企業がAIドラレコに乗り換える理由は?法人向けAIドラレコの選び方や費用相場|機能や5つのメリットを解説

物流業界では、事故防止や安全対策のためにドラレコの設置が推奨されており、近年、従来型のドライブレコーダーから、AIを活用した「AIドラレコ」へ乗り換える企業が増えています。
どちらもカメラやセンサーを活用して、運転中や停車中の様子を記録しますが、AIドラレコは業務負担の軽減にもつながるため、企業に高く評価されているのがその理由です。
そこで本記事では、AIドラレコの基本機能や選び方のポイント、費用相場、企業が従来型ドラレコからAIドラレコに切り替える理由を詳しく解説します。
目次 / この記事でわかること
1. 企業が AIドラレコに 乗り換える理由は?
従来型のドラレコは、2003年頃から緑ナンバーを中心に導入が広がり、AIドラレコは2018年頃から導入が進み始めました。
従来型のドラレコは、運転中の映像記録が主な役割でしたが、AIドラレコは、AI(人工知能)が急加速・急ブレーキなどを自動検知し、ドライバーに警告する機能が搭載されています
さらに、ドライバーの運転傾向を分析し、安全運転指導やヒヤリハットの共有も可能です。
このほか、クラウド連携によるデータの一元管理、ドライバーの自動判別によるなりすまし防止、事故発生時の状況分析など、多彩な機能が搭載されています。
こうした多機能かつ高精度なAIドラレコは、企業の安全管理や運行体制を支えるツールとして注目されており、従来型ドラレコからAIドラレコに乗り換える企業が増えています。
では、具体的に、導入するとどのような効果が得られるのでしょうか。
次の章では、企業・法人がAIドラレコの導入で得られる5つのメリットを詳しく紹介します。
2. 企業・法人向け|AIドラレコを導入する5つのメリット
AIドラレコは、事故やトラブル時の映像記録にとどまらず、安全管理体制の強化、コスト削減、業務効率化などさまざまな面で効果を発揮します。
本章では、企業・法人が、AIドラレコを導入する5つのメリットについて詳しく紹介します。
2-1 事故防止・安全運転支援に活用できる
AIドラレコは、脇見運転や居眠り運転、急加速、急ブレーキなど、ドライバーの危険運転や、ヒヤリハットの発生地点を自動検知し、リアルタイムで警告します。
検知可能な危険運転は機種によって異なりますが、以下のような場合は、自動音声やアラートで警告が出ます。
- 脇見運転、居眠り運転
- 急加速、急ブレーキ
- 車間距離の詰めすぎ など
ドライバーは、その場で危険運転を改善できるため、事故防止に効果的です。
ヒヤリハットの発生を検知すると、管理者に映像とともに通知を行うAIドラレコもあり、管理者はその場でドライバーに適切な指示を行えます。
ヒヤリハットの発生時点で、ドライバーや車両の状況を把握することは、重大事故の予防につながります。
安全管理の徹底や運転技術の向上に取り組んでいる企業や、ヒヤリハット事例や防止策について理解を深めたい方は、以下の関連記事で詳しく紹介しています。あわせて参考にしてください。
2-2 事故発生時の証拠として活用できる
事故が発生した際は、記録された映像を証拠として活用でき、過失割合の判断をスムーズに行うことができます。
記録可能な項目は機種によって異なりますが、「前方映像のみ」「360°映像」「車内映像」や、「音声記録」が可能です。
停車中の状況を記録する「駐車監視機能」を搭載したAIドラレコもあるため、駐車中の社用車へのいたずらや、盗難対策にも有効です。
機種によっては、記録データがクラウドに自動保存されるため、故意によるデータの紛失を防止でき、トラブル時に迅速かつ的確な対応ができます。
2-3 安全運転教育に活用できる
AIドラレコは、収集したデータをもとにドライバーの運転評価を行うため、ドライバーの運転傾向の分析ができ、安全運転教育に活かせます。
運転評価の項目は、主に以下のとおりです。
- 急な挙動(急加速、急ブレーキ、急ハンドル)
- アイドリング時間
- 速度超過
- 走行距離
- 走行時間 など
具体的な運転データをもとに改善点を指摘でき、点数をもとにランキング化まで自動で行うAIドラレコもあるため、ドライバーの意識向上に役立ちます。
ただし、誤った評価が下される可能性があることや、ドライバーへの心理的負担になる可能性があるため、導入前に運用方法や運用目的を丁寧に説明し、導入への理解を得ることが大切です。
2-4 リアルタイムの走行管理ができる
企業・法人向けのAIドラレコには、リアルタイムで車両の位置や速度、運転状況を把握できる「走行管理システム」が搭載された機種があります。
管理者は遠隔地にいる場合でも、急なトラブルや事故発生時も迅速に対応でき、運行ルートの最適化やムダなアイドリングの削減など、業務効率の向上にも役立ちます。
リアルタイムの情報を活用することで、安全性の強化とコスト削減を同時に実現できる点が、企業にとって大きなメリットです。
2-5 車両管理業務の負担を軽減できる
AIドラレコは、点検記録や運行データを自動で収集・管理できるため、従来の手作業による報告書作成や記録管理の負担を大幅に軽減します。
クラウド上でデータを一元管理できるため、情報の共有や確認もスムーズです。
また、異常検知や警告機能により、トラブルの早期発見が可能となり、車両のメンテナンス計画も効率化されます。
管理者の車両管理業務の負担を軽減し、ヒューマンエラーの減少にもつながるため、企業・法人のコンプライアンス強化にも役立ちます。
3. AIドラレコとは?概要と基本機能
企業の安全管理の徹底や、業務の効率化で注目されているAIドラレコは、映像記録以外にも、さまざまな機能を備えています。
本章では、AIドラレコの概要や基本機能について詳しく解説します。
3-1 AIドラレコとは?
AIドラレコとは、カメラやセンサーで車両の状況を撮影・検知し、その映像やデータをAIが解析することで、事故防止や運転支援を可能にするドライブレコーダーのことです。
従来型のドラレコでは、運転状況を把握するには、運転終了後に映像や日報を確認するしか方法がありませんでした。
そのため、安全運転指導が後回しになりやすく、管理者にも大きな負担となっていました。
一方で、AIドラレコは、リアルタイムで危険運転を検知し、ドライバーへ即時に注意喚起できるため、安全運転をうながすことができます。
さらに、管理者はAIが収集・解析したデータをもとに、効率的に安全運転指導が行えるため、業務負担を減らしつつ、的確な安全運転指導が可能になります。
3-2 AIドラレコの基本機能
AIドラレコには、主に以下のような機能が搭載されています。
主な機能 | 機能の内容 |
---|---|
映像・音声記録 | 車両周辺や車内の高画質映像と音声を録画。録画された映像はクラウドに自動送信される。 |
危険運転検知 | 事故につながる挙動(脇見、居眠り、急加速、急ブレーキなど)をAIが自動検知し、ドライバーに警告、管理者には該当シーンの動画をメールなどで転送・通知する。 |
運転行動分析 | ドライバーの運転傾向を解析し、改善点を可視化したレポートを作成。全ドライバーの安全運転を点数化し、ランキングも作成可能。管理者は安全運転指導に活用できる。 |
クラウド連携 | 映像や運転データの一元管理と共有が可能。専用のスマホアプリと連携することで、いつでもどこでも確認可能。 |
ドライバー自動判別 | 顔認証で本人確認を行い、なりすましを防止する。 |
GPS機能 | 車両の位置情報をリアルタイムで確認可能。災害時や、荷主からの急な依頼があった場合、管理者はドライバーに効率的な走行ルートを指示できる。 |
運転日報・月報の自動作成 | 運行経路や走行時間、燃料費などをまとめた運転日報(月報)をAIが自動作成。管理者のチェックの手間やドライバーの業務負担を軽減できる。 |
搭載されている機能は、機種やプランによって異なるため、AIドラレコを選ぶ際は、事前にどのような機能が必要かを確認しましょう。
法人向けのAIドラレコの場合、オプションを追加することで、アルコールチェックや駐車監視機能なども利用できます。
近年、バンタイプの貨物車両を狙った盗難が増えているため、駐車監視機能は、万が一の事態に備える上で、有効な対策になります。
駐車監視機能の活用方法や導入するメリットについて、以下の関連記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
4. AIドラレコは大きく分けて2タイプ
AIドラレコは、大きく以下の2種類に分けられます。
- ・AIドラレコ専用型
- ・車両管理システム搭載型
どちらも危険運転の検知や事故防止に役立ちますが、搭載機能や管理方法が異なるため、導入目的や運用環境に合わせた選択が重要です。
そこで本章では、「専用型」と「車両管理システム搭載型」の機能の特徴や違いについて紹介します。
4-1 AIドラレコ専用型
危険運転の防止を目的としてAIドラレコを導入する場合、専用型がおすすめです。
AIが脇見運転や急ブレーキ、一時不停止などの危険行為を検知し、映像として保存します。
さらに、運転記録をもとにドライバーの運転傾向を分析し、安全運転指導に役立てることも可能です。
4-2 車両管理システム搭載型
車両管理システム搭載型は、専用型の機能に加え、車両の位置情報や稼働状況を一元管理できるタイプです。
GPSにより車両の位置情報が把握でき、日報・月報の自動生成機能を備えたモデルであれば、業務の効率化にもつながります。
また、運行管理システムと連動し、配送計画の最適化や燃費管理、アイドリングの削減など、コスト削減や業務効率化に役立ちます。
複数車両を運用する企業にとって、リアルタイムでの稼働把握やトラブル時の迅速対応が可能になる点が大きなメリットです。
5. 【価格】AIドラレコの費用相場
法人・企業向けのAIドラレコの費用相場は、製品の機能や導入規模によって価格差がありますが、以下のような価格帯が目安です。
項目 | 金額相場 | 補足 |
---|---|---|
本体価格 | 3万円〜10万円程度 | カメラ・センサー・AIの性能による |
クラウド利用料 | 月額500円〜2,000円程度 | 映像やデータの保存・管理にかかる費用 |
導入サポート費用 | 5万円〜20万円程度 | 設置・設定支援、研修など |
高性能なカメラやセンサー、AI解析機能が搭載されたモデルほど、本体価格が高額になります。
複数台を一括導入する場合は、割引が適用される場合もあるため、初期費用とランニングコストを事前に把握しておきましょう。
クラウド利用料はサービスごとに料金が異なるため、運用期間や管理対象のデータ種類、保存容量などを考慮し、予算とバランスが取れているかを確認することが大切です。
自社のニーズや予算に合ったAIドラレコを選び、長期的なコスト削減や、業務負担の軽減を目指しましょう。
6. 企業・法人向け|AIドラレコ選びの5つのポイント
企業・法人利用では、安全運転の推進だけでなく、業務効率化やコンプライアンス強化にも対応できるAIドラレコを選ぶことが重要です。
多機能で高性能なAIドラレコは価格が高くなる傾向にありますが、導入しても、機能を十分に活用できなければ、想定していた効果が得られない可能性があります。
そこで本章では、AIドラレコの機能を最大限に活用するために、AIドラレコ選びで押さえておきたい5つのポイントを解説します。
6-1 撮影範囲を確認する
AIドラレコの撮影範囲は製品によって異なり、前方のみ対応のモデルから、左右・後方や車内までカバーできる全方位型まであります。
法人利用では、事故の全容把握やトラブル時の証拠確保のため、可能な限り広い範囲を記録できるAIドラレコがおすすめです。
用途に応じて最適な画角・カメラ数を選びましょう。
6-2 AIによる検知機能を確認する
AIドラレコは、脇見運転や車間距離不足、急加速や急減速などをリアルタイムに検知し、ドライバーへ警告します。
製品によっては、管理者へメール通知を行い、危険箇所の映像を自動でクリップして、スマホから確認できるAIドラレコもあります。
機種によって検知できる項目や精度が異なるため、自社で特に防ぎたい事故パターンに対応しているか確認が必要です。
6-3 データの記録方法を確認する
録画データはSDカード保存型、クラウド保存型、または併用型があります。
SDカード型はコストが低い一方、回収や管理の手間がかかります。
クラウド型はリアルタイムでの確認や遠隔管理が可能ですが、月額費用が発生するため、運用体制や管理方法にあわせて、自社に適したAIドラレコを選びましょう。
6-4 車両管理・走行管理機能の有無を確認する
法人向けモデルには、GPSによる位置情報管理や走行履歴の記録、燃費分析など車両管理機能を備えたものがあります。
配車効率の向上や燃料コスト削減に役立ち、管理者の業務負担を軽減できます。
安全管理と業務効率化を両立させたい場合は必須のチェックポイントです。
さらに、車両の運行状況とあわせてドライバーの酒気帯び有無も一元管理したい場合は、アルコールチェッカーと連携できるAIドラレコを組み合わせるのもおすすめです。
運転前後のチェック結果を自動で記録できるため、管理者の手間を減らしながら安全対策を強化できます。
6-5 サポート体制を確認する
AIドラレコを選ぶ際は、導入後のサポート体制も確認しましょう。
メーカーによって「製品の保証期間」「機器の故障対応」「事故時の補償サービス」「SDカード保証」「運用相談」など、サポート内容が異なります。
また、電話やメールでの問い合わせ受付時間、土日祝の対応可否、専用アプリの更新頻度なども事前に確認しておきましょう。
メーカー公式サイトで提供されるマニュアルやFAQ、トラブルシューティング情報などの充実度も、長期運用を安心して続けるための大切な判断材料となります。
AIドラレコの機能を最大限に活用できるように、事前に性能やサポート内容をしっかり確認して、導入を行いましょう。
7. まとめ|AIドラレコの導入で安全管理を徹底しよう
本記事では、企業がAIドラレコを導入する背景やメリット、基本機能や選び方のポイント、費用相場について詳しく解説しました。
AIドラレコは、映像を記録するだけでなく、危険運転の自動検知や運転傾向の分析など、従来型ドラレコにはない高度な機能を備えています。
車両管理システム搭載型であれば、運転日報の自動作成や、リアルタイムでの位置情報の把握なども行えるため、業務の効率化にも役立ちます。
自社が解決したい課題に適したAIドラレコを導入し、ドライバーや管理者が安心して働ける車両管理体制をつくりましょう。