軽貨物車両(4ナンバー)の車検費用や期間・時期について解説|注意点や車検費用を安くする方法

軽貨物車両(4ナンバー)は、配送業や農業用の自家用車として利用される一方、車検のタイミングや費用について正確に把握していない方も少なくありません。

そこで本記事では、軽貨物の車検にかかる費用や期間、受けるべき時期、さらに注意すべきポイントや車検切れの罰則まで分かりやすく解説します。

車検費用を抑える工夫も紹介しますので、コスト管理を重視する方は、ぜひ参考にしてください。

1. 4ナンバーとは?軽貨物の「車検前」に知っておこう

軽貨物車両を所有している方や、購入を検討している方にとって、「4ナンバー」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。

4ナンバーは乗用車と異なるため、意味や車両区分を正しく理解していないと、車検時に戸惑うこともあります。

そこで本章は、4ナンバーの基本的な定義や分類について分かりやすく解説します。

軽貨物は4ナンバー(小型貨物車)に分類される

4ナンバーとは、道路運送車両法における「小型貨物車」に付与されるナンバーです。

ナンバープレート上部の数字が「400番台」から始まる車両を指し、乗用車(3・5ナンバー)と比べて車検や税金の取り扱いが異なる点が特徴です。

参考:ナンバープレートについて|国土交通省東北運輸局秋田運輸支局

4ナンバーは小型自動車と軽自動車の2種類

4ナンバーは、「小型自動車」と「軽自動車」の2種類に分けられます。

少々紛らわしいですが、軽自動車より小型自動車の方が車両サイズが大きい点が特徴です。

「小型自動車=少し小さい普通自動車」というイメージを持っていただくと分かりやすいでしょう。

4ナンバーの車両サイズに合わせた車種として、サニーバンやADバン、ハイエースバン(※標準ボディ・4ナンバー登録車)などが「小型自動車」に該当します。

軽自動車の場合、軽トラ(キャリイ、ハイゼットトラック)、軽バン(エブリイ、N-VAN)などが該当します。

4ナンバーについては、定義する言葉が各媒体によって異なり、「小型自動車」を「貨物自動車」や「登録車」と表記したり、「軽自動車」を「軽貨物車」と表記したりと、非常に分かりにくくなっています。

そこで本記事では、「4ナンバー(小型貨物車)」に分類される2種類を、「小型自動車」と「軽自動車」の表記に統一して解説をすすめます。

車両サイズ・荷室スペース・ナンバーの色の条件

小型自動車と軽自動車の車両サイズ、荷室スペース、ナンバーの色の条件は以下のとおりです。

【4ナンバー(小型自動車・軽自動車)の車両サイズの条件】
  小型自動車 軽自動車
全長 4.7m以下 3.4m以下
全幅 1.7m以下 1.48m以下
全高 2.0m以下 2.0m以下
排気量 660cc超〜2,000cc以下 660cc以下

【4ナンバー(小型自動車・軽自動車)の荷室スペースの条件】

  • 座席部分より荷物を乗せるスペースが広いこと
  • 荷室スペースの床面積が1㎡以上あること(軽自動車の場合:0.6㎡以上)
  • 乗車定員の重量が積載可能重量よりも軽いこと(1人55kgとして計算)
  • 荷室の積卸口が縦80cm、横80cm以上あること(軽自動車の場合:縦60cm、横80cm以上)
  • 荷室と座席の間に壁や保護仕切りがあること(最大積載量500kg以下の場合は、座席で守られていればこの限りではない)
【ナンバープレートの色】
  自家用 事業用
小型自動車 白色 緑色
軽自動車 黄色 黒色

ナンバープレートの色は、自家用車と事業用車で区別されます。

軽貨物ドライバーの方は、黒ナンバーに該当します。

軽貨物ドライバーでの開業を予定している方は、それぞれの条件を正しく把握しましょう。

関連記事では、軽貨物ドライバーに必須の「黒ナンバーの取得方法」について詳しく解説しています。

飲酒運転の事故状況や、軽貨物ドライバーにおける安全管理についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:
軽貨物運送事業に必須の「黒ナンバー」とは?取得に必要な5つの条件と方法を3ステップで解説
白ナンバーと緑ナンバーの違い|条件やメリット・デメリットを解説

参考:
軽自動車とは|軽自動車検査協会
自動車の種類:道路運送車両法(PDF)|国土交通省
自動車の用途等の区分について|国土交通省

2. 軽貨物の車検期間は2年ごと?

小型貨物車(4ナンバー)の車検期間は、安全維持のために、乗用車(3・5ナンバー)よりも1年短く設定されています。

また、小型貨物車のうち「小型自動車」と「軽自動車」では車検期間が異なります。

車検期間の違いを以下の表にまとめましたのでご覧ください。

【4ナンバー(小型自動車・軽自動車)の車検期間】
車両区分 初回車検 2回目以降の車検
小型自動車 新車登録から2年 初回の車検から1年
軽自動車 新車登録から2年 初回の車検から2年

どちらも新車時は2年間の有効期間がありますが、初回の車検以降は小型自動車が1年ごと、軽自動車が2年ごとに車検を受ける必要があります。

なお、自家用と事業用の車検期間は同じです。

軽貨物ドライバーとして日常的に軽自動車を使用する方の場合、業務に支障を出さないために、車検時期を見越した運行管理を行いましょう。

3. 軽貨物の車検費用はどれくらい?

車検費用は、「点検整備費用」と「法定費用」の2つに分けられます。

総額で5〜10万円程度かかり、車両区分によって法定費用が異なるほか、費用項目も多いため、所有する自動車の車両区分を正確に把握することが大切です。

それぞれの内訳や相場を理解しておくことで、ムダな出費を抑えることにもつながります。

では早速、費用の詳しい内訳を見ていきましょう。

点検整備費用

点検整備費用の内訳は、大きく2つに分けられます。

【点検整備費用の内訳】
内訳 料金相場
基本料金 2〜10万円程度
整備・部品交換費用 1〜10万円程度

基本料金は、車検を依頼する工場やディーラーによって大きく異なります。

また、自動車の状態次第で、整備費用や部品交換費用が発生するため、料金は自動車ごとに大きく変動します。

法定費用

法定費用は、「自動車重量税」「自賠責保険料」「印紙代」「自動車税」の4つが発生します。

自家用か事業用かで法定費用が異なるため、以下の表をご参考ください。

【4ナンバー(小型自動車・軽自動車)の1年あたりの自動車重量税】
車両重量 自家用 事業用
1t以下 3,300円 2,600円
1t超2t以下 6,600円 5,200円
2t超2.5t以下 9,900円 7,800円
2t超3t以下 12,300円
3t超4t以下 16,400円 10,400円
4t超5t以下 20,500円 13,000円
5t超6t以下 27,500円 15,600円
6t超7t以下 28,700円 18,200円
7t超8t以下 32,800円 20,800円

自家用に比べて事業用の方が重量税の税額が安いです。

なお、8t以降は1ナンバー(普通貨物車)に該当します。

【4ナンバー(小型自動車・軽自動車)の自賠責保険料(2025年時点)】
期間 自家用 事業用
12か月 12,850円 15,830円
13か月 13,480円 16,700円
24か月 20,340円 26,240円
25か月 20,950円 27,090円

参考:自動車損害賠償責任保険基準料率(PDF)|損害保険料率算出機構

自賠責保険料は、どこの保険会社や代理店でも同じ金額です。

自賠責保険料の金額は、事故発生状況や保険金支払額などをもとに、損害保険料率算出機構が算出・届出を行います。

これを受け金融庁が審議会に諮問し、必要に応じて保険料の改定が告示されます。

2025年度の自賠責保険料や補償内容は、2024年度と同様に据え置きとなります。

【4ナンバー(小型自動車・軽自動車)の印紙代】

印紙代とは、車検時に必要な「自動車検査登録印紙」「自動車検査証紙」の発行に必要な費用です。費用は1,500円程度ですが、「指定工場と認証工場のどちらで受けるか」「検査の種別」によって変動します。

【4ナンバー(小型自動車・軽自動車)の自動車税】

1年ごとに自動車税がかかります。自動車税は都道府県税という位置付けのため、自治体によって金額が異なりますが、だいたい3,000円〜10,000円程度です。
自家用よりも営業用の方が税額が低く、軽貨物ドライバーの場合、最も安く設定されています。

4. 軽貨物を車検に出す時の注意点

軽貨物ドライバーの場合、車検時の注意点が2つあります。

1つ目は「装着しているタイヤ」です。

軽貨物車に乗用車用のタイヤを使っている場合、積載量や軸重の基準を満たす必要があります。

軽貨物用タイヤは耐久性が高く設計されているため、社外ホイールに変更している場合は特に注意しましょう。

2つ目は「荷室の荷物」です。

荷物を載せたまま車検を受けると、ブレーキ性能の検査結果に影響を与える場合があります。

車種によっては荷室に点検口があるため、荷物は必ずすべて降ろしてから車検に出しましょう。

関連記事:『軽貨物運送事業に必須の「黒ナンバー」とは?取得に必要な5つの条件と方法を3ステップで解説

5. 車検切れで運転した場合の罰則

車検切れ自体は、運行しなければ罰則の対象ではありませんが、車検切れの車で運転した場合、道路運送車両法違反として罰則の対象になります。

また、車検が切れた場合、基本的にはナンバープレートの返却が必要です。

罰則内容は以下のとおりです。

【車検切れで運転した場合の罰則内容】
行政処分 刑事処分
・違反点数:6点
・免許停止:30日間
6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

自賠責保険も同時に切れている場合、自動車損害賠償保障法違反として罰則が科されます。

【自賠責切れで運転した場合の罰則内容】
  行政処分 刑事処分
自賠責切れと車検切れ ・違反点数:6点
・免許停止:90日間
1年6か月以下の懲役または80万円以下の罰金
自賠責切れのみ ・違反点数:6点
・免許停止:30日間
1年以下の懲役または50万円以下の罰金

車検切れや自賠責切れは、重大な違反として厳しい罰則が科されます。

車検切れした場合は、最寄りの市役所で「臨時運行許可証(仮ナンバー)」を発行してもらい、通常のナンバープレートの上から重ねるように取り付け、運転しましょう。

また、発行された「臨時運行許可証(仮ナンバー)」は、5日以内に返納しなければなりません。

軽貨物ドライバーにとって、車検切れや自賠責切れは業務に大きな支障をきたします。

忘れずに管理・更新を行い、トラブルを未然に防ぎましょう。

関連記事:『貨物軽自動車安全管理者とは?業務内容・義務化の背景・罰則を詳しく解説

6. 車検費用を安くする3つの方法

軽貨物ドライバーに限らず、「車検費用を少しでも抑えたい」と考える方は少なくありません。

実際、車検費用は工夫次第で削減可能です。

そこで本章では、3つの具体的な節約方法を紹介します。

どれも実践しやすく、長期的なコスト削減につながるので、ぜひ参考にしてください。

日常点検や日々のメンテナンスを欠かさない

車検費用を抑えるためには、日頃からの点検とメンテナンスが重要です。

オイル交換やタイヤの空気圧チェック、ブレーキの異常などを日頃から確認することで、車検時の整備費用を大幅に削減できます。

軽貨物ドライバーの場合、業務前点呼時の日常点検が義務付けられているため、異常がないかしっかり確認しましょう。

関連記事:『軽貨物運送事業(黒ナンバー)の点呼は義務|業務前点呼・業務後点呼の実施内容を解説

車検費用が安い業者に依頼する

車検が受けられる業者は主に以下の5つで、それぞれ車検費用が異なります。

【車検が受けられる業者】
ディーラー 4〜10万円程度
車検専門店 3〜8万円程度
整備工場
自動車用品店 2〜6万円程度
ガソリンスタンド

軽貨物ドライバーにとって、車検費用を抑えたい気持ちは当然ですが、事業用車両である以上安さだけでなく、整備技術の信頼性や口コミ評価の高い業者を選ぶことも大切です。

安全性とコストのバランスを考慮して、適切な業者を見極めましょう。

関連記事:『車の定期点検(法定点検)をしないとどうなる?車検との違いや点検時期・費用を解説

ユーザー車検を受ける

ユーザー車検とは、車の所有者自身が、直接運輸支局や軽自動車検査協会へ車を持ち込んで、自ら車検を行う方法です。

費用は基本的に法定費用のみで、軽貨物ドライバーの場合、総額で3万円程度で済みます。

車検の合格ラインに達しなかった場合は、再度整備を行い、車検を受ける必要があります。

比較的安価なので、コスト削減には効果的ですが、点検や整備に関する一定の知識が求められるため、車検代行業者に依頼する方法が一般的です。

車検代行の手数料は1〜3万円程度です。これに整備費用や法定費用が追加で発生します。

ユーザー車検は、専門的な知識が求められるため、整備経験がある方におすすめの方法です。

7. まとめ|軽貨物の車検ルールを把握して安全意識を高めよう

本記事では、軽貨物車両(4ナンバー)に関する車検の費用や期間、時期に加え、注意点や罰則、費用を抑える方法まで詳しく解説しました。

軽貨物は、日常的に稼働することが多いため、定期的な点検とルールの正しい理解・実践が非常に重要です。

適切なタイミングで車検を受けることで、故障や事故のリスクを軽減し、安全かつ継続的な運行が可能になります。

法令違反による罰則を避け、事業を円滑に進めるためにも、正しい知識を身につけ、今後の車検にしっかり備えておきましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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