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お酒で顔が赤くなるのはなぜ?強い人・弱い人の違いや赤くならない方法を解説

お酒を飲むと、なぜ顔が赤くなるのか気になったことはありませんか?

これは、体内でのアルコール代謝量が大きく関係していると考えられていて、日本人を含むアジア人に多くみられる反応で、酵素の働きに特徴があると言われています。

顔が赤くなる人とならない人の違い、赤くならない方法が気になる方も多いはずです。

そこで本記事では、お酒で顔が赤くなる仕組み、強い人・弱い人の体質の違いや、赤くならない工夫、顔が赤くなる人の健康リスクについて解説します。

お酒を楽しく飲むためのポイントを知り、健康的な飲み方を心がけましょう。

1.お酒を飲むと顔が赤くなるのはなぜ?

お酒を飲んで顔が赤くなる反応を「フラッシング反応」と言います。そのほか、吐き気・頭痛・動悸・眠気などの症状も伴います。

「ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)」の働きが弱い人に多くみられ、アルコールが分解される際に発生する毒性物質「アセトアルデヒド」が、急激に体内にたまり、フラッシング反応が起きます。

アルコール代謝(分解)のしくみ

「お酒に強い」と言われる人の場合、ALDH2の働きが活発で、アセトアルデヒドの分解能力が高く、顔が赤くなりにくく、頭痛や動悸などの不快感をもちにくいと考えられています。

「お酒に弱い」と言われる人の場合、アセトアルデヒドの分解が遅く、ビールコップ1杯でも顔が赤くなり、さらに二日酔いを引き起こす可能性があります。

そのため、フラッシング反応が強く出る人は、不快感を避けるために飲酒を控えたり、量を少なくしたりする人が多い傾向にあります。しかし、長年飲んでいると、自然と耐性がつき、不快にならずに飲酒できる場合があると言われています。

ただし、アセトアルデヒドによるダメージを受けており、臓器障害を引き起こす可能性が高まると考えられていますので注意が必要です。

関連記事:『飲酒前・中・後の二日酔い対策を紹介|翌日の適切なケアやNG行動も解説

参考:フラッシング反応|e-ヘルスネット(厚生労働省)
アセトアルデヒド|e-ヘルスネット(厚生労働省)

2.お酒に強い人・弱い人の違い

お酒に強い人と弱い人の違いは、ALDH2の働きが大きく関係しています。そのほか、性別・年齢・体質による影響も大きいと考えられています。

そこで本章では、それぞれの違いを詳しく解説します。

性別による違い

性別によってお酒の強さに違いが出るのは、体の構造やホルモンが影響しています。

女性の体は男性よりも小柄な場合が多く、肝臓の大きさも小さいため、同じ飲酒量でも、男性より血中アルコール濃度が高くなりやすいと考えられています。

また、女性ホルモンにはアルコールの分解を抑える作用があり、アルコールの代謝能力は男性の3/4程度しかないと言われています。

そのため、男性の1/2〜2/3程度の飲酒量が適切と考えられています。

過度の飲酒や、長期間にわたる飲酒をした場合、急性アルコール中毒などの酩酊リスクや、臓器障害の発生リスクが高まるため、お酒の飲み過ぎには注意が必要です。

関連記事:『酩酊とは?単純酩酊の酔い方6ステップと異常酩酊の罪について解説

参考:女性の飲酒と健康|e-ヘルスネット(厚生労働省)

年齢による違い

若い頃はお酒に強かった人でも、加齢とともに肝臓のアルコール分解機能が低下するため、少量でも酔いやすく、不快感を得やすくなります。

とくに高齢者の場合、飲酒が健康に与える影響が大きく、健康寿命にも大きく関わります。また飲酒だけでなく、加齢そのものが睡眠の質を低下させる要因となり、さらに高齢者は薬を服用していることが多いため、酔い方がひどくなる傾向があります。

また、仕事や配偶者の存在で適切な飲酒量に収まっていたお酒が、退職や離別をきっかけに急増するケースが問題になっており、体に大きなダメージを与える可能性があります。

アルコール依存症のリスクも高まるため、誰かと一緒に楽しく飲むことを心がけ、節度ある飲酒を守りましょう。

参考:高齢者の飲酒と健康|e-ヘルスネット(厚生労働省)

体質による違い

アセトアルデヒドを分解するALDH2には、活性型と欠損型(低活性型・非活性型)の2タイプがあります。

お酒を飲んで顔が赤くなる人は、ALDH2のタイプが欠損型である可能性が高いです。

ALDH2のタイプは遺伝子によって決まり、東アジアに多いモンゴロイド系の人種に欠損型のタイプが多くみられます。

国・地域 AHDH2欠損型の割合
日本 44%
中国 41%
韓国 28%
フィリピン 13%
西欧州 0%
中東 0%
アフリカ 0%

また、日本国内でのALDH2の欠損型タイプは、中部・近畿地方に多く、九州南部・東北地方では活性型タイプが多いという調査結果の報告があります。

さらに筑波大学の調査では、秋田県・岩手県・鹿児島県・福岡県にはお酒に強い人が多く、三重県・愛知県・石川県・岐阜県にはお酒に弱い人が多いと報告されています。

これは縄文人と弥生人の混血や、大陸からの移民との混血による歴史を反映していると考えられています。

参考:飲酒と健康|J-STAGE(国立研究開発法人科学技術振興機構(JST))

3.お酒で顔が赤くなるのを防ぐ5つの方法

お酒の席で写真を撮る機会が増え、「お酒で顔が赤くなるのが恥ずかしい」と感じる方は少なくありません。

そこで本章では、お酒で顔が赤くなるのを防ぐ5つの方法について紹介します。

顔の赤みを気にせずに、お酒の席を楽しむための参考にしてください。

① 飲酒前・飲酒中に食事をとる

空腹状態でお酒を飲むと、アルコールが急速に吸収されるため、顔が赤くなりやすい傾向があります。

飲酒前に軽い食事をとることで、アルコールの吸収がおだやかになり、アセトアルデヒドの蓄積を防ぐことが期待できます。

さらに飲酒中もこまめに食事をとることで、フラッシング反応を軽減できる可能性があります。

おすすめの食材は、タンパク質や脂質を多く含む肉類、チーズ、ナッツ、豆腐や、食物繊維を多く含む枝豆、ごぼう、こんにゃく、きのこなどです。

お酒で顔が赤くなりやすい方や、不快感を得やすい方は、意識的にメニューを選ぶと良いでしょう。

② お酒を水と交互に飲む

お酒を飲む際に、適度に水をはさむことで、体内のアルコール濃度を薄め、アセトアルデヒドの蓄積を軽減できる可能性があります。

また、アルコールには利尿作用があり、脱水症状を引き起こす可能性があるため、意識的に水分補給しましょう。水と交互に飲むことで、体がアルコールを分解する時間を稼ぎ、顔の赤みを抑えることが期待できます。

お酒を飲む際は、「お酒を1杯飲んだら水を1杯飲む」といったルールを決めるのがおすすめです。

③ 飲酒量を制限する

飲酒量を制限することで、顔が赤くなるのを防ぐことが期待できます。

ALDH2が欠損型タイプの方は、少量の飲酒でもアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすいため、適切な量を守ることが重要です。飲み会の場でも無理をせず、自分に合ったペースを保つようにしましょう。

また、「今日は2杯まで」「食べ物やソフトドリンクをはさむ」など、具体的なルールをあらかじめ決めておくことがおすすめです。

お酒をすすめられた時に断りたい場合は、体質的に弱いことを伝えたり、車で来たと伝えたりすると、その場の雰囲気を壊さず上手に断れます。

下記の関連記事では、お酒の上手な断り方について紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:『禁酒の効果とは?成功させるコツや禁酒が難しい人におすすめの減酒方法を紹介

④ サプリメントを飲む

近年、ALDH2の働きを補うサプリメントが販売されており、顔の赤み、頭痛、吐き気などを抑える効果が期待できます。

また、コンビニやドラッグストアで販売されている、肝臓の働きをサポートする栄養補助ドリンクも、アルコール分解に役立つとされています。

ただし、サプリメントや栄養補助ドリンクの効果は個人差があり、すべての人に効果が期待できるわけではありません。

慢性的に顔が赤くなる場合、「酒さ(赤ら顔)」の可能性も考えられます。アルコールやストレスなどがきっかけで赤ら顔になりやすいと考えられ、30代〜50代に多く、男性よりも女性の割合が多いとされています。

症状が進行すると、ほてりやヒリヒリ感が出やすく、ニキビや鼻瘤が形成され、日常生活に支障をきたすケースもあります。

アルコールなどの刺激物が原因になりやすいため、できるだけ控えるように気をつけましょう。

また、早めに医療機関や専門機関を受診し、適切な治療や対処法について相談することをおすすめします。

参考:酒さ(しゅさ)とは?赤ら顔の症状や原因、治療方法について|持田ヘルスケア株式会社

⑤ 生活習慣を見直す

適度な運動や栄養バランスの良い食事を心がけることで、消化器官の働きを高め、アルコール代謝のパフォーマンス向上が期待できます。

さらに、過度な飲酒を避け、休肝日を設けることで、肝臓への負担を軽減することが可能です。

また、ストレスや睡眠不足もアルコールの代謝に大きな影響を与えるため、適度な運動や趣味を楽しんだり、寝具を見直し睡眠の質を改善することも重要です。

健康的にお酒を楽しむために、規則正しい生活習慣を意識し、心身バランスを整えることを心がけましょう。

4.お酒を飲める体質かチェックする方法は?

自分がお酒を飲める体質かどうかチェックすることは、適度な飲酒量を守るために重要です。

そこで本章では、お酒を飲める体質かチェックする方法を紹介します。

お酒を飲んだ時の反応をチェックする

もっとも簡単な方法は、飲酒時の反応を確認することです。

飲酒後15分〜2時間程度で、血中アルコール濃度が高まるとされ、アルコールの作用を感じやすくなると考えられています。飲酒後に、「顔が赤くなるか?」「動悸、頭痛、吐き気などの不快な症状が出るか?」をチェックしましょう。

また、ALDH2の活性は遺伝によって決まるため、両親がお酒を飲んだ時の反応を参考にしても良いでしょう。

アルコールパッチテストを行う

アルコールパッチテストは、お酒を飲める体質かどうかを安全にチェックできる方法です。

70%のエタノールをしみ込ませたガーゼを上腕に7分間貼り、10分後に皮膚の赤みを確認します。この方法で90〜95%の精度でALDH2のタイプを判定できると言われています。

参考:アルコールパッチテストについて|明治大学
エタノールパッチテスト|e-ヘルスネット(厚生労働省)

アルコール体質の遺伝子検査を受ける

より詳しく自分の体質を知りたい方は、唾液や粘膜によるアルコール体質検査がおすすめです。
この検査では、お酒を飲める体質かどうかをチェックできるだけでなく、アルコール関連疾患のリスクについてもチェックできます。

検査は医療機関で受けることが可能ですが、最近ではインターネットで購入できる検査キットも利用可能です。検査キットを購入後、自分で口腔粘膜を採取し返送するだけで、検査結果が送られてきます。

関連記事:実際にアルコール体質検査キットを利用した弊社社員の体験談を、関連記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
【体験談】アルコール体質検査を体験|適切な飲酒量を把握して上手に付き合おう

5.お酒で顔が赤くなる人が気をつけたい健康リスク

お酒で顔が赤くなる人は、アルコールによる疾患リスクが高まるとされています。

そこで本記事では、お酒で顔が赤くなる人が注意したい2つの健康リスクについて解説します。

① がんのリスクが高い

お酒を飲んで顔が赤くなる方は、がんのリスクが高いことが研究により明らかになっています。

アルコールと、アルコール分解過程で生成されるアセトアルデヒドは、発がん性を持つ物質とされています。
とくに、お酒に弱いALDH2の欠損型タイプは、アセトアルデヒドの分解が遅いため、咽頭や食道の発がんリスクが高まると考えられています。

中でも食道がんは、高齢者や男性に多いとされ、進行すると肺や肝臓への転移の可能性が指摘されています。

お酒を飲んで顔が赤くなる方は、飲酒を少量にとどめ、定期的にアルコール体質検査や健康診断を行うなど、健康管理に十分注意することが大切です。

参考:アルコールとがん|e-ヘルスネット(厚生労働省)

② 急性アルコール中毒のリスクが高い

お酒で顔が赤くなる方は、急性アルコール中毒のリスクが高いと考えられています。
その理由に、アルコールの分解スピードが遅く、少量の飲酒でも血中アルコール濃度が急激に高まることが挙げられます。

嘔吐、動悸、頭痛などの症状があらわれ、重症化した場合、低体温、失禁、呼吸停止、昏睡など危険な状態になります。

お酒が強い・弱いにかかわらず、短時間での大量飲酒は危険な行為です。イッキ飲みや飲酒の無理強いは命に関わるため、しない、させないようにしましょう。

参考:急性アルコール中毒の怖さを知っていますか?イッキ飲みや無理強いは命にかかわることも!|政府広報オンライン

6.まとめ|お酒で顔が赤くなる人は無理をせず飲酒量の調節を!

本記事では、お酒を飲んで顔が赤くなる原因や、赤くなるのを防ぐ方法、お酒を飲める体質かどうか確認する方法、健康リスクについて解説しました。

お酒を飲んで顔が赤くなる人は、ALDH2の働きが弱いことが原因です。
お酒の席では「飲酒中に水をはさむ」「食事をとる」などの工夫を取り入れ、体の負担を減らしましょう。

自分の体質を詳しく知りたい方は、アルコールパッチテストやアルコール体質検査がおすすめです。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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