甘酒はアルコールありなしの2種類|飲酒運転にならないように注意するポイントを解説
甘酒は年末年始や祝い事の席で振る舞われる、日本の伝統的な飲み物です。
さらに栄養豊富なので、今では「飲む点滴」として、夏バテ対策や美容目的で広く親しまれています。
甘酒は乳酸菌飲料に近い味わいなので、アルコールが含まれているのか気になる方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、甘酒の法律上の食品分類や運転する際の注意点、飲酒運転をした場合の罰則について詳しく解説します。
目次 / このページでわかること
1.甘酒はアルコールのありなしの2種類
甘酒は使用される原材料によって、アルコールの「あり・なし」に分かれます。
「甘酒はアルコールを含まない」と聞いて安心して原材料を確認せずに飲んでしまうと、飲酒運転につながりかねません。
また「アルコールあり」の甘酒を多量に飲むと、一般的なお酒と同様に酔っぱらう可能性もあります。
健康や美容目的で日常的に飲む方や職業がドライバーの方、妊娠中の方は、本章の内容を参考に安全意識を高めていきましょう。
米麴から作られた甘酒はアルコールが含まれない
米麹や、米と米麹から作られた「米麹甘酒」は、アルコールが含まれないので、子どもや妊娠中の方、ドライバーの方でも安心して飲むことが可能です。
米麹甘酒は、製造工程で米麹を発酵させる際、米のデンプンがブドウ糖に、タンパク質がアミノ酸に変化します。そのため、砂糖なしで米本来の自然な甘さを楽しめるだけでなく、豊富な栄養素を補うことができます。
酒粕から作られた甘酒はアルコールが含まれる
酒粕から作られた「酒粕甘酒」は、少量のアルコールが含まれます。
日本酒の製造工程で圧搾された酒粕に、水と砂糖を加えて加熱したものを酒粕甘酒といい、原料の酒粕には「100gあたり約8%のアルコール」が含まれます。
ビールのアルコール度数が3〜6%なので「意外とアルコール度数が高い」と感じるかもしれません。しかし、製造時における加熱処理でアルコールが飛ばされており、市場に出回る酒粕甘酒の大半が、アルコール度数1.0%以下となっています。
「アルコール度数が低いなら、飲酒運転になりにくいのでは?」と疑問に思う方も多いです。
そこで次の章では、甘酒の食品分類や酒税法について詳しく解説します。
参考:山田酒造食品株式会社「よくいただくご質問」
2.甘酒を飲んでも飲酒運転にはなりにくい?
甘酒はアルコール度数が低いので、飲酒運転になる可能性は低いです。
日本の酒税法では「アルコール分1.0%以上」の飲料が「酒類」と分類されるため、「アルコール分1.0%以下」の甘酒は「清涼飲料水」に分類されます。
ただし、中にはアルコール分1.0%以上の度数が高い甘酒(酒類)や、甘酒に見た目が似ている白酒、にごり酒、どぶろくなども販売されているため、注意が必要です。甘酒を飲む際は、パッケージに記載されているアルコール度数や成分表を確認してから飲むようにしましょう。
他にも、運転をする際に甘酒を飲む場合の注意点がいくつかあります。日頃から運転する機会が多い方や、職業がドライバーの方は、次の章で解説する内容を参考にしてください。
参考:酒税法|e-Gov 法令検索「第2条 酒類の定義及び種類」
3.運転をする際に甘酒を飲む場合の3つの注意点
運転をする際に甘酒を飲む場合、注意点が3つあります。
「米麹甘酒」の場合、ノンアルコールなので飲酒運転になる心配はありません。気をつけたいのは「酒粕甘酒」を飲む場合です。
年末年始や祝い事の席では甘酒が出されることが多いので、うっかり飲酒運転にならないように、本章で紹介する内容を参考にしてください。
①アルコール度数が高い甘酒もある
市場に出回る甘酒はノンアルコール、もしくはアルコール度数1.0%以下(0.3%〜0.8%)が多いです。この場合、法律上は清涼飲料水扱いなので、運転前に飲んでも飲酒運転にはなりません。
ただし前述した通り、酒粕甘酒の中にはアルコール度数が1.0%以上の商品があります。この場合、法律では酒類に該当するため、運転前に飲むと飲酒運転になる可能性があるので注意しましょう。
②運転前に甘酒を飲み過ぎないようにする
清涼飲料水扱いの酒粕甘酒は、0.3%〜0.8%程度の微量のアルコールが含まれています。そのため、アルコール分解が苦手な体質の方や、健康状態が優れない方は、アルコールが体内に残りやすく、飲酒運転につながる可能性があります。
アルコール耐性が低い方や、飲酒時の健康状態に不安がある方は、「摂取しない」もしくは「飲み過ぎない」ように気をつけましょう。
③手作りの甘酒は度数が分からないので要注意
甘酒は手作りでも楽しむことができます。ただし材料に酒粕を使用している場合、市販の甘酒よりもアルコール度数が高い可能性があるので注意が必要です。また、初詣や祝いの席などで振る舞われる甘酒も、アルコール度数を確認できないため、運転する必要がある方は飲むのを控えた方が安全です。
せっかく楽しく過ごした時間を、飲酒運転による事故やトラブルで台無しにしないために、アルコール度数が確認できない甘酒は飲まないように心がけましょう。
4.飲酒運転をした場合の罰則は?
本章では、あらためて飲酒運転をしてしまった場合の罰則を確認しましょう。飲酒運転をした場合の罰則は、以下の通りです。
酒酔い運転 ※1 | 酒気帯び運転 | |
---|---|---|
罰則 |
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行政処分 |
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- ※1 「酒酔い」とはアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態をいう。
- ※2 前歴および累積点数がない場合。
- ※3 「欠格期間」とは運転免許の取消し処分を受けた者が、運転免許を再度取得することができない期間。
甘酒は飲酒に該当しませんが、原料に酒粕が使われている場合は微量なアルコールが含まれているので、アルコールの分解能力が低い方は、運転前の摂取を控えることをおすすめします。飲酒運転に対する取り締まりは、年々厳しくなっているので、安全意識を高めて運転するように心がけましょう。
参考:警察庁「飲酒運転には厳しい行政処分と罰則が!」
5.どうしても甘酒が飲みたい時は沸騰させる
健康維持や美容のために、日頃から甘酒を飲む方も多いです。「アルコール反応の心配もあるけど、どうしても甘酒が飲みたい」という時は、甘酒を沸騰させるのがおすすめです。
アルコールは78.3度で蒸発・揮発するので、家庭で甘酒を飲む際は「80度以上、3〜5分程度」を目安にお鍋で加熱することで、安心して楽しめます。電子レンジでもできますが、吹きこぼれやすいので注意しましょう。
「それでも少し心配」という方や、「加熱で栄養素を損ないたくない」という方は、原料に米麹や米が使われている甘酒を選びましょう。米麹甘酒はノンアルコールなので、妊娠中の方や小さい子どもでも安全に飲むことが可能です。
参考:辻調グループ「蒸留酒の製法」
6.まとめ|甘酒を飲む際は飲酒運転にならないように注意
本記事では、甘酒の種類や飲酒運転にならないための注意点について解説しました。
甘酒は、エネルギー代謝を助けるビタミンB群や、体力増進・安眠・筋肉強化を助けるアミノ酸など豊富な栄養が含まれています。そのため、暑い時期の熱中症対策にも活躍する万能ドリンクとして重宝されています。
ただし、酒粕甘酒にはアルコールが微量に含まれているので、運転する予定がある方は本記事で紹介した「甘酒を飲む際の注意点」を参考に、安全運転を心がけてください。