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酩酊とは?単純酩酊の酔い方6ステップと異常酩酊の罪について解説

みなさん酩酊(めいてい)という言葉を聞いたことはありますか?

アルコールによる酩酊とは簡単にいうと「多種多様な飲酒後に生じる急性の精神的および身体的中毒症状」のことを指します。「酩酊」とひとくくりに言ってもかなり危険な状態も含まれます。

本記事では以下の疑問を解説します。

  • 酩酊とはそもそも何か
  • 単純酩酊と異常酩酊の違いとは?
  • 酩酊状態なら刑事責任に問われない?

酔っている状態ごとに、酩酊のステップを解説します。
また、酔った際の罪についても言及するので、ぜひ最後までチェックしてください。

1.酩酊とは?

酩酊とは、アルコールやその他の薬物を摂取したことによって生じる、急性の中毒状態を指します。酩酊の中でも、「単純酩酊」と「異常酩酊」に分類されます。

また「異常酩酊」はさらに「複雑酩酊」と「病的酩酊」に分けられます。

次の章では単純酩酊の酔い方のステップを紹介し、その後、異常酩酊について解説します。

2.単純酩酊と酔い方のステップを紹介

この章では、単純酩酊とその酔い方のステップについて解説します。

「単純酩酊」とは飲酒量にほぼ比例して生じる普通の酔い方のことを指します。単純酩酊の中でもアルコール血中濃度に応じてステージが分けられ、全部で6ステージあります。

単純酩酊の中のステージとして、爽快期、ほろ酔い期、酩酊初期、酩酊極期、泥酔期、昏睡期の6ステージに分けられます。ステージごとの血中アルコール濃度と症状を下記の表にまとめました。

単純酩酊のステージごとの症状
ステージ血中アルコール濃度酒量症状
爽快期0.02~0.04%ビール中びん(~1本)
日本酒(~1合)
ウイスキー・シングル(~2杯)
陽気になる
皮膚が赤くなる
ほろ酔い期0.05~0.10%ビール中びん(1~2本)
日本酒(1~2合)
ウイスキー・シングル(3杯)
ほろ酔い気分
手の動きが活発になる
酩酊初期0.11~0.15%ビール中びん(3本)
日本酒(3合)
ウイスキー・ダブル(3杯)
気が大きくなる
立てばふらつく
酩酊極期0.16~0.30%ビール中びん(4~6本)
日本酒(4~6合)
ウイスキー・ダブル(5杯)
何度も同じことをしゃべる
千鳥足
泥酔期0.31~0.40%ビール中びん(7~10本)
日本酒(7合~1升)
ウイスキー・ボトル(1本)
意識がはっきりしない
立てない
昏睡期0.41%以上ビール中びん(10本超)
日本酒(1升超)
ウイスキー・ボトル(1本超)
揺り起こしても起きない
呼吸抑制から死亡に至ることも
引用:e-ヘルスネット(厚生労働省)「アルコール酩酊
公益社団法人アルコール健康医学協会「飲酒の基礎知識

3.2つの異常酩酊とは?

「異常酩酊」とはアルコール血中濃度に対応しないような、著しい興奮や幻覚などの精神症状を伴うような酔い方のことを指します。

異常酩酊の中でも「複雑酩酊」と「病的酩酊」の2種類に分類されますので、それぞれ解説します。

複雑酩酊

お酒を飲むとびっくりするくらいに人格が変わる人がいますよね?
いわゆる「酒癖がわるい」「酒乱」などと呼ばれるものがイメージに近いです。

酔いの強度や持続性が単純酩酊とは異なっており、飲酒によって激しく興奮してしまうことがあります。
このような激しい酔いの状態を「複雑酩酊」といいます。

病的酩酊

病的酩酊は、強い意識障害を伴う「もうろう型病的酩酊」と、アルコールの離脱症状の1つとして起こる「せん妄型病的酩酊」に分けられます。
お酒の量にかかわらず、普通では考えられないような異常な行動をとってしまうことが特徴です。

また複雑酩酊との違いは、あまり飲んでいないにもかかわらず強い酩酊が出現することも特徴の1つです。
アルコール量にかかわらず出現する可能性があるので「飲まない」ということが大事です。

病的酩酊の罪について

酔っぱらっていて何も覚えていない場合でも、刑事責任能力があるとなれば刑事責任に問われます。刑事責任能力の有無については、アルコール酩酊分類により被疑者の酔いの状態によって検討されます。アルコールの酩酊分類については前の章で紹介した、単純酩酊、異常酩酊(複雑酩酊・病的酩酊)に分けられます。

その中でも病的酩酊はあまり飲んでいないにもかかわらず、強い酩酊が出現することもあります。
事件のことを翌日には覚えていないという特徴があり、原則として刑事責任能力がないものと認定される場合もあります。

ただ複雑酩酊か病的酩酊であるかは、本人の主張ではなくて事件当時の言動から判断されます。

4.アルコールはどれくらいで分解される?

アルコール分解のメカニズムについて解説します。

アルコールは体内に吸収されると、約20%が胃で、残りの80%は小腸で吸収されます。この吸収されたアルコールは血流を通じて肝臓に運ばれ、そこで分解のプロセスが始まります。

1時間で分解できるアルコール量の目安は
「体重(㎏)×0.1=1時間で分解できるアルコール量(g)」
で求めることができます。

厚生労働省より「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」は、1日平均純アルコールで約20g程度とされています。

上記の計算式で計算した場合、節度ある適度な飲酒量(純アルコール約20g摂取)のアルコールを分解するためにかかる時間は体重50kgの人で約4時間程度です。

年齢や性別、体格など人によってアルコールの分解速度は異なりますが、アルコールが完全に分解されるまでに少量であったとしても思っている以上に時間を置く必要があります。

関連記事:『アルコールが抜ける(分解)時間と計算方法|飲酒後の運転は何時間後から大丈夫?

5.酒気帯び運転の基準値は呼気中アルコール濃度が0.15mg/L以上

酒気帯び運転の基準値は呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上です。また、呼気中アルコール濃度は血中濃度(%)をほぼ5倍にした数字だと言われています。

つまり血中アルコール濃度が0.03%の時点で、酒気帯び運転の基準値であるアルコール濃度0.15mg/Lは超えてしまいます。

たとえば、体重が60kgの人がアルコール度数5%のアルコールを350ml飲んだ場合、血中アルコール濃度は約0.04%となります。この時点で先ほど紹介した単純酩酊の爽快期にあたりますが、酒気帯び運転の基準値である呼気中アルコール濃度0.15mg/Lを超えてしまいます。

皆さんが少し酔ったかなと感じるくらいのアルコール量であったとしても、酒気帯び運転の基準値である0.15mg/Lはあっという間に超えてしまいます。
飲酒後は十分に時間を空けたうえで運転するようにしましょう。

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「血中アルコール濃度

6.まとめ:お酒はほどほどに楽しむことが大切

酩酊の種類、状態についてステップごとに解説し、異常酩酊の「病的酩酊」では罪に問われない可能性があることも紹介しました。

お酒を飲んでいるうちについつい飲み過ぎてしまうことは誰でもあると思います。しかし、思っている以上にアルコールを摂取した際の呼気中や血中のアルコール濃度は高くなっています。
またアルコールを分解するのにも必要以上に時間がかかります。

「このくらいの飲酒量だったら飲んだ後運転しても大丈夫だろう」
「前日結構飲んでしまったけど寝たら大丈夫だろう」
という甘い考えが飲酒運転につながることもあります。

運転前の飲酒はしない、翌日に運転する予定がある場合は飲む時間や量を考えるなど、お酒はほどほどに楽しむようにしましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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