはオプション設定のケースが多いです。

そのため近年は、国内向け車体にも、イモビライザーの標準装備を行う動きが出始めています。

参考:官民合同PT(プロジェクトチーム)を中心としたこれまでの自動車盗難対策と今後の課題について」|社団法人 日本損害保険協会

リレーアタック・コードグラバーの対策

リレーアタックやコードグラバーに対しては、スマートキーの電波を遮断させる対策が効果的です。

具体的な盗難対策は、以下の通りです。

  • 玄関に鍵を置かない
  • スマートキー専用の電波遮断ケースやポーチに入れる
  • 節電モードにしてスマートキーの電波の発信を停止する
  • スマートキーの電波を常にオフにする
  • リレーアタック防御装置を搭載する

リレーアタックの防御装置は、車のスマートエントリー機能を無効化させ、リレーアタックを完全防御できるセキュリティシステムです。

20,000円程度のコストがかかりますが、スマートキーの電波を常にオフにする対策より手間がかからず、別リモコンも不要なため、搭載する方が増えています。

関連記事:『車の盗難防止対策5選|盗まれた時の対応方法と対策グッズも5つ紹介

5.自動車盗難の被害に遭った場合の対応

愛車が自動車盗難の被害に遭ったら、以下の手順で対応しましょう。

  1. ① 最寄りの交番、もしくは警察署にて盗難被害届を提出する(車検証、自動車損害保険証に記載された情報が必要です)。
  2. ② 届出時に、自動車車体番号、車体の特徴、被害日時や発見時の状況、車に置いていた貴重品や、車両アイテムなどを詳しく答えられるよう、準備しておく。
  3. ③ 警察から受理番号が発行されたら、運輸支局や、自動車検査登録事務所にて、一時抹消登録手続きを行う。
  4. ④ 盗難対応の車両保険に入っている場合は、保険会社に連絡して、保険金の受け取りを行う。

クレジットカードを盗まれた場合は、カード会社に利用停止手続きを行い、スマホを盗まれた場合は、電子決済サービスなどの利用停止手続きを行ってください。

また、万が一に備えて、素早く手続きができるように、車検証や自動車損害保険証のコピーの用意をおすすめします。

6.まとめ|最新の自動車盗難の手口を把握し適切な防止策を

本記事では、2024年最新の自動車盗難の状況や傾向、盗難手口や防犯対策、被害時の対応について解説しました。

自動車盗難の手口は、車の技術進化と共に巧妙化しています。大切な愛車を守るには、最新の盗難手口を知ることが重要です。紹介した防犯対策を行い、充実したカーライフを叶えてください。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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