信号無視による罰金や違反点数は?支払い方法や取り締まりが多い交通違反を解説
信号無視の取り締まり件数は毎年数多く、死亡事故も発生するほど重大な事故につながるリスクが高いです。被害が深刻な事故を起こした場合、重い罰則や罰金は免れません。
信号には「進め」や「止まれ」だけでなく、各色に細かいルールが定められています。
分かっているつもりでも、意外とあいまいに認識している方も多いようです。
そこで本記事では、信号の各色のルールや、信号無視による罰金と違反点数、違反した際の罰金の支払い方法について解説します。信号のルールを再確認し、安全意識を高めていきましょう。
目次 / このページでわかること
1.信号無視とは?意外と誤解しがちな信号のルールをチェック
道路交通法第7条では「道路を通行する歩行者または車両等は、信号機の表示する信号または警察官等の手信号等に従わなければならない」と定められています。
すでに信号の各色の意味やルールを正しく把握している方も多いと思いますが、交通事故への危険意識を高めるとともに、意外と誤解しがちな信号のルールを再確認してください。
参考:道路交通法 第7条(信号機の信号等に従う義務)|e-Gov法令検索
赤信号のルール
「赤信号は止まる」と広く認識されていますが、停止位置や点滅時には細かいルールが決められています。
とくに交差点では、赤信号の無視が重大な事故を引き起こすリスクが高く、車だけでなく歩行者や自転車も周りの状況に気を配る必要があります。赤信号を守ることは交通安全の基本です。赤信号のルールを再確認しましょう。
信号の種類 | 信号の意味 |
---|---|
赤色灯火 |
|
赤色灯火の点滅 |
|
人の形の記号がある信号(歩行者・自転車専用)の赤色灯火 |
|
- ※1 多通行帯道路等通行一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車および軽車両を除く。
- ※2 この場合、青色灯火で進んでいる車両等の進行妨害をしてはならない。
近年は、電動キックボードやモペットが普及するとともに、運転マナーが問題視されています。死亡事故も発生しているため、信号のルールを必ず守りましょう。
黄色信号のルール
多くの人が「黄色信号は注意」と誤解しがちですが、原則として「黄色信号は止まれ」です。しかし、安全に止まれない位置まで進んでいる場合は、横断または止まらず進んでも良いとされています。黄色信号のルールを改めて確認し、安全運転を心がけましょう。
信号の種類 | 信号の意味 |
---|---|
黄色灯火 |
|
黄色灯火の点滅 |
|
「安全に停止できない場合」とは、停止するために急ブレーキを踏む必要があり、「後続車に追突される」「スリップや横転の危険性がある」「同乗者に危険を与える」といった場合を指します。
なお、日本の黄色信号は約3〜5秒ですが、道路状況や交通量に応じて調整されることがあります。青信号が黄色に変わったら停止するよう心がけ、加速して交差点内を横断することがないようにしましょう。
青信号のルール
「青信号は進め」ではありません。正確には「周りの歩行者や車の通行状況が良ければ、進んでも良い」という意味です。青信号だからといって、周りの交通状況を一切気にしないのは非常に危険なので、改めて青信号のルールを確認してください。
信号の種類 | 信号の意味 |
---|---|
青色灯火 |
|
人の形の記号がある信号(歩行者・自転車専用)の青色灯火 |
|
人の形の記号がある信号(歩行者・自転車専用)の青色灯火の点滅 |
|
普通自転車や、特例特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードなどは、人の形の記号がある信号のルールが、歩行者と異なります。
青信号の灯火時と点滅時のルールを正しく理解しましょう。
2.信号無視における罰則は2種類|罰金と反則金の違い
信号無視における罰則は事故の重大性によって「刑事罰」と「行政罰」の2種類に分けられ、罰則内容や制裁金の呼び方が異なります。
そこで本章では、信号無視における2種類の罰則の内容や、罰金と反則金の違いについて解説します。
罰則内容を知るとともに、信号無視の危険性を改めて理解しましょう。
信号無視による刑事罰
刑事罰で発生する制裁金のことを「罰金」といいます。
信号無視による刑事罰は、懲役または罰金が科され、前科がつきます。
信号無視で刑事罰になるケースは少ないですが、繰り返し違反を行い、違法性が高いと判断されると刑事罰が下されます。交付される告知票が赤いことから、通称「赤切符」と呼ばれ、免許停止や取り消し処分となり、警察署に出頭しなければなりません。
出頭後、警察と検察から取り調べを受け、検察と裁判所による略式命令を受けた後、罰金を支払います。
なお、信号無視による重大な人身事故や物損事故を起こした場合、民事上の責任が発生し、損害賠償を支払う義務があることを覚えておきましょう。
信号無視による行政罰
行政罰で発生する制裁金のことを「反則金」といいます。
信号無視などの軽微な交通違反は、「交通反則通告制度」によって警察で処理されることが大半です。交通反則通告制度とは、軽微な交通違反に対し反則金を納めることを条件に、裁判所の判断を受けずに処理される罰則です。
通称「青切符」と呼ばれ、前科はつかず、数千円程度の反則金と違反点数が発生します。
なお、反則金を期日までに支払わない場合、反則金の増額、もしくは刑事罰に移行し罰金の支払いが発生します。
3.信号無視による罰金(反則金)と違反点数は?
信号無視による罰金(反則金)や違反点数は、過失の重さや車両区分によって異なります。
そこで本章では、刑事罰と行政罰における罰金(反則金)と違反点数について、詳しく解説します。
刑事罰における罰金と違反点数
信号無視で刑事罰を受ける場合、道路交通法第119条もしくは121条に基づいて罰則や罰金が決定されます。
道路交通法第119条 |
3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処する。 |
---|---|
道路交通法第121条 |
2万円以下の罰金または科料に処する。 |
刑事罰は赤切符が発行された者に科されます。赤切符は、違反点数6点以上がつけられる違反行為が対象で、一発で免許停止です。累積点数があったり、重大な過失と判断された場合は、免許取り消しの可能性があります。
行政罰における反則金と違反点数
信号無視で行政罰を受ける場合、反則金は車両ごとに金額が異なります。
大型車 | 普通車 | 二輪車 | 小型特殊車 | 原付車 | |
---|---|---|---|---|---|
信号無視(赤色等)違反 | 12,000円 | 9,000円 | 7,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
信号無視(点滅)違反 | 9,000円 | 7,000円 | 6,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
信号無視による違反点数は、車両区分に関係なく2点です。過去3年間の合計違反点数が6点を超えると、赤切符の対象となり、免許停止や取り消し処分が下されます。
なお、2024年5月に自転車の信号無視などの交通違反に、青切符の導入が決定し、法整備が順調に進めば2026年に施行が予定されています。対象は16歳以上で、5,000〜12,000円程度の反則金となる見込みです。
4.信号無視による罰金(反則金)の支払い方法
刑事罰と行政罰では、支払い期日や納付先が異なります。そこで本章では、信号無視による罰金(反則金)の支払い方法について解説します。
罰金の支払い方法
刑事罰における罰金は、裁判確定後30日以内に支払う必要があります。原則として現金一括で支払う必要があり、クレジットカードや分割払いは認められません。
支払いは、検察庁が指定する方法で検察庁が指定した金融機関、または検察庁に直接納める2つの方法があります。期日までに罰金を支払わなかった場合、強制執行や労役場で留置処分(強制労働)を受ける可能性が高いです。
反則金の支払い方法
信号無視で青切符を切られた場合、同時に「交通反則納付書」が渡されます。反則金の支払い期限は、交通反則納付書を受け取ってから8日以内です。罰金と同じく、原則として現金一括で支払う必要があります。
反則金の支払いは、銀行・信用金庫・郵便局の窓口で受け付けています。窓口が開いていない平日の時間帯や、土日祝日は支払いができないため注意しましょう。なお、コンビニエンスストアでの支払いはできません。
もし、反則金の支払い期日を過ぎてしまったら「交通反則通告センター」に行き、通告書と納付書を再発行してもらい、11日以内に反則金を支払ってください。反則金の支払いに応じない場合は、刑事罰に移行して罰金が科されることを理解しておきましょう。
5.取り締まりが多い交通違反|信号無視は第4位
交通違反にはさまざまな種類がありますが、信号無視は毎年取り締まり件数が多いです。令和5年度は428,565件と第4位にランクインしています。
長時間の運転による疲労、睡眠不足、考え事、同乗者との話に夢中になるなどが原因で、「うっかり信号無視をしてしまった」というケースが多いです。
信号無視は、重大な人身事故や物損事故を起こす可能性が高く、死亡事故にもつながります。この場合、過失運転致死罪が適用され、7年以下の懲役または禁錮、もしくは100万円以下の罰金が科されます。
また、信号無視による事故の損害賠償は、事故相手には任意保険が適用されますが、自身の怪我や物損には適用されず全額自己負担です。
信号無視は決して軽微な交通違反ではないことを自覚し、体調が優れない時は運転を控えるようにしましょう。
6.まとめ
本記事では、信号の各色のルールや、信号無視における罰則の仕組み、罰金と反則金の違い、支払い方法について解説しました。
また、信号無視の取り締まり件数は毎年多く、死亡事故も発生しています。悲惨な事故を起こさないために信号の色の意味を正しく理解し、日頃から安全運転を心がけましょう。