テスラ車搭載のAI「Grok」が7月12日以降の出荷車に標準搭載|対話型AIができることは?

米電気自動車(EV)大手テスラは、対話型AIチャットボット「Grok(グロック)」を2025年7月12日以降の出荷車両に搭載されることを発表しました。

Grokは、イーロン・マスク氏が設立したAI開発企業「xAI」が手がけた対話型AIの最新モデルです。

現時点ではアメリカでの導入に限られており、日本での導入時期は未定です。

しかし、テスラ車へのAI搭載は大きな注目を集めており、日本のユーザーにとっても今後の動向が気になるところです。

そこで本記事では、Grokの基礎知識や特徴、テスラ車に搭載されたGrokでできること・できないこと、使い方について解説します。

また、Grokの活用アイデアやよくある質問、今後の展望についても詳しく紹介します。

※本記事は、2025年9月12日時点で公開されている情報を元に作成しています。最新の情報は公式ページをご覧ください。

参考:
Frequently Asked Questions|TESLA
2025.26 Software Update|X

1. テスラ車に搭載された対話型AI「Grok」とは?

冒頭でもお伝えしましたが、AI開発企業である「xAI」によって開発された対話型AI「Grok(グロック)」が、7月12日から出荷されるテスラ車に搭載されることを発表しました。

運転中にGrokに話しかけることで、情報検索や音楽再生、さらにはGrokとの自然な会話を楽しむことができます。

さまざまな機能を利用できるGrokですが、そもそもどのような背景で開発されたのでしょうか?

本章ではGrokの誕生背景や利用条件、会話の特徴について詳しく解説します。

1-1 Grokの誕生背景と開発目的

Grokは、2023年7月にイーロン・マスク氏が設立したAI企業「xAI」によって開発された対話型AIです。

従来のAIアシスタントが情報検索やナビゲーションに特化していたのに対し、Grokは人と自然に会話しているように使える応答を目指して開発されました。

初代モデルであるGrok-1ではテキスト理解のみ、Grok1.5Vでは画像・図・写真も理解、Grok-2では各機能のアップデートと画像生成ができるようになっています。

xAIは「宇宙の真実を理解すること」を目的に、GPT-3.5やGPT-4の開発に携わったメンバーがプロジェクトに参加しています。

2025年7月には新モデル「Grok 4」が発表されました。

科学者レベルの知性を持つと一部で評価されており、大幅に性能が向上したのが特徴です。

そして今回、Grok4がテスラ車に搭載されたことで、未来的なドライブ体験につながると期待されています。

1-2 Grokを利用するための対応条件

テスラ車で対話型AI「Grok」を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。

前提として、テスラ車でGrokが利用できるのはアメリカのみであり、日本での導入時期は未定です。

対応条件は以下のとおりです。

【テスラ車でGrokを利用するための対応条件】

  • AMDプロセッサ搭載の「Model S」「Model 3」「Model X」「Model Y」「Cybertruck」であること
  • ソフトウェアバージョンが2025.26以降であること
  • サブスクリプション(Premium Connectivity)を契約していること
  • Wi-Fiに接続していること

上記の条件を満たしていれば、車両のオーナーは無線アップデートを通じてGrokの利用が可能になります。

7月12日以降に出荷されるテスラ車に関しては、Grokが標準装備されています。

1-3 Grokはフランクな応答が特徴

Grok最大の特徴は、従来のAIにはなかった「フランクで人間味のある会話スタイル」です。

形式的な回答だけでなく、ユーモアを交えたり砕けた口調で答えたりするため、ドライバーは同乗者と会話する感覚でドライブを楽しめます。

また、一般的なAIが回避するような社会的・倫理的テーマにも回答できる点が特徴で、ブラックジョークも飛ばすと一部ユーザーの間で話題になっています。

2. テスラ車に搭載されたGrokでできること・できないこと

テスラ車搭載AI「Grok」:できること・できないこと

Grokは幅広い質問に対応でき、音声とともに性格も選択可能です。

ただし、現時点で利用できる機能は「会話」がメインであり、車両の操作系統に指示を出すことはできません。

具体的な内容は以下のとおりです。

【テスラ車に搭載されたGrokでできること・できないこと】
できること できないこと
・雑談や質問への回答
・おすすめの音楽やポッドキャストの提案
・レストランや観光スポットの提案
・子ども向けのストーリーの作成や朗読
・クイズや雑学での暇つぶし
・ナビゲーションの操作
・エアコン調整などの車両操作
・ブレーキやアクセルなどの運転操作

車両の安全に直結する制御(アクセルやブレーキの操作)やナビゲーションの操作、法規制やプライバシーに抵触するような利用はできません。

つまり、Grokは「ドライブを快適にする同乗者」として機能しますが、運転そのものを代行するわけではない点に注意が必要です。

3. テスラ車でのGrokの使い方

テスラ車に搭載された対話型AI「Grok」は、従来の音声アシスタント以上に柔軟で自然な会話ができるのが魅力です。

すでに日本語での会話にも対応しているため、ドライバーがスムーズに利用できる環境が整っています。

そこで本章では、Grokの起動方法や会話を楽しむためのキャラクター設定について解説します。

3-1 Grokを起動する

テスラ車でGrokを起動する場合、2つの方法があります。

【方法1:アプリランチャーを使用する】

テスラ車のタッチスクリーンに表示されているGrokのアプリアイコンをタップして起動する方法。

【方法2:ステアリングホイールのボタンを長押しする】

ステアリングホイール(ハンドル)にある音声ボタンを長押しする方法。

現在、「Hey Grok」と呼びかけることで起動する「音声起動機能」が開発中です。

イーロン・マスク氏はX(旧ツイッター)で、「Grokはまもなく『Hey Grok』というウェイクワードでテスラの車で起動できるようになる。」と述べました。

3-2 Grokの声と性格を設定する

テスラ車では、Grokの音や性格をタッチスクリーン上で設定できます。

Grokの音声タイプは「Ara(アップビートな女性)」「Rex(穏やかな男性)」「Gork(怠惰な男性)」の3つから選択可能です。

性格は「Assistant(親しみやすく、情報提供を重視したトーン)」「Storyteller(物語を語るようなトーン)」「Unhinged(常軌を逸した荒々しいトーン)」などから選択できます。

ちなみに、ユーザー自身で性格をカスタマイズできるため、関西弁を話すGrokとの会話も楽しめます。

Grokは、単なる情報検索ツールではなく、自分と気が合う“相棒”のような存在としてカスタマイズできるのが大きな魅力です。

ドライブをより楽しむために、最初に調整しておくと良いでしょう。

4. テスラ車でのGrokの活用アイデア

Grokは、声や性格を選ぶことができ、AIアシスタントとして優れているため、使い方次第でより楽しいドライブを体験できます。

以下に、Grokの活用アイデアについてまとめました。

【Grokの活用アイデア】
音楽・ポッドキャストの提案 ・夜のドライブにおすすめの曲を提案してください
・今週のJ-POPトップ10の歌をリストアップしてください
・外は雨が降っています。マイナーアーティストによるムーディーな音楽を提案してください
・渋滞中に楽しめるポッドキャストを流してほしい
など
スポットの提案 ・(現在運転中の都市)にある、グルテンフリーの人も楽しめる飲食店を3つ教えてください
・(目的地)にある、食料品店から徒歩圏内のスーパーの住所を教えてください
・(自分がいる場所)付近で遅くまで営業しているレストランはどこですか?
など
子ども向け利用 ・「桃太郎」のような日本の昔話をオリジナルで作って聞かせてください
・七夕について、5歳の子どもにも分かるように面白く説明してください
・子ども向けに簡単なクイズを出してください
など

子ども向けの物語を車内で聞かせる場合、Grokの声と性格を設定することで、物語に適した雰囲気を作ることが可能です。

また将来的には、Grokが飲食店や観光地をリストアップしてマップに追加できると考えられています。

5.【Q&A】テスラ車のGrok利用に関するよくある質問

テスラ車に搭載された対話型AI「Grok」は、多くのユーザーにとって新しい体験となります。

そのため「どの車種で利用できるのか」「費用や接続環境はどうなるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。

本章では、Grokに関するよくある質問についてQ&A形式で解説します。

Grokに対応している車種は?

7月12日以降に出荷される新車には標準装備されています。

そのほかAMDプロセッサ搭載の「Model S」「Model 3」「Model X」「Model Y」「Cybertruck」での利用が可能です。ただし、利用には「ソフトウェアバージョンが2025.26以降であること」「サブスクリプション(Premium Connectivity)を契約していること」「インターネットに接続していること」を満たす必要があります。

インターネット接続は必要?

Grokはクラウド型のAIツールであるため、リアルタイムで会話や情報検索を行うにはインターネット接続が必要です。

接続が不安定な場合は、十分な応答が得られない場合があります。

そのためテスラ車に搭載されている通信機能やスマートフォンのテザリングを活用することで、快適に利用できる環境を整えるのが望ましいでしょう。

Grokは無料で使える?

テスラ車に搭載されたGrokは、7月12日以降に出荷される車両の場合、追加料金なしで利用できます。

ただし、旧モデルで利用する場合はインターネット接続が必要なため、月額9.99ドルのプレミアムコネクティビティ(テスラ車に搭載された通信機能)、またはWi-Fi接続が必要です。

Grokが日本でリリースされるのはいつ?

Grokはすでにアメリカで提供が始まっていますが、日本での展開については公式発表がまだありません。

ただし、アメリカにいても、カスタマイズをすれば日本語での会話が可能なため、インフラや法規制の整備が進めば導入が期待されます。

テスラ車を購入予定の方は、最新のアップデート情報を確認しておくと良いでしょう。

運転操作もGrokが行うのか?

現時点でGrokは車両の操作を行うことはできません。

空調やナビゲーションの操作、音楽再生といった従来の音声コマンド機能はGrokとは別の仕組みで制御されています。

あくまでGrokは会話や情報検索を得意とするAIであり、運転操作は「オートパイロット」などの専用システムが担っています。

テスラ社が開発する「オプティマス(Optimus)」との違いは?

「オプティマス」はテスラ社が開発した人型AIロボットで、テスラの車の自動運転機能に使われているカメラやセンサー、画像認識やAI技術が使用されています。

一方、GrokはxAI社が開発した対話型AIであり、利用シーンや役割が大きく異なります。

両者は直接の競合関係ではなく、むしろテスラのAI戦略を後押しするための別々のプロジェクトといえるでしょう。

6. テスラ車に搭載された対話型AI「Grok」の今後の展望

テスラ車に搭載された対話型AI「Grok」は、今後さらに高度な機能拡張が期待されています。現時点ではナビや空調などの車両制御とは独立しています。

テスラ車に搭載された対話型AI「Grok」は、今後のアップデートによって音楽再生や空調調整などの操作機能が追加される可能性がありますが、自動運転や車線変更といった運転操作に直結する機能は当面見込まれていません。

現状では、Grokは情報提供や会話を通じて運転をサポートする役割に重点が置かれているのが特徴です。

また、日本での導入には、道路交通法や車両の安全基準に関する法整備が必要であり、さらに日本語特有の表現や文化的な会話スタイルへの最適化も課題です。

これらをクリアできれば、日本のテスラユーザーにとっても、安全で快適なカーライフが提供されるでしょう。

7. まとめ|テスラ車の対話型AI「Grok」でドライブがもっと楽しくなる

本記事では、Grokの基礎知識や使い方、活用アイデアやよくある質問、今後の展望について詳しく解説しました。

テスラ車に搭載される対話型AI「Grok」は、運転中の情報検索やエンタメ機能、日常的な会話サポートなどを通じて、これまでにない車内体験を実現しています。

AI技術が進化する中で、私たちもその変化を理解し、活用していくことが大切です。

イーロン・マスク氏が掲げるビジョンのもと、今後もさまざまな機能が追加され、日本市場への展開も期待されています。

今後ますます進化する次世代モビリティの流れに、私たちも柔軟に対応していきましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求している 株式会社パイ・アール は、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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