飲酒後に運転できるのは6時間後?8時間後?飲酒運転をしないために

日頃から車を運転する人にとって「飲酒後、運転できるのは何時間後?」と疑問を持つことは、安全運転を守るために重要です。アルコール分解のスピードは個人差があり、6〜8時間経ったから(一度睡眠をとったから)といって安全とは限りません。

万が一、違反すれば免許停止や罰金だけでなく、刑事責任を問われる可能性もあります。一瞬の気のゆるみが、自分や他人の人生を大きく狂わせてしまうかもしれません。

本記事では、飲酒後に運転できる時間の目安や罰則内容、実際の逮捕事例などを紹介し、安全運転の重要性について解説します。飲酒の機会が多い方や車両をよく運転する方は、飲酒運転を防ぐ知識を確認してください。

1.アルコール摂取後から何時間で運転できる?

アルコール分解のスピードは個人差があり、飲酒量や種類によって目安時間が変化します。

飲酒後に、自分の体が何時間でアルコール分解できるか知りたい方は、福岡県警の公式ページからアルコールが消失するまでの目安の時間を計算できるので、チェックしてみてください。

参考:セルフチェック(アルコール摂取量と処理時間)|福岡県警察

 

加えて、実際にパイ・アールではお酒を飲んだ後、時間を刻みながらアルコールチェッカーでアルコールが抜ける時間を測定する実験を行いました。

飲酒時の体感と実際の数値にギャップがあり、興味深い結果になりました。アルコールが抜ける時間について気になる方は、下記関連記事を確認してください。

関連記事:『【実験】飲酒後どのくらいの時間でアルコールが抜ける?アルコールチェッカーを用いて測定

なお、アルコールの分解時間は、簡易計算で判定可能です。簡易計算を用いた場合、「1時間で分解可能な純アルコール量の目安」は、体重60gの人で約5gです。

毎朝の通勤や、仕事で運転する方にとって、前夜に飲んだアルコールが抜けたかは心配になるポイントです。

では、飲酒後6時間と8時間に仮定した場合、運転可能なアルコールの摂取目安量はどれくらいでしょうか?次の章で詳しく解説します。

飲酒から6時間後に運転できる推定のアルコール量は?

体重60kgの人が、飲酒後6時間で運転する場合、摂取可能なアルコール量の推定目安は以下の通りです。

  • 日本酒(1合180ml):1.5合
  • 缶ビール(350ml):2本
  • 缶チューハイ(350ml):2本
  • 焼酎(1合180ml):1合
  • ワイン(1杯120ml):3杯
  • ウイスキー(シングル30ml):3杯

数値や飲酒量は、あくまでも推定目安です。アルコール分解能力は個人差があるため、運転前にアルコールチェッカーを用いて酒気帯び確認をするなど、十分注意してください。

飲酒から8時間後に運転できる推定のアルコール量は?

体重60kgの人が、飲酒後8時間で運転する場合、摂取可能なアルコール量の推定目安は以下の通りです。

  • 日本酒(1合180ml):2合
  • 缶ビール(350ml):3本
  • 缶チューハイ(350ml):2本
  • 焼酎(1合180ml):1合
  • ワイン(1杯120ml):4杯
  • ウイスキー(シングル30ml):5杯

数値や飲酒量は、あくまでも推定目安で個人差があります。体調によっては分解されていない可能性があるため、あきらかに体調に違和感がある場合は、車の運転を控えてください。

2.アルコールを少しでも早く抜く方法はある?

結論から言うと、アルコールを早く抜く方法はありません。

一般的に、「ビタミンを摂取すると良い」「水を飲むといい」と言われていますが、一時的に体調が改善するだけで、アルコールの分解速度には大きな影響を与えません。

アルコールを早く抜くことはできませんが、アルコール分解を遅らせない方法として、水分摂取がおすすめです。

アルコール分解には水分が必要ですが、アルコールには脱水作用があるため、アルコール分解が遅れる可能性があります。そのため、飲酒後は十分な水分をとり、安静に過ごしましょう。

一部では、サウナや入浴などで汗を流すと良いと言われますが、アルコール分解に必要な水分が足りず、脱水症状がひどくなる恐れがあります。

飲酒後はしっかり水分をとり、入浴はシャワーで済ませるなど、できるだけ体に負担をかけないように過ごしましょう。

関連記事:『アルコールが抜ける(分解)時間と計算方法|飲酒後の運転は何時間後から大丈夫?

3.飲酒運転をした場合の罰則

飲酒運転の罰則には、酔いの程度によって

  • ・「酒気帯び運転」
  • ・「酒酔い運転」

の2種類に分けられます。

本章では、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の罰則内容について解説します。

関連記事:『酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準や処分・罰則内容をわかりやすく解説

酒気帯び運転の罰則

酒気帯び運転は、「呼気中のアルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上含まれる状態で運転すること」を指します。

酒気帯び運転の違反者には以下のような罰則と行政処分が科されます。

酒気帯び運転の罰則と行政処分
呼気中アルコール濃度罰則違反点数行政処分
0.15mg/l以上
0.25mg/l未満
3年以下の懲役または50万円以下の罰金13点免許停止(停止期間90日)
0.25mg/l以上25点免許取消(欠格期間2年)

酒気帯び運転は、検出されるアルコール濃度によって、行政処分の内容が異なります。

酒酔い運転の罰則

酒酔い運転は、「呼気中アルコール濃度に関係なく、アルコールの影響で正常な運転ができない恐れがある状態」を指します。

そのため、呼気中アルコール濃度が処分対象の値に満たない場合でも、体質によっては酒酔い運転に該当することもあります。

酒酔い運転の罰則と行政処分の内容は以下のとおりです。

酒酔い運転の罰則と行政処分
呼気中アルコール濃度罰則違反点数行政処分
数値基準なし(正常な運転ができないおそれがある状態)5年以下の懲役または100万円以下の罰金35点免許取消(欠格期間3年)

酒酔い運転の方が重い罰則と行政処分が科されます。

さらに、「酒酔い運転」も「酒気帯び運転」も、物損事故や人身事故を起こした場合は、賠償責任が発生します。一般的に保険会社の補償として保険金がおりますが、契約内容や事故当時の状況次第では、全額自己負担になる可能性もあります。

また、罰則は運転者だけでなく、同乗者にまでおよびます。

4.飲酒運転は同乗者にも罰則がある

飲酒運転は、同乗者にも罰則が下されます。

また、運転者が「酒酔い運転」か「酒気帯び運転」かにより、罰則内容が異なります。

同乗者への罰則、行政処分の内容は以下のとおりです。

同乗者への罰則と行政処分
 呼気中アルコール濃度罰則違反点数行政処分
(運転者が)
酒気帯び運転
0.15mg/l以上
0.25mg/l未満
2年以下の懲役または30万円以下の罰金13点免許停止(停止期間90日
0.25mg/l以上25点免許取消(欠格期間2年)
(運転者が)
酒酔い運転
数値基準なし3年以下の懲役または50万円以下の罰金35点免許取消(欠格期間3年)

同乗者が罰則対象になる判断基準は「運転者の飲酒運転の事実を知っているかどうか」です。「自動車免許を持っていないから、同乗者も罪になると知らなかった」という言い訳は通用しません。

また、飲酒運転による物損事故や人身事故を起こした場合、事故の状況次第で同乗者にも損害賠償責任が発生します。

運転者は加入する保険から補償されますが、同乗者においては、運転者もしくは同乗者本人が加入している保険によって賠償額が大きく異なります。補償がない場合は、全額自己負担の可能性があることを覚えておきましょう。

関連記事:『飲酒運転の同乗者も罪に問われる?罰則対象になる基準や刑罰の内容・取り調べ時の対応を解説

5.飲酒運転で逮捕された事例

飲酒運転による悲惨な事故は、いまだに後を絶ちません。飲酒後は気が大きくなりやすいため、運転者、同乗者、お酒の提供者全員が「飲酒運転をしない!させない!」という強い意志を持つことが重要です。

飲酒運転の危険性を再確認するため、本章では、実際に逮捕者が出た飲酒運転の事例を紹介します。

【2024年10月】

「警察署から早く出て普通の生活に戻りたい」酒気帯び運転事件を身代わり出頭した疑いの男を逮捕 運転していた男も道交法違反の疑いで逮捕 広島

参考記事:Yahoo!ニュース

【2024年10月】

飲酒後、歩道でモペットを運転したとして、酒気帯び運転、無免許、通行区分の疑いで男を逮捕

参考記事:産経ニュース

【2024年11月】

電動キックボードを運転していた男の呼気から、基準値の5倍を超えるアルコールが検出され、酒気帯び運転で逮捕 福岡

参考記事:Yahoo!ニュース

【2024年11月】

知人男性が酒気帯び運転することを知りながら自転車を貸した疑いで書類送検

参考記事:日テレNEWS NNN

飲酒運転の事実を知りながら運転者に車両を提供した場合、車両提供罪で罰せられます。また、車だけでなく飲酒後の電動キックボードやモペット、自転車の運転も罰則対象です。

なお、モペットに関しては免許の取得が必須です。電動モビリティの交通ルールや罰則に関して、関連記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

関連記事:『モペット(フル電動自転車)が免許不要の対象ではない理由|特定小型原動機付自転車との違いを解説』 / 『飲酒した状態で電動キックボードに乗るのは交通違反|罰則や事故の事例を紹介

6.まとめ

本記事では、飲酒後6時間と8時間で運転できるアルコール量や、アルコールを早く抜く方法、飲酒運転の罰則内容、逮捕事例について解説しました。

飲酒運転は重大な犯罪であり、自分だけでなく他者の命も危険にさらします。アルコール分解のスピードには個人差があるため、少しでも不安がある場合は運転を控えてください。

また、運転前はアルコールチェッカーを用いて、アルコールが抜けているか確認しましょう。

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この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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