後悔しない商用車選びのポイント!人気車種5種類と運用時の注意点も紹介
商用車は、業務を効率的に進めるための重要なツールです。主に貨物・旅客輸送業界で使用されるトラック・バス・タクシーや、バンタイプの車両を指し、ヒト・モノを運びます。
商用車の導入は、購入もしくはリースが主ですが、導入の検討をする際に「どの車種を選べばいいのか」「運用時に注意すべきポイントは何か」と迷う方も多いのではないでしょうか。
用途や予算に応じて、最適な商用車を選択することで、後々の後悔や余計なコスト増を回避できる可能性があります。
そこで本記事では、商用車選びのポイントや、バンタイプで人気の5車種をピックアップして特徴を紹介します。
目次 / このページでわかること
1.商用車とは?営業車・社用車との違い
商用車、営業車、社用車は、いずれもビジネスや業務に利用される車両ですが、それぞれ異なる役割や特徴を持っています。
そこで本章では、商用車、営業車、社用車の定義や違いについて解説します。
商用車とは?
商用車とは、ビジネスや公務で、ヒト・モノを運ぶ車両全般を指します。
商用車の定義は法律で決まっておらず、一般的に「トラック、ダンプカー、バンなどの物資を運ぶ車両」を指す場合と、「ハイヤー、タクシー、営業車などの人の輸送や移動に使用される車両」を商用車と指す場合があります。
また、以下の車両も商用車に該当します。
【商用車に該当する車両】
救急車、消防車、警察車、護送車、採血車、図書館車、教習車、霊柩車、放送中継車、ミキサー車、コンベア車、レッカー車、家畜運搬車、冷蔵冷凍車、活魚運搬車、散水車、糞尿車、など
以上のとおり、商用車の定義は広いため「営業車」や「社用車」も商用車に含まれています。
営業車とは?
営業車は、道路交通法で「自動車運送事業者が事業に使用する車」と定義され、緑ナンバーの貨物トラック、バス、タクシーなどが該当します。
ただし、一般的には外回りなど、営業活動に使用する車両(白ナンバー)を営業車と呼ぶ場合が多いです。
社用車とは?
社用車とは、法人や個人事業主が業務を行うために所有する車両全般を指します。法律で明確に定義されていませんが、一般的に公務などで使用される車両は含みません。
使用用途は、主に営業などの外回りや、資料やサンプル商品などの輸送、社員や役員の送迎などです。
なお、訪問介護で使用される軽自動車や、掃除用品やウォーターサーバーの定期便配達に使用される軽バンも社用車に該当します。
2.人気が高い商用車(バン・軽バンタイプ)5選
商用車の中でもバンや軽バンタイプは、荷物の積みやすさや機動性が好評で、さまざまな業界・企業で人気があります。
そこで本章では、人気の高い商用車(バン・軽バンタイプ)5車種を紹介します。
スズキ:エブリイ
街中で見かけることが多い軽バンタイプの車両です。車体はコンパクトでありながら荷室が大きく、配送業、卸売業、建設業など幅広い職種で、商用車として使用されています。
また、走行性能や燃費が良く、維持コストが安く抑えられるため法人・個人事業主問わず人気が高いです。装備が異なる5つのタイプがあり、もっとも安いタイプで1,137,400円(メーカー希望小売価格(税込))から購入可能です。
車体寸法(全長×全幅×全高) | 3395×1457×1895(mm) |
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排気量 | 658cc |
WLTC燃費(※) | WLTC:13.1〜17.2km/L 市街地:11.1〜15.4km/L 郊外:13.8〜18.1km/L 高速:13.7〜17.7km/L |
乗車定員 | 4名 |
価格(税込) | メーカー希望小売価格:1,137,400円〜 |
※WLTC燃費とは、燃費や排気ガスを測定するための国際的な試験法で、走行環境に合わせた燃費の測定・比較が可能。
参考:エブリイ|スズキ
日産:キャラバン
キャラバンは、バンタイプの商用車の中でトップクラスの荷室の広さがあります。
グレードは43タイプあり、業務に適したボディ・駆動方式・エンジンなどを組み合わせれば、納得のいく商用車の導入が可能です。
車体寸法(全長×全幅×全高) | 5230×1880×2285(mm) |
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排気量 | 1998〜2488cc |
WLTC燃費 | WLTC:7.9〜11.3km/L 市街地:5.9〜9km/L 郊外:7.6〜11.4km/L 高速:8.6〜12.7km/L |
乗車定員 | 3〜9名 |
価格(税込) | メーカー希望小売価格:2,580,600円〜 |
参考:キャラバン|日産
トヨタ:プロボックス
8つのグレードがあり、外回り業務が多い事業者に人気が高いです。
公式サイトでも小型商用バンとして紹介され、エコドライブを目指す企業ではハイブリッド車の導入が増えています。ガソリン車との価格差が12万円と比較的小さく、導入しやすい点が積極的な導入理由のひとつと見られます。
車体寸法(全長×全幅×全高) | 4245×1690×1530(mm) |
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排気量 | 1298〜1496cc |
WLTC燃費 | WLTC:14.6〜22.6km/L 市街地:10.7〜22km/L 郊外:15.6〜23.7km/L 高速:16.5〜22.3km/L |
乗車定員 | 2〜5名 |
価格(税込) | メーカー希望小売価格:1,529,000円〜 |
参考:プロボックス|トヨタ
トヨタ:ハイエースバン
大型商用バンで荷室が圧倒的に広く、標準タイプでも荷室長は3mにおよびます。
現行モデルはすべてAT車に仕様変更されています。これによりスムーズで静かな加速や燃費の向上が改善され、維持コストを抑えることが可能です。
ハイエースは海外でも人気が高く、近年は盗難被害が多発しているため、盗難防止セキュリティの搭載や事業所での適切な車両管理が重要です。
車体寸法(全長×全幅×全高) | 5380×1880×2285(mm) |
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排気量 | 1998〜2982cc |
WLTC燃費 | WLTC:6.2〜12.5km/L 市街地:6.2〜9.7km/L 郊外:8.4〜14.2km/L 高速:9.1〜14.2km/L |
乗車定員 | 2〜9名 |
価格(税込) | メーカー希望小売価格:2,439,500円〜 |
参考:ハイエースバン|トヨタ
ダイハツ:ハイゼットカーゴ
スズキのエブリイと同様に、人気が高い軽バンタイプの商用車です。7つのグレードがあり、荷室後部にスロープがついた福祉車両も販売されています。
荷室の地上高が低く、荷物の積み下ろしがしやすい点が、配送業などの物資の運搬を行う事業者から高い評価を受けています。
また、燃費が良いためガソリン代を節約でき、税金や保険料も抑えられるのがうれしいポイントです。
車体寸法(全長×全幅×全高) | 3395×1457×1890(mm) |
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排気量 | 658cc |
WLTC燃費 | WLTC:14.7〜15.6km/L 市街地:13.1〜14.2km/L 郊外:15.7〜16.7km/L 高速:14.7〜15.6km/L |
乗車定員 | 2〜4名 |
価格(税込) | メーカー希望小売価格:1,100,000円〜 |
事業内容に合わせて適切な商用車を選んだり、カスタムを行ったりすることで、長期的に見てコストを安く抑えることが可能です。
また、複数の商用車の導入を考えている法人や団体の場合、車両保険や車両点検といった車両管理を行う責任者の選任も必要です。
関連記事では、商用車の導入にあたって法人や団体が必要な対応を紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
3.後悔しない商用車選びのポイント6つ
商用車選びは業務の効率化や車両管理に大きく影響します。また法令遵守の徹底や、安全安心な運行をするためには、利用目的、予算、管理体制に合わせた商用車選びが重要です。
そこで本章では、後悔しない商用車選びのための6つのポイントを紹介します。
① 利用目的
商用車の利用目的は「荷物の運搬」か「人の移動」の2つに大きく分かれます。
配送業や運輸業には荷物が多く積めるバンタイプ、営業活動メインの事業者には機動力のあるコンパクトカー、建設業には軽トラや大型トラックが向いています。
同じ業種でも事業者によって細かい作業内容は異なるため、商用車の導入前に、社員へのヒアリングや業務内容の洗い出しを行うことも重要です。
② 乗車定員
配送業や営業など1〜2名で業務を行う場合は、コンパクトカーや軽バンタイプの商用車がおすすめです。
現場へチームで移動することが多い場合、キャラバンやハイエースなど、乗車定員が多い商用車がおすすめです。
法令遵守を徹底するために業務に必要な乗車定員を把握し、適切な商用車を選びましょう。
③ 荷物スペース
商用車にはバンタイプやトラックなど、荷物の積載量が異なる車種があります。同じ運送業でも普段運搬する荷物のサイズや、業務内容に合わせて商用車を選ぶことが重要です。
また、荷室の広さだけでなく、荷物の出し入れのしやすさやドアの形状も確認しましょう。加えて、必要であれば固定装置やカバーなど、オプションの追加も検討しましょう。
④ 車のサイズ
車のサイズは、走行する地域、車庫、訪問先のスペースに大きく影響します。
都市部で使用する場合、小回りの効く軽バンタイプやコンパクトカーがおすすめです。郊外や高速道路を頻繁に走行する場合は、サイズが大きく安定感がある商用車が適しています。
また営業職の場合、運転席の収納スペースが充実していたり、記録作業などのちょっとした作業ができたりする十分な空間がある商用車がおすすめです。
⑤ 価格
コストを抑えた商用車の導入には、本体価格だけでなく、税金、保険料、点検整備費用などのランニングコストを考慮する必要があります。
新車だけでなく中古車の購入や、リース車やカーシェアサービスの活用も選択肢に入れることで、コストを抑えることが可能です。
⑥ 燃費
商用車は自家用車に比べて走行距離が長く、燃費の良い商用車を選ぶことでコストを抑えられます。
また、経営方針として環境に配慮したエコドライブを掲げている企業もあるでしょう。
この場合、脱炭素化を目指した電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池自動車などエコカーの導入もおすすめです。
4.商用車を運用する際の注意点
商用車を運用する際は、法規制の遵守や事故防止のために、さまざまな注意点をカバーする必要があります。
また、適切な車両管理を行うことでリスクを最小限に抑えられ、企業の社会的信頼を築くことができます。
そこで本章では、商用車の運用において見逃せない5つの注意点について解説します。
① 就業規則を徹底する
商用車を導入する場合、就業規則の徹底が重要です。たとえば訪問が多い営業職の場合、社員の私的利用の可否を決める必要があります。
仮に、通勤時などに事故や交通違反が発生した場合、就業規則を厳しく定めていないと、責任の所在があいまいになり、最終的に企業側の責任が問われます。
そのため、一般的に商用車の私的利用を禁止する企業が多く、交通違反などの罰金に関しては社員負担のケースが多いです。また、ハイエースなどは盗難リスクを考慮して私的利用を禁止するケースもあります。
② 車両管理責任者を決めておく
車両管理責任者は、複数の商用車を導入する法人や団体に必要な役職です。
車両管理責任者の選任は義務ではありません。しかし、車両の点検、燃費記録の確認、保険や税金などの手続き、社員への安全運転教育を行うために欠かせない役割を担います。
適切な管理が行われることで、商用車の故障や事故のリスクを下げることができ、複数台の商用車の効率的な運用が可能になります。
③ 自動車保険に加入する
商用車を導入する場合は自動車保険の加入が義務づけられています。商用車の場合、法人向けの自動車保険があり、フリート契約とノンフリート契約の2種類が用意されています。
契約の種類は保有台数によって自動で切り替わり、9台以下はノンフリート契約、10台以上はフリート契約になり、それぞれ補償内容や保険料が異なります。
事故を起こした場合、保険料の割引制度も変化するため、定期的に保険内容を見直し、適切な自動車保険への加入が重要です。
さらに詳しい内容は関連記事で紹介しているので、参考にしてください。
④ 安全運転管理者を選任する
車両を一定台数保有する事業所において、安全運転管理者の選任は法律で定められています。以下のどちらかの条件に該当する事業所が対象です。
- 乗車定員が11人以上の車両を1台以上使用する事業所
- その他の車両を5台以上使用する事業所
※自動二輪車(原動機付自転車を除く)は1台を0.5台として計算
さらに、自動車を20台以上保有する企業は、20台ごとに1人ずつ副安全運転管理者の選任が必要です。
社員による飲酒運転の防止や、安全運転の徹底に必要な役職なので、商用車の導入時に忘れず選任しましょう。また、安全管理業務を怠った場合、罰則が科される可能性があるため、注意しましょう。
関連記事:『安全運転管理者制度の義務を怠った場合の罰則について解説!その背景は?』
なお、緑ナンバー車両を保有する事業所については、道路運送法および貨物自動車運送事業法に基づき、運行管理者の選任が必要になります。
関連記事:『運行管理者とは|業務内容や必要資格、安全運転管理者との違いを紹介』
⑤ アルコールチェックを行う
道路交通法では、以下の条件に当てはまる企業はアルコールチェックが義務づけられています。
- 事業用ナンバー(緑ナンバー)の車両を保有する事業所
- 安全運転管理者の選任義務のある事業所
点呼時に運転手の酒気帯びの有無を、目視やアルコールチェッカーを用いて確認する必要があります。
クラウド管理が可能なアルコールチェッカーであれば、取得したデータが自動でクラウド上に送信され、管理や集計の手間が省けます。
また、顔認証機能がついたアルコールチェッカーは、なりすまし対策に効果的です。予算や管理者の希望に適したアルコールチェッカーの導入を検討しましょう。
5.まとめ|目的に合わせた商用車選びを
本記事では商用車の特徴や、社用車・営業車との違い、人気が高い商用車5車種、選び方のポイント、導入時の注意点について解説しました。
商用車選びで後悔しないためには、業務内容や予算に合わせて、最適な車両を選ぶことが重要です。また、燃費や維持コストも考慮することで、長期的なコスト削減を目指せます。
さらに車両の管理体制を整えることで、故障や事故のリスクを抑えられ、企業としての社会的信頼を築くことが可能です。
商用車の導入を考えている方は、本記事の内容を所属する企業に適した商用車選びの参考にしてください。