ウェイモ(Waymo)とは?世界が注目する自動運転タクシーの特徴や利用方法を解説

自動運転タクシーの先駆者として、世界的に注目を集めているのが、かつてGoogleの社内プロジェクトとして発足したウェイモ(Waymo)です。

AIやセンサー、カメラなど、各分野の最新技術を組み合わせ、完全無人でサービスを提供しているのが特徴です。

日本でも2025年4月からタクシー会社の日本交通や、タクシーの配車アプリを運営する株式会社GOと協力して、東京都の一部エリアで実証実験を開始しました。

そこで本記事では、ウェイモの概要や車両の特徴、利用方法や他社とのシステムの違い、よくある質問について詳しく解説します。

1. 自動運転タクシー「ウェイモ(Waymo)」とは?

自動運転タクシーの最前線を走る存在として、世界的に注目を集めているのが「ウェイモ(Waymo)」です。

現在はアメリカの一部エリアで一般ユーザー向けに自動運転タクシーサービス「Waymo One(ウェイモワン)」を運行しています。

ウェイモは日本でのサービス展開も予定しているため、関心が高まっていますが、自動運転タクシーの仕組みや特徴について知らない方も少なくありません。

そこで本章では、ウェイモの仕組みや業界内での立ち位置、人間の代わりに運転を担う「ウェイモドライバー」の特徴について詳しく解説します。

1-1 ウェイモ(Waymo)の基本概要

ウェイモは、もともとGoogleの社内プロジェクトとして2009年に発足しました。

現在は独立してGoogleの親会社にあたるAlphabetの傘下企業として、自動運転タクシーの商用運行や開発を行っています。

ウェイモの会社概要は以下のとおりです。

【ウェイモの会社概要】
会社名 Waymo LLC
設立 2016年(Googleの自動運転プロジェクトから独立)
本社 アメリカ カリフォルニア州マウンテンビュー
事業内容 自動運転技術の開発、自動運転タクシーサービス「Waymo One」の運営
サービス地域 カリフォルニア州、アリゾナ州、テキサス州、ジョージア州の一部エリア

タクシーは専用アプリから配車を依頼でき、指定のエリア内で無人走行による移動が可能です。

AIが周囲の交通状況をリアルタイムに分析し、車両の加減速や車線変更を自動で行うことで、従来のタクシーと同等の利便性を提供しています。

参考:Autonomous DrivingTechnology – Learn more about us|Waymo

1-2 自動運転タクシーにおけるウェイモ(Waymo)の立ち位置

自動運転タクシーにはテスラやアポロゴーなど、世界各国の企業が参入していますが、ウェイモの保有台数は1,500台を突破しており、他社と圧倒的な差をつけているのが特徴です。

特にアリゾナ州フェニックスやカリフォルニア州での運用実績は長く、一般ユーザーが日常的に利用できる環境が整備されています。

多くの企業が段階的自動運転にとどまる中、ウェイモは完全自動運転を実用化し、業界のリーダー的存在として確固たる立場を築いています。

参考:米国での製造を通じてフリート規模を拡大|Waymo

1-3 人間の代わりに運転するウェイモドライバーの特徴

ウェイモにおける「ウェイモドライバー」とは、人間ではなくAIを中心とした完全自動運転システムを指します。

高性能センサーやカメラ、LiDAR(ライダー)が周囲360度を常時監視し、収集したデータをAIが解析することで安全な走行を可能にしています。

過去10年にわたり技術開発やデータ収集を行っているため、見通しの悪い夜間や雨の日でも、遠くの物体を高精度で検知可能です。

人間特有の疲労や不注意による判断ミスがないため、安定した運転が可能であり、これまでの交通概念を大きく変える存在となっています。

参考:Self-Driving Car Technology for a reliable Ride -Waymo Driver|Waymo

2. ウェイモ(Waymo)の自動運転タクシーの特徴

ウェイモの自動運転タクシーは、従来のタクシーとは異なり、ドライバー不在で快適かつ効率的な移動を提供する点が大きな特徴です。

サービスの提供エリアは拡大していますが、自動運転技術の安全性や信頼性に不安を感じる方も少なくありません。

そこで本章では、ウェイモの安全運転を支えるカメラなどの認識技術やAIによる判断と操作、乗客の快適性を高める車両設計について、わかりやすく解説します。

2-1 LiDARやカメラ画像を活用した高精度な環境認識

ウェイモの自動運転タクシーは、LiDAR(ライダー)、カメラ、レーダーなど複数のセンサーが連携して動作し、車両の周囲を360度、最大300m程度の距離まで3Dで描写します。

これにより夜間や雨などのさまざまな条件でも、正確な環境認識が可能です。

人間の目では見落とす可能性のある死角までカバーできるため、急な歩行者の飛び出しや、信号や標識の誤認にも対策できます。

2-2 AI技術による瞬時の判断・操作

カメラやレーダーなどで収集した大量のデータは、AIによって解析され、ブレーキや加速、車線変更といった運転操作に瞬時に反映されます。

AIは過去の膨大な走行データを学習しているため、複雑な交通状況でも最適な判断を下せる点が強みです。

人間ドライバーが疲労や注意散漫で誤る場面でも、ウェイモは安定した制御を行い、事故リスクを大幅に低減します。

ウェイモの自動運転タクシーは、世界でもっとも経験豊富なドライバーであり、ウェイモの独自調査によると、サービスの提供エリアでは、交通事故による死傷者数が減少していることがわかっています。

参考:Self-Driving Car Technology for a reliable Ride -Waymo Driver |Waymo

2-3 快適性を高める車両設計と静粛性

ウェイモが採用する自動車メーカーは、時代とともに変化しています。

開発初期はトヨタのプリウスを採用しており、その後パシフィカ(アメリカ)、ジャガー(イギリス)、ジーカー(中国)、ヒョンデ(韓国)と変遷しています。

現在はジャガー製の電気自動車「I-PACE」を中心にサービスが展開され、最大4人まで乗車可能です。

さらに、中国のZeekr(ジーカー)社が開発した自動運転専用ミニバンの導入も進めており、今後はI-PACEに加えて複数の車種が運行される予定です。

「I-PACE」は、ミドルサイズのSUVでありながら、大型SUVに匹敵する広い車内空間を実現し、荷物が多い場合でもゆったりと座れます。

電気自動車なので車内の静粛性もあり、不快な音を立てることなくスムーズな加速が可能です。

なお、ウェイモは2025年4月にトヨタと自動運転分野での協業に関する基本合意を発表しており、近い将来、ウェイモのサービスでトヨタの先端技術が詰まった車両に乗車できる日が来るかもしれません。

参考:トヨタとWaymo、自動運転の普及を加速する戦略的パートナーシップの枠組みに合意|トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

関連記事:『自動運転の肝であるAI技術と今後の課題|AIの仕組みや開発企業の事例を紹介

3. テスラやバイドゥとのシステムの違い

自動運転タクシーのシステム比較図

自動運転タクシーは各国の企業が独自のシステムを採用しており、ウェイモ、テスラ、アポロゴーはその代表格です。

共通して「自動運転の実現」を目指しながらも、センサーの構成やAIのアルゴリズム、運用方針に明確な違いが見られます。

そこで本章では、テスラやアポロゴーとのシステムにおける違いを比較して解説します。

3-1 テスラとのシステムの違い

テスラは自動運転車両を販売しており、顧客車両から「1日あたり約1,000万マイル(1610万キロ)」の走行データを収集し、AI学習に活用しています。

また、車両にLiDARやレーダーを搭載せず、カメラを主体とした「ピュアビジョン方式」を採用し、ソフトウェアを通じて後から機能を追加したり、性能を向上させているのが特徴です。

一方でウェイモは、カメラに加えてLiDARやレーダーも活用しているため、自動運転性能が高く、3Dで周囲をマッピングするため高精度の検知が可能です。

テスラは拡張性を重視したアプローチ、ウェイモはセンサーを多層的に活用して安全性を最優先する設計と言えるでしょう。

関連記事:『【次世代のクルマ体験】テスラの最新機能一覧|EV先駆者のコネクテッドサービスを紹介

3-2 バイドゥ (百度) とのシステムの違い

「Apollo Go(アポロゴー)」は、中国のバイドゥ(百度)が運営する自動運転タクシーサービスです。

中国国内で急速に普及しており、現時点では、ウェイモと同じくLiDARやカメラを活用しています。

しかし、2025年7月にバイドゥのロビン・リー会長兼CEOが経営会議で「ロボタクシーをピュアビジョン方式に切り替えない限りチャンスはない」と述べ、今後はLiDARを排除し、カメラのみに頼る方針でいることが報道されました。

これは、車両1台にかかるハードウェアのコストを削減し、大規模展開を進めるための戦略と考えられています。

アポロゴーやテスラの動向を踏まえると、ウェイモは自動運転技術の成熟度が高く、すでに多くのエリアでサービスを提供している点からも、業界をリードする存在と言えます。

4. ウェイモ(Waymo)の自動運転タクシーの利用方法

ウェイモの自動運転タクシーは、手を挙げて乗るのではなく、専用アプリを通じて配車予約を行います。

利用者はアプリ上で乗車地と目的地を指定し、対応エリア内で無人タクシーを呼び出すことが可能です。

なお、日本での一般客向けサービスは開始されていません。

そこで本章では、アメリカにおける利用方法の流れや料金体系、さらに現在利用できる地域について紹介するとともに、日本でサービスが開始された際に想定されるサービスの形について解説します。

4-1 利用可能な地域

アメリカでは、以下のエリアで運行中です。

【アメリカにおけるサービスの提供エリア】
アリゾナ州 フェニックスの一部エリア
カリフォルニア州 サンフランシスコ全域、ロサンゼルスの一部エリア
テキサス州 オースティンの一部エリア
ジョージア州 アトランタの一部エリア

参考:Waymo-自動運転車-自律走行車両-配車サービス|Waymo

上記のほかに、ウェイモは今後、ワシントンD.C.とフロリダ州マイアミでのサービス提供を予定しています。

現在、日本での一般客向けサービスは開始されていませんが、実証実験は港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区で行われています。

参考:Waymo日本版|Waymo

4-2 配車アプリ「Waymo」の使い方

ウェイモの自動運転タクシーは、専用アプリ「Waymo」から呼び出す仕組みです。

利用開始から終了までの流れは以下のとおりです。

【ウェイモの利用手順】

  • Waymoアプリをダウンロードし、アカウントを作成する
  • 目的地を選択し配車予約を行う
  • タクシーが到着したらアプリでドアのロックを解除し乗車する
  • 車内のタッチスクリーンに表示されている「Start Ride」をタップし移動を開始する
  • 目的地に到着すると自動で停車するため、ドアノブを引いてロックを解除する
  • 周囲に人や障害物がないか確認して降車する(決済はアプリ上で行われる)

参考:配車アプリ-ドライブを最大限に活用|Waymo

オースティンとアトランタでは、Waymoアプリと同様の配車アプリである「ウーバー(Uber)」でのみ呼び出しが可能です。

現在、日本ではタクシーアプリ「GO」とも協力して実証実験を行っているため、サービスが正式に開始された場合、利用者は「GO」を通じてタクシーを配車すると推測されます。

参考:UberでWaymo One|Waymo

4-3 ウェイモの料金体系

ウェイモの料金は、「乗車距離」「乗車地域」「時間帯」に基づいて算出されます。

事前確定運賃制で、乗車前に料金が確定される仕組みです。

自動運転タクシーは人件費がかからないため、料金が安価な傾向にありますが、ウェイモの場合、利用するエリア次第では従来のタクシーよりも割高になるケースがあるようです。

ライドシェアサービスのピックアップ時間を比較できるアプリ「Obi」は、アメリカで配車アプリを展開するウーバー、リフトと比較調査したデータを公表しています。

【ウェイモ、ウーバー、リフトのキロ単価の違い】
  平均値 中央値 1キロあたりの平均価格
ウェイモ 20.43ドル(約3,100円) 19.52ドル(約2,900円) 11.22ドル(約1,700円)
ウーバー 15.58ドル(約2,300円) 15.36ドル(約2,300円) 8.36ドル(約1,300円)
リフト 14.44ドル(約2,200円) 14.22ドル(約2,100円) 7.99ドル(約1,200円)

※為替レートは1ドル=150円で換算(2025年9月時点)

ウェイモは比較的割高ですが、自動運転タクシーなので、会話のストレスを避けたい方やプライバシーを重視する方にとってはメリットが大きいと言えます。

参考:The Road Ahead:Pricing Insights On Waymo, Uber and Lyft|rideobi

5. 自動運転タクシーがつくる未来の常識とは

ウェイモをはじめ、自動運転タクシーサービスの普及は、技術の発達だけでなく、私たちの生活や社会の仕組みそのものを変える可能性を秘めています。

そこで本章では、自動運転タクシーが普及した未来で、日常の「当たり前」がどのように変化するのかについて整理します。

実際に自動運転タクシーを利用する生活をイメージしながら、新しいモビリティ社会について考えてみましょう。

5-1 「移動」は呼ぶものになる

これまでの移動は「自分で運転する」あるいは「駅に行って乗る」といった行動が必要でした。

しかし、自動運転タクシーが普及すれば、アプリで呼び出すだけで目的地までスムーズに移動できるのが常識になります。

車を所有する必要がなくなり、ライドシェアの延長線上にある利便性の高い移動スタイルが、都市部から地方まで広がっていくと考えられます。

5-2 交通事故が減少する

自動運転タクシーの大きな特徴は、人間の判断ミスによる事故を大幅に減らせることです。

ウェイモの独自調査では、人間の運転と比べて安全性が高く、重傷事故を約91%減少、負傷事故を約80%減少させることが可能と報告されています。

さらに死亡事故の再現シミュレーションでは、加害者側なら100%、被害者側でも82%のケースで回避可能と示されています。

高度な環境認識とAIによる瞬時の判断により、人間のドライバーよりも安全性が高まるため、さらに技術が発達することで「交通事故はまれにしか起きない」という社会が当たり前になる可能性が高いでしょう。

参考:Waymoの安全性への影響|Waymo

5-3 移動時間が自由時間になる

自動運転タクシーの利用では、ドライバーとの会話がなくなるため、移動中の時間を読書や仕事、エンタメ視聴など自由に活用できます。

「移動=自由時間」という新しい常識が社会に浸透すれば、働き方や生活の質もさらに向上していくでしょう。

さらに高齢者や障害者など自分で運転できない方や、公共交通機関が不便な地域に住む方にとって、時刻表に制限されずに必要な時にいつでも利用できるのは嬉しいポイントです。

6.【Q&A】ウェイモ(Waymo)に関するよくある質問

ウェイモはアメリカにて、サービスの提供エリアを拡大させており、日本でも日本交通やタクシーアプリGOと協力して実証実験が開始されています。

急速に市場拡大する自動運転タクシーの市場ですが、「いつからウェイモに乗れるのか?」「どこの自動車メーカーの車両なのか?」といった質問は少なくありません。

そこで本章では、ウェイモに関するよくある質問についてQ&A形式で解説します。

日本ではいつからウェイモに乗れる?

2025年9月時点では東京都内の7区(港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区)で実証実験が行われている段階であり、一般客向けのサービスは開始されていません。

ただし、実証実験によるデータ収集やAIによる日本の交通規則や違反の学習が進むことで、「数年以内には乗客向けのサービスが開始されるのでは?」と期待されています。

日本版ウェイモの乗務員の経歴は?

日本での実証実験では、日本交通の乗務員(自動運転スペシャリスト)によって有人運転が行われています。

日本交通のトレーニングに加えて、座学や実車研修を受け、ウェイモの運転テストに合格したドライバーのみが運転可能です。

カリキュラムには、技術的な内容や行動における車両の安全走行を監視する方法などが含まれています。

また、自動運転スペシャリストは危険予測運転講座を受講し、ウェイモの実証実験に必要なスキルを習得しています。

ウェイモに使用されている車の種類は?

ウェイモでは、主にイギリスのジャガー・ランドローバー社の電気自動車が使用されています。

アメリカで商用化されている車両と基本は同じですが、日本向けに一部マイナーチェンジされています。

ウェイモで使用される車両は、ウェイモの進化とともに変化するのが特徴です。

現在は、中国のZeekr社のミニバンにシステムを搭載し、アメリカの一部エリアで実証実験を行っています。

本格導入は未定ですが、今後日本でも見かける日が来るかもしれません。

7. まとめ|ウェイモ(Waymo)の自動運転タクシーで移動の概念が変わる

本記事では、ウェイモの概要や車両の特徴、利用方法や他社とのシステムの違い、よくある質問について詳しく解説しました。

ウェイモの自動運転タクシーは、アプリから配車を依頼でき、サービスの提供エリア内で無人走行による移動が可能です。

日本でも本格的なサービス開始を見据えて実証実験が行われており、都市部の交通渋滞の緩和や地方での移動手段の確保など、さまざまな社会課題を解決することが期待されています。

今後、車両の安全性やセキュリティ対策、法整備が進むことで、モビリティ産業の新たなビジネスモデルとして急速に社会に広がっていくでしょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求している 株式会社パイ・アール は、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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