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安全運転管理者制度の義務を怠った場合の罰則について解説!その背景は?

2023年12月1日よりアルコールチェッカーを使用した飲酒検査が義務化となり、安全運転管理者の業務や社内ルールの見直しを考えている企業も多いのではないでしょうか。

安全運転管理者の業務は、車両を使用する企業にとって大切な役割となっており、その分罰則等もしっかりと定められています。また千葉県八街市で起きた白ナンバートラックの飲酒事故の影響により、その罰則も大幅に引き上げられています。

安全運転管理者は非常に多くの業務を実施しなければならず、業務負担が大きいと感じる方もいますが、コンプライアンスの観点や会社と社員を守るためにも、きちんと理解した上で対応しなければいけません。

本記事では、安全運転管理者の業務を万が一怠ってしまった場合の罰則について、詳しく解説していきます。

1.そもそも安全運転管理者とはどんな制度?

安全運転管理者制度とは、自動車の使用者(事業主等)が一定台数以上の自家用自動車を使用する場合に、安全運転管理者とそれを補助する副安全運転管理者を選任し、事業所等における安全運転管理の責任の明確化と交通事故防止体制の確立を図ることを目的として定められた制度です。

安全運転管理者は、国家公安委員会が公表する「交通安全教育指針」や内閣府令で定める安全運転管理者の業務(道路交通法施行規則第9条の10)にしたがって、自動車の安全運転に必要な指導や管理業務を行います。

安全運転管理者について、さらに詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
関連記事:『【2024年】安全運転管理者とは?選任義務から罰則、業務内容まで詳しく解説

2.4つの安全運転管理者制度の罰則をそれぞれ解説

安全運転管理者制度には4つの罰則があります。

  • ①選任義務違反
  • ②解任命令違反
  • ③是正措置命令違反
  • ④選任解任届出義務違反

それぞれ4つの罰則を詳しく解説します。

①選任義務違反

道路交通法第74条の3に基づき、一定台数以上の自家用自動車を使用する企業や事業所には、使用の本拠地ごとに内閣府令で定められた要件を満たす人物から安全運転管理者を選任する義務があります。

選任義務の対象であるにもかかわらず安全運転管理者を選任しない場合は「選任義務違反」となり、行政機関等からの警告、是正措置命令、罰則などの措置を受ける可能性があります。

罰則は、50万円以下の罰金です。法改正(2022年10月)前の最大5万円以下の罰金から大きく引き上げられ、安全運転管理者選任の重要性が一層強調されています。

参考:道路交通法|e-GOV法令検索『第74条の3

②解任命令違反

解任命令とは道路交通法第74条の3第6項に基づき、安全運転管理者が職務を適切に遂行できないと判断された場合や法令違反などの不適切な管理が明らかになった際に、行政機関から安全運転管理者の解任を命じる通知や命令が発令されます。

その解任命令に従わず、選任の状態を継続したり、解任命令に反して同一人物を再任すると罰則が科せられます。
罰則は選任義務違反と同じ50万円以下の罰金となっており、改正前の最大5万円以下の罰金より引き上げられています。

参考:道路交通法|e-GOV法令検索『第74条の3第6項

③是正措置命令違反

2022年10月施行の道路交通法の改正により、規定を遵守せず安全運転が確保されていないと判断された場合、公安委員会から自動車の使用者に対して是正措置命令が発令されます。

企業や事業所には、道路交通法第74条の3第7項道路交通法第74条の3第8項に基づき、是正措置命令に含まれる具体的な改善要求や対応策を適切に実施しなければならない義務があります。この是正措置命令に従わず改善措置を怠ったり、要求事項に沿わない場合は、「是正措置命令違反」となります。

罰則は、50万円以下の罰金が科せられます。

参考:道路交通法|e-GOV法令検索『第74条の3第7項』『第74条の3第8項

④選任解任届出義務違反

道路交通法第74条の3第5項に基づき、企業や事業所は安全運転管理者や副安全運転管理者の選任や解任を行った際に、15日以内に管轄の公安委員会へ届出をしなければいけません。

この届出を怠ると「選任解任届出義務違反」となり、罰則は5万円以下の罰金が科せられます。法改正前の2万円以下の罰金より引き上げられました。

参考:道路交通法|e-GOV法令検索『第74条の3第5項

3.安全運転管理者制度の罰則が重くなった背景

前章では安全運転管理者制度の4つの罰則を解説しましたが、そもそもなぜ安全運転管理者制度の罰則が重くなったのでしょうか?

その背景となったのは、2021年(令和3年)6月28日、千葉県八街市で起きた児童5人が死傷した痛ましい事故です。

当時、千葉県八街市の市道で飲酒をしていたドライバーが運転するトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、5人の児童が死傷しました。

運転手の呼気からは基準値以上のアルコールが検出され、その影響で運転中に居眠りをしていたことが発覚しました。事故を起こしたトラック運転手は、日頃から業務中の飲酒をしており、上司に注意されても続けていました。車内には、過去に飲んだ酒の空容器も見つかり、日常的に飲酒を繰り返していたことが分かります。

これにより世間からは事故を起こしたドライバーだけでなく、所属していた会社も管理不足や社員の教育不足による多くの批判や意見が挙がりました。

この事故が大きな社会問題となり、内閣府は2021年8月に「通学路等における交通安全の確保および飲酒運転の根絶に係る緊急対策」を発表し、この内容を踏まえ、下記のように道路交通法施行規則の一部が改正されました(道路交通法施行規則 第9条の10を改正、2021年11月10日に交付)。

  • ・運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等で確認することにより、当該運転者の酒気帯びの有無を確認すること。および、その確認の内容を記録し、1年間保存すること(第6号、第7号 令和4年4月1日施行)
  • ・上記の確認を、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて行うこと。および、そのアルコール検知器を常時有効に保持すること(第6号、第7号 令和5年12月1日施行)

参考:警察庁「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行に伴うアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等について(通達)

4.安全運転管理者業務を怠った場合のリスク

では安全運転管理者業務を怠った場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

  • ・そもそも義務のため法令違反となり罰則を受ける
  • ・飲酒運転を見逃してしまい大きな事故につながる
  • ・企業の信頼度が低下する

こちらもそれぞれ解説していきます。

そもそも義務のため法令違反となり罰則を受ける

安全運転管理者の選任や自動車の安全運転に必要な業務を行うことは、自動車を使用する企業や事業所にとっては義務となっています。
そのため、義務を怠った場合は義務違反として罰則を受けなければなりません。

関連記事:『酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準や処分・罰則内容をわかりやすく解説

飲酒運転を見逃してしまい大きな事故につながる

安全運転管理者の業務を怠ってしまうと、未然に防げるはずの飲酒運転を見逃してしまい大きな事故に繋がる可能性が高くなります。

たとえば、社員が飲み会に行った翌日に体内にお酒が残っていたとします。安全運転管理者の業務である飲酒の有無を確認する業務を怠ってしまうと、お酒が残っているまま運転をさせてしまい飲酒運転等で大事故を引き起こす可能性があります。

こういった大きなリスクを念頭におき、日々の業務や確認作業を徹底しなければなりません。。

企業の信頼が低下する

安全運転管理者の業務を怠り、それが原因でドライバーが事故を引き起こしてしまった場合、企業や事業所としての責任が問われます。そうなるとお客様や取引先企業から「業務を怠る会社」「事故を引き起こした会社」として信頼や信用を大きく失ってしまうリスクがあります。

企業の存続にも関わる大きなリスクとなりますので、法令や義務はしっかり確認しましょう。

5.安全運転管理者の主な業務は?

それでは安全運転管理者はどのような業務をしなければいけないのでしょうか。

安全運転管理者は主に下の9つの業務を実施しなければいけません。それぞれ解説していきます。

①運転者の適性等の把握

自動車の運転についての運転者の適性、知識、技能や運転者が道路交通法等の規定を守っているか把握するための措置をとること。

②運行計画の作成

運転者の過労運転の防止、その他安全な運転を確保するために自動車の運行計画を作成すること。

③交替運転者の配置

長距離運転または夜間運転となる場合、疲労等により安全な運転ができないおそれがあるときは交替するための運転者を配置すること。

④異常気象時等の措置

異常な気象・天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、安全確保に必要な指示や措置を講ずること。

⑤点呼と日常点検

運転しようとする従業員(運転者)に対して点呼等を行い、日常点検整備の実施および過労、病気等により正常な運転ができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。

⑥酒気帯びの有無の確認

運転しようとする運転者および運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国家公安委員会が定めるものをいう。)を用いて確認を行うこと。
※アルコール検知器使用義務化規定については、令和5年12月1日から適用。

⑦酒気帯びの有無の確認結果の記録と保存

酒気帯びの有無を確認した内容を記録し、その記録を1年間保存すること。

⑧運転日誌の備付け

運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。

⑨安全運転指導

運転者に対し、「交通安全教育指針」に基づく教育のほか、自動車の運転に関する技能・知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと。

安全運転管理者について、詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
関連記事:『【2024年】安全運転管理者とは?選任義務から罰則、業務内容まで詳しく解説

上記の内容を正しく確実に義務を全うするとなると、安全運転管理者の業務は広範囲に渡り、業務量も非常に多くなってしまいます。安全運転管理者は他の業務を兼任していることが多いため、安全運転管理者の業務が疎かになってしまうこともあります。

次章では安全運転管理業務を正しく継続するための方法をご案内します。

6.安全運転管理の業務を効率的に正しく行う方法

アルキラーNEX製品画像

安全運転管理者の業務はかなり多く大変ですが、自動車の安全運転確保のために欠かせないため、確実に義務を全うする必要があります。

そのために弊社では「アルキラーNEX」の導入をおすすめしています。

アルキラーNEXは、アルコールチェックの実施結果をクラウド上に自動保存する機能や走行管理機能などにより、安全運転管理者の業務を大幅に削減することが可能です。

顔認証機能などによる不正防止や、アプリ1つで運転日誌を作成可能です。そして、簡単かつ確実にアルコールチェックの結果が取得できます。

詳しい使い方やサービス内容について、お気軽にお問い合わせください

参考:『アルキラーNEX製品ページ

7.まとめ

この記事では、安全運転管理者の罰則について詳しく解説しました。
千葉県八街市の事故の影響で罰則が引き上げられており、安全運転管理者の業務の重要性に気づかれた方も多いのではないでしょうか。

安全運転管理者の業務は、車両を利用する企業や事業所にとって非常に大切な業務です。罰則を受けないことはもちろんですが、会社や社員を守るためにも現在の運用や社内ルールを見直してみてはいかがでしょうか。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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