ドラレコの「駐車監視機能」は必要?車両管理への活用方法や選び方のポイントを解説

駐車中の当て逃げや車上荒らしといったトラブルは、発見が遅れたり証拠が残っていなかったりする場合が多く、ドライバーにとっては、大きな不安要素のひとつです。
このような不安を解消する手段として注目されているのが、エンジンを切った状態でも、車両周辺を録画できるドラレコの「駐車監視機能」です。
近年は、自家用車だけでなく社用車にも「駐車監視機能」が搭載されたドラレコを装着するケースが増えています。
そこで本記事では、駐車監視機能の仕組みやメリット・デメリット、選び方のポイントや法人での車両管理にどう活用できるのかについて詳しく解説します。
目次 / この記事でわかること
1. ドラレコの駐車監視機能(パーキングモード)とは?
ドラレコの駐車監視機能(パーキングモード)とは、車のエンジンを切った状態でも映像を記録できる機能です。
ドライブ中だけでなく、駐車中の当て逃げや車上荒らし、いたずらなどを記録できるため、トラブル発生時の証拠として役立ちます。
録画方式や電源供給方法には、それぞれ3タイプあり、ドラレコごとに性能が異なります。
近年、車の盗難被害が多発しており、防犯性を高めたい方や車を長時間駐車する機会が多い方には、特におすすめの機能です。
SUVや高級車、貨物自動車が狙われやすい傾向があるため、万全な防犯対策を行いましょう。
以下の関連記事では、盗難防止対策や被害現状について詳しくまとめていますので、あわせて参考にしてください。
関連記事:
『車の盗難防止対策5選|盗まれた時の対応方法と対策グッズも5つ紹介』
『【2024年最新】都道府県別の自動車盗難件数と効果的な防止策』
2. 駐車監視機能付きドラレコの録画方式は3タイプ
駐車監視機能付きのドラレコには、以下の3つの録画方式があります。
- ・動体検知録画
- ・衝撃検知録画
- ・常時録画
それぞれ録画されるタイミングや録画時間が異なるため、使用環境に応じて選ぶことで、コストを抑えられ、バッテリー上がりの心配もありません。
「ムダな録画を省いてバッテリーを節約したい」「駐車中のわずかな異変も見逃したくない」という方は、本章で解説する3タイプの特徴を把握して、最適なドラレコを選びましょう。
2-1 動体検知録画(モーションセンサー録画)
動体検知録画は、カメラの前を人や車などの動くものが通過したときに録画を開始する仕組みです。
映像に変化があった瞬間のみ録画するため、バッテリーやメモリのムダ使いを抑えられるのが特徴です。
夜間や光量が少ない環境でも検知でき、鮮明な映像を残せますが、動くものすべてに反応するため、人や車の往来が多い場所での使用には向いていません。
2-2 衝撃検知録画(Gセンサー録画)
衝撃検知録画は、ドラレコに内蔵されたGセンサーが車体の揺れや衝撃を感知すると、自動で録画を開始する仕組みです。
駐車中の当て逃げやドアパンチ、いたずらなどによる物理的な衝撃を記録でき、トラブル時の証拠として役立ちます。
振動を検知したときのみ作動するため、不要な録画を避けやすい点もメリットです。
センサーの感度を自分で調整できる機種は多いものの、機種によっては感度を最大に設定しても、ドアに軽く接触した程度では反応しないケースもあります。
2-3 常時録画
常時録画は、エンジンを切った後も指定した時間またはバッテリー残量に応じて常に録画を続ける録画方式です。
機種によっては24時間365日、常に映像を記録できるため、動体や衝撃を検知し損ねた場合でも記録を残せます。
ただし、電力消費量が多くバッテリー上がりのリスクがあるため、外部バッテリーや電圧監視機能との併用が推奨されています。
3. 駐車監視機能付きドラレコのバッテリーは3タイプ
特に常時録画の場合、エンジン停止中も録画を行うため、どのバッテリーを使用するかで録画可能時間や車両への負荷が大きく異なります。
バッテリーには、以下の3タイプがあるため、本章ではそれぞれの特徴や適した使い方について解説します。
- ・内蔵バッテリー
- ・外部バッテリー
- ・車両バッテリー
3-1 内蔵バッテリー
ドラレコ本体に搭載された内蔵バッテリーは、運転中に充電を行い、エンジン停止時に、充電された電力を利用して録画を開始します。
追加部品や配線工事が不要なため、手軽に使えるのが魅力ですが、録画時間は30分程度と限られており、長時間の駐車監視には不向きです。
そのため、短時間の駐車監視に適しています。
3-2 外部バッテリー(専用モバイルバッテリー)
外部バッテリーは、ドラレコ専用の補助電源として設置するバッテリーで、専用のモバイルバッテリーが別途必要です。
エンジン停止中でも数時間〜数十時間の録画が可能で、長時間の駐車監視が必要な場合や、車両バッテリーに負担をかけたくない場合におすすめです。
ただし、取り付けには工事代や部品代がかかり、設置スペースも必要になるため、比較的コストが高くなりやすい傾向があります。
3-3 車両バッテリー
車両バッテリーを利用するタイプでは、エンジン停止後に車のバッテリーから電力を供給して録画を続けます。
配線をとおしてドラレコと接続することで、長時間の録画が可能になりますが、バッテリー上がりのリスクがあるため、使い方には注意が必要です。
機種によっては、電圧監視機能やタイマー機能付きのドラレコがあるため、予算と見合った機種を選びましょう。
バッテリー上がりを回避したい方は、外部バッテリー(専用モバイルバッテリー)と併用できるドラレコを利用したり、スマホをドラレコ代わりに使用する方法があります。
4. ドラレコの駐車監視の3つのメリット
ドラレコの駐車監視機能は、駐車中に発生したトラブルや、犯罪の記録・抑止に効果的です。
防犯カメラの代用としても活用できるほか、映像の見直しによって運転技術の改善にもつながるなど、さまざまな面でメリットがあります。
そこで本章では、駐車監視機能がもたらす3つのメリットについて詳しく紹介します。
4-1 防犯カメラの代わりになる
駐車監視機能は、簡易的な防犯カメラとしても活用できます。
自宅の駐車場や月極駐車場など、防犯対策が不十分な場所でも、トラブルの証拠を残せる点がメリットです。
映像をスマートフォンで確認できるドラレコもあるため、トラブル発生時に素早く状況把握ができます。
4-2 トラブルの責任の所在を明確化できる
たとえば、「隣の車との接触」「無断駐車」「バイクや自転車による接触」など、第三者とのトラブルでも、映像が残ることで責任の所在が明確化できるため、揉め事の回避や、早期解決につながります。
また、カラスにワイパーを外されたり、猫に車体を傷つけられたりするなど、動物による想定外の被害でも映像を確認できるため、原因不明の傷や破損への対応に役立ちます。
4-3 犯罪の抑止力になる
ドラレコの存在そのものが、当て逃げや車上荒らし、いたずらといった犯罪行為の抑止力になります。
特に駐車監視中は、LEDランプの点灯などで作動をアピールできるため、不審者への心理的な警告にもなります。
証拠映像が残ると分かれば、犯行に及ぶリスクを避けようとする傾向が強まるため、人通りの少ない駐車場や、街頭のない駐車場を利用する方におすすめです。
ドラレコ映像の再生方法については、下記の関連記事で詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。
5. ドラレコの駐車監視の3つのデメリット
ドラレコの駐車監視機能は、メリットが多いものの、いくつかのデメリットも存在します。
特に以下の3つの懸念点は、導入コストや効果的な運用に直結するため、設置前に把握しておくことが重要です。
- ・バッテリー上がりのリスク
- ・確実な証拠を残せない可能性がある
- ・メモリ容量を大きく消費する
そこで本章では、それぞれの注意点を詳しく解説するとともに、効果的な運用について紹介します。
5-1 バッテリー上がりのリスクがある
駐車中も録画を継続するため、車両バッテリーを使用する場合、長時間の使用でバッテリー上がりを招くおそれがあります。
また、バッテリーの充電と放電の回数が増えることで、劣化が早まる可能性があります。
万が一の事態に備えて、内蔵バッテリーや外部バッテリーを活用して、車両バッテリーへの負担を軽減する方法も検討しましょう。
5-2 確実な証拠を録画できない可能性がある
衝撃検知録画や動体検知録画の場合、検知後に撮影開始されるため、検知前の記録を残すことができません。
「遠くから物や石を投げられた」などのいたずら被害を受けた場合、犯人の顔や、相手の車のナンバーをとらえられない可能性があります。
また、必ずしもセンサーが反応するわけではないため、重要な証拠が録画されていないケースもあります。
センサーの感度設定やカメラの画角によっても録画状況が左右されるため、撮り逃しを防ぎたい方は、常時録画のドラレコや、センサーの感度を調節できるドラレコがおすすめです。
5-3 メモリの容量が大きい
常時録画の場合、映像データが膨大になり、SDカードの容量を圧迫します。
容量不足になると、自動で古いデータから上書きされる機種もあるため、大容量のSDカードの用意が必要です。
また、高画質のドラレコも容量が増えやすくなるため、画質を落としたり、定期的に初期化を行って、メモリの圧迫を抑えましょう。
6. 駐車監視機能付きドラレコの選び方のポイント
駐車監視機能付きのドラレコは、主に以下の5つの性能次第で、使い勝手が大きく異なります。
- ・録画方式
- ・バッテリーの種類
- ・画質
- ・撮影範囲
- ・記録機能
目的や使用環境に適したドラレコを選ぶことで、より安心・安全な運用が可能になるため、本章では、ドラレコ選びで押さえておきたい5つのポイントを詳しく解説します。
6-1 録画方式で選ぶ
前述したように、駐車監視の録画方式には「常時録画」「動体検知録画」「衝撃検知録画」の3つのタイプがあります。
録画を始めるきっかけが異なるため、「重要な場面だけを録画したいのか」「駐車中のすべての映像を残したいのか」で、適した録画方式が異なります。
防犯カメラ代わりに使いたいなら常時録画、犯罪防止をメインに考えるのならば動体検知録画、当て逃げ対策なら衝撃検知録画がおすすめです。
6-2 バッテリーの種類で選ぶ
車両バッテリーを使うドラレコの場合、バッテリーの劣化が早まるため、負担をかけたくない方は、内蔵バッテリーや外部バッテリーを使うドラレコがおすすめです。
内蔵バッテリーを使う場合は、ドラレコの設置が簡単ですが、長時間の録画には不向きです。
外部バッテリーは、内部バッテリーよりも、長時間録画に対応していますが、バッテリー本体の購入費用や、配線工事費用がかかります。
車載バッテリーを使う場合は、電圧監視機能付きドラレコを選ぶことで、電圧が低下した際に自動的に給電が停止するため、バッテリー上がりを防止できます。
目的と使用環境、録画方式次第で、適したバッテリータイプが異なるため、事前に、外せない条件を洗い出しておきましょう。
6-3 画質で選ぶ
ドラレコの画質は、フルHD(200万画素以上)であれば、ナンバープレートも鮮明に記録でき、コストパフォーマンスにも優れています。
HDRやWDR対応モデルなら、暗所や逆光でも見やすい映像が撮影可能で、信号機の色を正確に記録できる機能もあるとより安心です。
ただし、画質が上がるとデータ量も増えるため、録画映像をできるだけ長く残しておきたい方は、大容量メモリの購入がおすすめです。
6-4 撮影範囲の広さで選ぶ
ドラレコの撮影範囲は「前方のみ」「前方と後方」「360°」の3タイプがあります。
駐車中の死角を減らしたい場合や、煽り運転や後方からの追突対策には、「前方と後方」または「360°」のタイプがおすすめです。
画角には、「対角画角」「水平画角」「垂直画角」があり、基本的に110°以上の水平画角があれば、十分な撮影画角を確保できます。
6-5 記録機能で選ぶ
録画映像の保存形式や操作性も事前に確認しておきましょう。
自動上書き機能やイベント記録、スマートフォン連携などがあれば、データ管理がスムーズに行えます。
また、事業者の向けのドラレコの場合、GPSが搭載されているタイプが多く、走行日時や位置情報、急加速・急ブレーキなどの詳細情報を自動記録できる機能もあります。
ドラレコは、企業における車両管理にも役立つため、さまざまな場面で活用可能です。
そこで次の章では、車両管理におすすめしたいドラレコの活用方法について、詳しく解説します。
自社の業務フローや、車両管理に適したドラレコ選びの参考にしてください。
7. 車両管理におすすめしたいドラレコの活用法
ドラレコは、映像の記録にとどまらず、社用車管理や業務改善にも大きく役立ちます。
そこで本章では、企業の車両管理業務で、ドラレコを効果的に活用する方法を4つ紹介します。
7-1 事故発生時の状況証拠として活用
事故が起きた際に、映像データを活用することで、過失割合の判断や保険対応がスムーズになります。
証拠としての信頼性が高いため、不当な言いがかりや、法的トラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。
7-2 危険運転の早期発見に活用
ドラレコ映像に記録された、ドライバーの急ブレーキや車線変更などを確認することで、運転傾向を早期に把握できます。
安全運転指導に活用することで、安全運転の意識向上や事故の未然防止にも効果的です。
国土交通省では、「ドライブレコーダーの映像を活用した指導・監督マニュアル」という資料を事業者向けに公表しているため、あわせて参考にしてください。
7-3 業務効率の改善に活用
GPS付きのドラレコは、走行管理にも活用可能です。
リアルタイムで車両の走行ルートや停車時間を確認でき、ムダな回り道や待機時間をカットできるため、ドライバーの過労運転のリスク低減や、業務効率の向上を図れます。
走行管理機能は、ドラレコ以外にも「デジタコ」「クラウド型の専用システム」「クラウド型アルコールチェックシステム」などで利用できるケースもあるため、自社の予算に適した運用方法を探しましょう。
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7-4 コスト削減に活用
GPS機能がついたドラレコでは、営業中に効率的なルート指示が迅速にでき、普段の走行ルートの見直しもできるため、燃料費の削減が可能です。
また、安全運転教育により、事故の抑止や安全運転が促進され、結果的に保険料の割引や修理費用の削減といったコスト削減も見込めます。
長期的に見ると大幅なコスト削減が可能なため、ドラレコの導入費用も考慮しつつ、自社に適したドラレコを選びましょう。
8. まとめ|ドラレコの駐車監視機能で大切な車を守ろう!
本記事では、駐車監視機能の仕組みやメリット・デメリット、選び方のポイントや法人での車両管理での活用方法について詳しく解説しました。
駐車監視機能付きのドラレコは、車を離れている間も常に目を光らせ、当て逃げやいたずら、盗難といったトラブルの抑止・証拠の確保に役立ちます。
個人利用はもちろん、社用車管理にも有効で、万が一の際にも迅速な対応が可能になります。
安全・安心なカーライフのために、駐車監視機能の導入をぜひ検討してみてください。